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3. ピアノでの舞曲演奏

3.5. ラヴェル「クープランの墓」

3.5.2. リゴドン

リゴドンは17、18世紀にフランスとイギリスで人気を呼んだフランス風の民族舞踊、宮 廷舞踊および器楽形式である。2拍子のリゴドンはフランスのバレエやオペラに幅広く利用 された。リゴドンに特有のステップであるパ・ド・リゴドンは、3つの動き(片脚跳び、ス テップ・ステップ、跳躍)から成るステップであり、音楽の3つの4分音符に対応して踏ま れた78

舞踏譜12 リゴドンの舞踏譜

78 メレディス・エリス・リトル「リゴドン」『ニューグローヴ世界音楽大事典』 東京:講談社、1995 年、第19巻、365~366頁。

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演奏会の際に使用した舞踏譜は、上記のトムリンソンによるものである79。使用楽曲はニ コラ・シレ作曲のリゴドンである。2小節からなるパ・ド・リゴドンステップは、赤く囲ん だ楽譜の箇所(繰り返し後)で行われる。

リゴドンについて一番意外だったのは、跳躍の在り方である。民俗舞踊というイメージか ら、大胆で力強い跳躍を思い描いていたのだが、この舞曲においても跳躍後の着地はつま先 から行うため、着地はしなやかなものであった。実践してみると、粗野な動きは回避され、

ステップに軽さと躍動感が生まれた。つま先から着地するためには、身体を常に引き上げて おく必要があり、それに伴って、より内側の細かい筋肉を利用することになる。ピアノ演奏 において、鍵盤に触れる指先の面積と、重さを乗せる際の神経のこまやかさが反比例するの と近い感覚であろう。

前述したメヌエットにおいては楽譜上の 1 小節目と 2小節目で拍の質感が異なったのに 対し、リゴドンでは1 小節 2歩の跳躍ステップを基本として毎小節の頭に着地する(体重 が乗る)。水平方向に進むというよりも、小節の頭に垂直方向のアクセントがあり、その拍 感を持ちながら4小節、8小節フレーズを大きくつかんでいく印象であった。

共演に際しては、毎小節1拍目の拍点がぼやけないよう、肘を外に逃がさず、前腕を水平 に保った上でのまっすぐな打鍵を心がけた。腕や手首の曲線的な動きを避け、シンプルな動 きで打鍵をすることで、舞踏の拍感とかみ合うようになった。

リゴドンの特徴的なステップであるパ・ド・リゴドンでは、空間移動を伴わず、その場で 垂直方向の跳躍を行う。まず、跳躍を経て、片足での着地点が音楽上の1拍目と一致する。

そのとき、浮いている足は外側に伸ばされており、1拍目の裏でその足を身体の下に引き寄 せ、体重を乗せるのと同時に、逆の足が同様に外側に伸びる。2拍目で第1ポジションに揃 った両足でプリエをし、その流れで跳躍をして、次の小節の1拍目で同じポジションに着地 する。洗練された優美な動きではなく、快活で素朴、少々田舎っぽい印象を与えるステップ である。

ステップのリズムは であり、ラヴェルの楽譜であれば、譜例37-40のような 音型に当てはまると思われる。

79 Jennifer Shennan(ed.), A Workbook by Kellom Tomlinson.

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譜例37 譜例38

譜例39 譜例40

譜例37-40 パ・ド・リゴドンが想定される箇所

パ・ド・リゴドンの身体感覚を生かして演奏する際は、1 拍目が着地から始まること、2 拍目の裏で跳躍によって身体が引き上げられていること、2小節目の頭で両足揃って着地す ることを意識しておくと良い。観客に相対した状態で、活気に満ちたパ・ド・リゴドンをも って曲を始めるのは非常に印象的であろう。パ・ド・リゴドンに続く音型は、パ・ド・ブレ のように軽い跳躍を伴いながらも水平方向の移動を礎とする身体感覚を持って演奏すると、

ニュアンスの違いを表現できるであろう。(譜例41参照。)

譜例41 リゴドン冒頭部分

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