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ドキュメント内 運送品の価額通告制度について (ページ 31-37)

10

一 四 ︶

制度の合憲性・合理性に関する議論の深化に役立ち︑価額通告制度の存在意義そのものを問い直す契機のひとつに

(3 ) 

なったことは︑事実であろう︒そして︑

fa ir op po rt un it

理論は︑条約の価額通告制度の存在理由とも一致する︑とy

いう評価が有力であり︑米国判例とイタリア憲法裁判所判例の発想に類似性がみられることが指摘されている︒

(1

B er l i ng i e ri , I I     l im i t e  c i t . ,   pa

g. 1  01 3.  

(2

T ul l i o,   L' ag ev ol e  e sp li ca zi on e  d e ll a  d ic hi ar az io ne   di   va lo re

  co

em   pr es up po st o  d e ll a  v al ut az io ne i    d c os t i tu z i on a l it a   de l l 'a r t . 

423 

c .   n av ・ D i ,   r it t o  d ei   tr a s po r t i,  

1992 

I I ,  

pa g. 4  89 . 

(3

)

前掲拙稿・ニニ五頁︑一四0

頁な ど︒

(4

  )

B er l i ng i e ri ,   op. i t .   c l,   oc o  c i t .  

; R

ig uz zi ,  op. i t .   c ,   pag

158 

g .s e  

(5

B er l i ng i e ri ,   Le gi tt im it a  c i t . ,   pa

g.

63 e  

s eg .

は 

︑た とえ

f ai r op po rt un it y理論の具体的適用がつねに説得力があるわけでな いにしても︑その重要性は疑いもなく︑米国裁判所とイタリア憲法裁判所に興味深い発想の類似性がみられる︑としている︒

同旨•

Mi ch el

e  M.  C

om en al e  Pinto,

I  n  t em a  d i  a ge vo le   es pl ic az io ne e l  d l a  d ic hi ar az io ne i    d v al o r e,   i n 

AA 

VV

I I   l im i t e  r i sa r   ,  c it o r io   ne ll 'o rd in am en to   dei   tr a s po r t i,   Mi la no

 1

99 4,  pa g. 2  13 . 

この小稿を終えるにあたり︑航行法第四二三条の価額通告制度に関する興味深い指摘を紹介しておきたい︒同条に

一九六八年議定書および一九七九年議定書の批准以後︑改正を求める声が強くなって

いる︒とりわけ︑限度額の低さ︑重量制による限度額を設けていない点︑および︑いわゆるコンテナー運送について

の特則を欠く点に不満が集中している︒しかし︑本稿が検討対象としてきた価額通告制度については︑廃止を求める

声を聞かない︒むしろ︑その存在意義を強調する立場が多数を占めるようである︒以下に紹介する指摘は︑その多数 関法第四六巻第四・五・六号

運送

品の

価額

通告

制度

につ

いて

契約締結の時点で︑荷送人の 説の支持者によるものである︒それは︑価額通告制度の制度趣旨・存在理由の理解に係わるもの︑といいうる︒

本稿においても︑何度かふれているように︑価額通告制度は︑荷送人のイニシアチプにより︑運送人の限度額を排

除することによって運送危険の分担をより公平にすることを目的としている︑と理解されている︒すなわち︑限度額

制度の適用は︑価額通告せず法定︵低額︶の限度額を受け入れるか

︵割増運送賃の支払を要する︶︑荷送人の私的自治・一方的自由選択

権に委ねられている︑と︒このような理解は︑イタリア憲法裁判所および多数説の説くところと一致している︒そし

て ︑

f a i r o p

p o r t u n i t

y

理論ともその基本的発想において一致している︑と思われる︒以下に紹介する指摘

( T u l

0

l i

授︶は︑このような低額運送賃による有限責任と割増運送賃による無限責任との対応を受け入れている通説的見解に

航行法第四二三条︵および新・旧条約の規定︶によると︑荷送人は︑価額通告を﹁船積前﹂にしなければならない︒

通常の運送契約の履行過程によると︑契約締結︵契約申込とそれに対する承諾︶ののち︑船積がなされるから︑同条

は︑価額通告が契約締結後になされうることを︑当然に予測しているはずである︒そこで︑

T u l l

i o

︑﹁

運送

人は

︵価額通告をするか否かの︶意思を知りうる状況になく︑それ故︑運送人の契約を締結

するか否かの選択は︑荷送人の意思に影響をうけない︒契約の締結後︑荷送人が運送品の実価を通告した場合︑運送

人は︑無限責任に耐えるほかない︒﹂というのである︒すなわち︑価額通告制度の議論は︑運送人の運送契約締結義

T u l l i  

0教授のいう荷送人の私的自治 対する疑問︑といいうる︒ 通告をなし全額の損害賠償請求権を留保するか

~

(

10

一 五 ︶

︵低額の運送賃の支払で足りる︶︑または︑価額

うけた運送人の服従的地位に関するもの︑との認識に立っている︒ 三一四 務︵そのような義務は︑少なくとも︑私法上は認められない︶に関するものではなく︑運送契約締結後に価額通告を そして︑もし︑みぎのことが正しくて︑価額通告が本当に荷送人の一方的意思に係るものであり︑運送人は荷送人

の意思にしたがうだけであれば︑価額通告をうけた運送人が運送賃の割増請求をなす余地はない︑という︒すなわち︑

価額通告に対して運送賃の増額がなされるのであれば︑﹁通告の一方性︑行為の独立性および形成権の実行が無に帰 してしまう︒荷送人の選択︵有限賠償と無限賠償︶が完全に自由というのではなく︑割増運送賃の額の評価に服する ことになるので︑通告は︑双方的行為に変貌してしまう︒換言すれば︑対価として支払うべき運送賃が︑観念的に想 像しうる危険カヴァーのための推定保険料よりも高額であれば︑荷送人は︑価額通告をする利益を有しないであろう︒

他方︑運送人は︑割増運送賃の額を︑そして︑通告の実行そのものを︑荷送人と交渉しうるのであれば︑服従的地位

(2 ) 

にある者ではないであろう︒﹂というのである︒

そして︑みずからつぎのような問を設けて︑それに答えることによって︑自己の立場をより明確にしている︒すな わち︑﹁荷送人が運送人によって呈示された割増運送賃が高すぎる︑と主張するが︑通告の放棄を欲しない場合︑い かなる結果になるか?﹂という問に対して︑﹁法律の精神より︑荷送人には︑運送契約締結後も︵船積前であれば︶︑

価額通告をなす形成権が認められ︑他方︑運送人は︑服従的地位にあり︑

(3 ) 

げることはできない︒﹂と答えるのである︒

さら

にい

ばえ

T u l l

0

i

によると︑割増運送賃の料率の事前設定は︑荷送人に価額通告権があることを了知させ︑価

額通告を容易にする︑という観点からすると︑評価に値するにしても︑価額通告制度の問題から外れる︑とされる︒

関法第四六巻第四・五・六号

いかにしても︑価額通告の効果の発生を妨

(1

0

一 六 ︶

運送

品の

価額

通告

制度

につ

いて

すなわち︑限度額の排除の対価としての割増運送賃の決定は︑運送人の合意の介在により特徴づけられた双方的行為

であり︑航行法第四二四条および新条約第四条第五項

g

文︵わが国の国際海上物品運送法第一五条第二項第一文︶に

(4 ) 

規定の当事者双方の合意による荷送人に有利な特約に該当することになる︒

(1

T u l l i o ,   P r o f i l i   c i t . ,   p a

g .  

30 . 

(2

T u l l i o ,   o p .   c i t . ,   p a

g .  

3 1.  

(3

T u l l i o ,   o p .  

cit••

l o c o   c i t .  

(4

T u l l i o ,   o p .   c i t . ,   p a

g .  

33 . 

おそらく︑あらかじめ通常の運送賃と割増運送賃の料率が運送人によって定められており︑荷

送人

がそ

のい

ずれ

の料

率を

選択

する

かの

自由

を有

して

いて

も︵

運送

人は

荷送

人の

選択

にし

たが

うだ

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︑そ

れは

︑荷

送人

一方

的意

思で

はな

く︑

荷送

人と

荷送

人の

双方

的な

合意

とす

るの

であ

ろう

荷送人の価額通告を運送人が不当に拒絶した場合だけではなく︑運送人が要求した割増運送賃が高すぎる場合にも︑

(1 ) 

価額通告制度の作動・荷送人の私的自治が侵害されることになる︑というような大方の主張に比べると︑荷送人の価

額通告に対して︑運送人は割増運送賃の請求をなしえず︑割増運送賃を支払ってする価額通告は当該行為の一方的性

たしかに︑航行法第四二三条は︑価額通告の時期を﹁船積前﹂としており︑そして︑価額通告に対する割増運送賃

の徴収可能性については言及していない︒運送契約締結後・船積前に価額通告がなされた場合︑運送人が割増運送賃

の請求をなすための明示的規定に欠けることは事実である︒しかし︑航行法第四二三条の規定の形式が

T u l l

i 0

の主

質を失わせる︑とする

T ul l i o

の主張は︑刺激的である︒ 固

T ul l

i o 教授の指摘によせて

三一五

(1

0一 七

張を可能にしたわけではない︒旧条約第四条第五項第一文および新条約第四条第五項a文も︑価額通告の時期を﹁船 積前﹂としており︑割増運送賃については言及していない︒また︑わが国の国際海上物品運送法第二二条第五項にお

(2 ) 

いても︑その﹁運送の委託の際﹂の文言を﹁船積前﹂と解することができれば困難であろうが︑やはり︑割

増運送賃についての言及はなされていないのであるから︑同様の主張が成立する背景は整っている︒

主張の本質は︑割増運送賃を支払ってする価額通告が当事者双方の合意に基づく双方的行為︑というべきかにある︒

荷送人の私的自治ないし一方的な選択の自由の完全な形態は︑

T u l l

i 0がいうように︑運送人の同意および割増運送賃

を要しないものである︒しかし︑通常は荷送人の私的自治の範疇に入れられている例︑すなわち︑通常運送賃︵法定

限度額に対応︶と割増運送賃︵限度額の排除に対応︶の料率があらかじめ運送人によって設定されており︑荷送人に

そのいずれを選択するかの自由が認められ︑運送人は荷送人の選択に逆らうことが許されていない場合︑はたして︑

航行法第四二四条︵新条約第四条第五項

g

文および国際海上物品運送法第一五条第二項第一文︶が規定する運送人と

荷送人の合意に基づく特約・双方的行為︑といいうるであろうか︒

回答を呈不するまえに︑航行法︵条約およびわが国の国際海上物品運送法︶

①法定限度額︑②価額通告による実価賠償︵無限責任︶︑および︑③運送人と荷送人の合意に基づく約定限度額の三

とおりである︒②は︑荷送人による運送品の性質・価額︵実価︶

(1

0 一八

の規定する限度額を確認しておこう︒

の通告があれば︑その価額︵実価︶が限度額になる︒

運送人は︑通告の正確性を争うことはできても︑通告された価額が正確であるかぎり︑その額を責任限度額とするこ とに反対することができない︒すなわち︑運送人は︑限度額の設定については︑荷送人と交渉する可能性を有してい ない︒運送人が決めることがで彦るのは︑運送賃の額だけである︒とりわけ︑割増運送賃の額があらかじめ設定され

関法第四六巻第四•五・六号二六

ドキュメント内 運送品の価額通告制度について (ページ 31-37)

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