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SNR490 降伏応力

4.3 木層ウォールのロボット切削加工について

4.3.3 ロボット加工環境の設計

4.3.3.1 切削ロボットの選定

産業用ロボットは、安川電機、ファナック、川崎重工、ABB(スイス)、KUKA(ドイツ)な ど、国内外様々なメーカーが挙げられるが、本プロジェクトでは KUKA 社製のロボットを使 用している。その大きな理由が、反復精度、軌跡精度、機械剛性が高い点である。とりわ け、位置繰り返し精度が 100 分台以上の反復精度を実現している。

位置繰り返し精度とは、最初にスタート点を正確に決定し、ロボット作業が終わり再び 同じ教示点へ戻ってきた際の位置再現精度を表したものである。また、軌跡精度とは、速 度などの変化による軌跡線の精度を表したものである。これらの数値が小さいほど、より 正確な切削が行えるのである。

4.3.3.2 次世代型のロボット切削機の開発

今回の加工に使用したロボット切削機は、筆者らが開発を手がけている次世代型のロボ ット切削機をベースに行った。全長 12m に及ぶ LVL の大断面の材を加工できるよう、240kg 可搬に対応した KUKA 社の 6 軸垂直多関節ロボットに外部 1 軸のリニアレール(8m)を加 え、レール上を自在に稼働するロボットの特性を活かした仕様だ。マニピュレータの最大 加工範囲は、3m(幅)×12m(長)とした。

4.3.3.2-1 筆者らが開発を手がけている次世代型のロボット切削機

4.3.3.3 治具の開発

切削加工において、把持計画はもっとも重要な事項のひとつである。大型の LVL 材料の 搬入、ワーク固定、切削加工、搬出の一連の作業工程の計画を検討しながら、治具開発を 行った。治具とは、材料を固定し、刃物の作業位置を誘導するために用いる器具の総称で ある。とりわけ 3m 以上の大判 LVL パネルは、重量が増加するため、加工後の製品を破損し ないよう、リフターとフォークリフトを活用した運搬計画を設計した。

4.3.3.3-1 開発した治具の図面

4.3.3.3-2 治具設置の様子

4.3.3.4 エンドミルの開発

木切削工程では、刃物の適性が加工に大きな影響を与える。加工品質として良い結果を 導くためには、このエンドミルの開発が大きな鍵を握っている。LVL の素材特性や削りだ す形状に合わせ、切削精度、加工能力を加味しながら刃物を最適化することによって、正 確に、そして美しく切削できるようになる。しかしながら、先に述べたように、日本にお ける木加工用のエンドミルの開発はあまり進んでいない。木の文化が発達しているはずの 日本で、木加工の機械化が大きく遅れているのが実状だ。そのため、ドイツ製の木加工専 用エンドミルを使用することとした。

とりわけ本プロジェクトにおいては、最終的な木層パネルの厚みが 150mm であるため、

刃物の径は、全長の約 1/3 ほどの大きさを目標に選定を行った。最終的に刃長 160mm、刃 径は、40mm の耐久性の高いチッピング刃を採用した。刃長が非常に長く、切削時に不安定 であるため、スピンドル回転数 18000(RPM)で刃物のバランス調整を行った。

また、側面形状の輪郭加工には、刃径 125 の大型カッターを採用し、同様にスピンドル 回転数 12000(RPM)での最適化を行った。

4.3.3.4-1 LVL に最適化された刃物(左:大型カッター、右:エンドミル)

4.3.3.4-2

エンドミルをマニピュレータに装着した様子(左:大型カッター、右:エンドミル)

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