地域の発展や国家の発展を支援するための知識・技能を習得させること」とされ、次の3 点があげられた。それは、 ①当該地域社会における自然環境、社会環境及び文化社会環境 を知り、それに親しみ、 ②社会環境にとって有益な当該地域に関係する知識・技能を習得 し、 ③生徒が当該地域における諸価値や規則に合った振る舞いあるいは態度をとり、国家 の開発を支援するために、当該地域文化の崇高な諸価値を保持、発展させること、である。
リアウ州では、 「地域科の一般目標」は、 「生徒は、当該地域環境についてしっかりと した考え方を持ち、国家開発とリアウ州の地域開発に役立つ自然の資源と文化を維持し、
発展する態度と行動をとることができる。自然環境を維持する態度や行動がとることがで き、技能を習得するために、まずは学ぶことからはじめ、認識し\習得し、活用し、労働 精神を育成するようにする。そのため地域科の目標は、 ①環境について学び、高く評価さ れている手工芸、特にリアウ地域において高い経済的価値の成果を生む手工芸を含む文化 の維持に参加させ、 ②社会で生きていくための能力とより高い(教育)段階に進むための 知識と技能を与え、 ③生活に必要なものを揃えられ、自分自身だけでなく両親をも助けら れる能力を与えること」とされている。
ジャカルタ特別市では、地域科の「一般目標」は、 「①周辺社会に親しみ、地域社会か ら孤立することを防ぎ、 ②両親と自分自身に役立つことができ、生活の中での必要を満た すことができ、 ③当該地域社会における社会環境、文化環境及び自然環境について知り、
それらを評価し、 ④当該地域について深く理解し、 ⑤身近な問題を解決するために知識・
技能を有効に使うことができる」である。
イリアン・ジャヤ州では、地域科の目標は、 「地域科の一般的な目標は、生徒に当該地 域についてしっかりとした考え方を持たせ、国家開発や当該地域の開発を支える自然の資 源や文化を維持し、発展させる準備をさせることである。特別な目標は、 ①自然環境、社 会環境及び文化環境についてより深く学び、 ②当該地域社会に親しみ、孤立することを防 ぎ、 ③身の回りで起こる諸問題を解決するために教えられた知識や技術を活用することが でき、 ①生活の中での必要を満たすための特別な技能を習得する、 ⑤地域に関する学習内 容を利用することができる」である。
このように、多少の具体的な表現の差はありながらも、各州の地域科の目標はほぼ同じ であり、国家レベルでの地域科目標ともほぼ同じであり、国家レベルでの目標を受け継ぎ、
「地域を知り、地域を愛し、地域で自立し、地域開発に役立つ人材の育成」を地域科の教 科目標としている。
2.州レベルにおける地域科の科目構成
次に地域科の構成科目についてであるが、第2章で既に述べたように、教育文化省が示 した地域科内の科目の設定方法は、地域の状況(自然環境、社会環境、文化環境)とニー ズから考えられた4つの「地域科の機能」を基盤として決めるというものであったOその
4つの「機能」とは、 ①地域の文化を保持、発展する、 ②特定分野における技術・能力を 向上させる、 ③日常において必要な英語を習得する、 ④自営業を行う能力を向上させる、
であるQ
ここでは、各州事務所はどのような科目を地域科に設定したのか、それは国家レベルで 示された4つの「地域科の機能」に即しているのか、という全体的な傾向を把握するため
に、各州が地域科に設定した科目を、 4つの「機能」に対応させて分類し、表3‑1に示 した。
なお、表内の「その他」とは、教育文化省発行の最終的なガイドラインに例としてはあ げられていない科目で、 4つの機能に分類できない科目である。
表 1 27州における地域科の科目構成
能別 にみた科 ① 地域 の文化 を ②特定分野にお ③英語 ④ 自営業 を行 う 4 つ の機能 に分 構成 保持、発展する ける技術 . 能力 を 習 得 能力 を向上 させ 類できない科 目
州 を向上させる する る.
1.アチエ特別州 アチエ語 地域の工芸技術 英語 アラブ語筆記
礼儀 と倫理観の 形成
2.北スマ トラ州 ムラユ語 英語 観光 イン ドネシア ア
ラブ ムラユ語
北タブセル語 農業
南タブセル語 電気
ニアス藷.
3.西スマ トラ州 ミナンカバ ウ世 ミナ ンカバ ウの 農業技術 アノレクノレア ンの
界の文化 伝統技術 読み書き
アラブ ムラユ語 の読み書き
4. リアウ州 地域の芸術 手工芸 英語 Sft }t アラブ ムラユ語
地域の文化 家内工業 農業
コンビユーダー 電気
5. ジャンビ州 ジャン ビ地域 の 芸術
手工芸 . 英語 漁業技術
農業技術 果樹栽培技術 飼育技術 観光
6. 両スマ トラ州 坤方語 手工芸 英語 農業技術
地域の芸術 地域のスポーツ 7. プンクル州 ル ジャンの地方
語
バス レlj ク織物 農業
編み物 漁業
地域の芸術
8ーランプン州 ランプン語 編み物 . 刺繍 英語 農業技術
ランプン地域 の 芸術
飼育技術 果樹栽培技術
9. 西ジャワ州 スンダ語 編み物 英語 機械技術
チ レボン語 手工芸 電*¥技術
カ ラウイタン 裁縫技術 農業 .
舞踊 陶芸 タイ プ
護身 術 装飾 . 記帳
コンピュー ター 10.ジ ャカルタ特別
市
ジ ャ カル タの 芸 術
手工芸 英 語 農 業技術 ジ ャカ ル タ生 活
環境 の教育
料理方 法 電気
着付 け タ イ プ . コ ン ピ
ュー ター技術 技術
ll.中ジャワ州 ソロの結婚式 料理方法 自動 車技 術 自分 自身 と地 域
地方 語 バテ ィ ック技術 電気技術 環境
彫 刻の技術 (木 ) タイ プ技術 彫 刻 . 絵 画 (秤
7 ‑co a i)
コンピュー ター
12.ジ ヨグジ ャカル タ特別 州
ジャワ語 手 工 芸 (編 み 物 . バ テ ィ ック . 彫亥i)
英語 農 業技術
踊 り .事務 (タ イ プ 技
術 . 経営) カ ラ ウイタン
家 庭 生 活 (料 理 . 衣服 .住居 )
テク ノロジー (電 気 . 自動車) 観 光 13.東 ジャワ州 地方語 (ジ ャワ.
マ ドゥ} ラ等)
地域 の技術 英語
家庭生活 地域 の芸術
14.バ リ州 バ リ語 裁 縫 英語 農業
m m .家 内工業
伝統 的な遊 び 編み物 社 会 構 造 とア ダ ッ ト
彫刻
ガム ラン 絵画
踊 り
15.酉ヌサ . トウン ササ ック語 地 域 特 有 の 技 術 地域 特有 の技術
1 ガ ラ州 ビマ語 (手 工 芸 、 家庭 (基 本 的 に手 工
(州 で 基 本 的 に示 地域 の歴 史 領 域 、 ロガ ン 工 芸 分 野 の 内容 が され た科 目は 4 科
目で あ る が 、 県 ご
地域 の芸 術文 化 芸 等) 多 い が、 地 域 に よ って は漁 業 が 芸術 文 化 とア ダ
とに細 か く分 類 し てい る)
ツ ト 含 まれ るため)
ダ ン プ地 域 の 歴 史
芸術
16.東 ヌサ . トウン 東ヌサ . トウン 地域 の技術 英語
ガ ラ州 ガ ラ州の社会文 化環境
17.南カ リマ ンタン バ ン ジ ヤル 語 と バ ンジ ヤル特有
州 文学 (必修) の技術
バ ンジヤル地域 の文化芸術 18I東 カ リマ ンタン
捕
地域芸術 地域 の工芸技術
伝 統 的 な ス ポ ー ツ
地方語 19l酉カ リマ ン タン
州
ア ダ ッ トと伝 統 の学習
地域 の工 芸技術 農業 手段 .方 策 農業産業
地域の芸術 観光
20.中カ リマ ンタン ガ ジユ ダヤ クの 伝 統 的 な 手 工 芸
州 地方 語 技術
伝 統 的 な 芸術 . 伝 統 的 な ス ポー
ツ
21‑北ス ラウニシ州 地 域 の文 化 . 地 方語
航海技術 栽培技術 農 耕産業 観 光 22一南ス ラ ウエシ州 地域の芸術 家 内手 工芸 英語 農 業技術
地方語 裁縫 果樹栽培 技術
アダ ッ ト 飼育 技術
地域 のスポー ツ 漁業技術
鉱業 技術 電気技術 23.中ス ラウエシ州 地方 語 編 み物技術 英語 鶏 と家鴨 の飼 育
地域 の芸術 魚 の養殖
アダ ッ ト 農業 . 果樹栽培
24.東 南スラ ウニシ 州
地方 語 地 域 の 手 工芸 技 術
英語 農 業
地域 の芸術 果樹栽培 . 園芸
地域 の文化 畜産業
地域 の遊 び 漁業
25.マル ク州 地方語 手 工芸 英語 航海 技術
地域 の文化 農 業技術
26イ リアン 一ジヤ 地 域 の 文化 と芸 地域 の手工芸技 英語
ヤ州 術 術
伝 統 的 な ス ポ ー
ツ
27.東チモール州 テ トウン語 手工芸 農業技術
地域 の芸術
注:全27州の教育文化省州事務所が発行した「地域科カリキュラム」より筆者作成。
各州が地域科に設定している科目の数は、南カリマンタン州や中カリマンタン州のよう に3科目しか設定していない州から、西ジャワ州のように14科目設定している州まで様 々である。
27州全体において設定されている科目の種類とその設定科目の総数を全体で捉えれば、
① 「地域の文化を保持、発展する」機能に対応する科目は、全州が何らかの科目を設定し ており、 「地方語」科、 「喝域のアダット」科、 「護身術」科、 「結婚式」科、 「詩歌」科、
「遊び」科、 「文学」科、 「伝統的なスポーツ」科、 「民謡」科、 「絵画」科、 「彫刻」科、
「地域の伝統舞踊」科等その種類は多岐にわたり、全州で設定されている科目総数は71 である。 ② 「特定分野における技術・能力を向上させる」の機能に対応する科目も全州が 何らかの科目を設定しており、 「料理方法」科、 「編み物」科(竹・ラタン)、 「織物」科、
「刺繍」科、 「着付け」科、 「陶芸」科、 「インテリア」科、 「バティック」科等その種類 も多岐にわたり、全州で設定されている科目総数は、 42ゼぁる。 ③ 「日常において必要 な英語を習得する」機能に対応する科目は、英語のみであり、 17州が設定している。 ㊨
「自営業を行う能力を向上させる」機能に対応する科目は、 19州が何らかの科目を設定 しており、アチェ州、東ジャワ州、西ヌサ・トウンガラ州、東ヌサ・トウンガラ州、南カ リマンタンJ)県東カリマンタン州、中カリマンタン州、イリアン・ジャヤ州の8州は設定 していない。科目の種類は、 「農業」科、 「漁業」科、 「畜産業」科、 「果樹栽培技術」科、
「製材技術」科、 「コンピューター」科、 「経営」科、 「航海技術」科、 「観光」科等多岐 にわたり、全州で設定されている科目総数は63である。 ①と②の機能については、全州 が対応する科目を設定しているが、 ③と④の機能については対応する科目を設定していな い州があるO各機能に対応して一つの州が設定している科目数の平均値は、 ①の機能に対 応する科目は2.62科目、 ②の機能に対しては1.55科目、 ③の機能に対しては0.62科目、
④の機能に対しては、 2.33科目設定されている。いずれも平均からみてさほど多くの科目 を設定していないと言える。
設定された科目の多くは、 1987年に出された「実施に向けての手引き書」か国家レベ ルでの地域科指針に例示されていたものであった。国家レベルの地域科指針に例示されて いなかった科目で、 4つの機能に対応し射、科目と考えられる科目は、ジャカルタ特別市 の「ジャカルタ生活の環境教育」科、中ジャワ州の「自分自身と地域環境」科∴アチェ特 別州の「アラブ語筆記」科、北スマトラ州の「インドネシアアラブムラユ語」科、西ス マトラ州の「アルクルアンの読み書き」科と「アラブムラユ語の読み書き」科、リアウ 州の「アラブムラユ語」科であるO 「ジャカルタ生活の環境教育」科や「自分自身と地 域環境」は、 4つの機能に即したものではないが、 「地域の状況」しての自然環境、社会
環境及び文化環境について総合的に取りあげた内容のものである。 「ジャカルタ生活環境 の教育」科の教授プログラム概要によると(資料1)、その「機能」は、 「①国家教育の 目的を達成する努力において、教育の質とインドネシア人の質の向上を目指し、地域文化