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ラジオ受信機の標準試験法

ドキュメント内 2 (ページ 123-165)

ラジオおよび無線用受信機の試験法としては,米国のIREによる方法が世界的 な標準となっているので,ここにその全文を掲げて参考に供しよう。

6 1 緒言

現今のラジオ受信機はその動作様式が多種多様にわたっており,基本的諸特性 に対して単一の試験法を定めることは困難であるので,各種受信機の特殊性に順 応しうるようにした試験方法を定めてある。一般に各種受信機に適用しうる試験 装置,入力および出力の調整,動作状態およびどの受信機にも適用しうる調整法 を定めることはこれより簡単である。次に感度,選択度,忠実度およびその他の 特性の推奨しうる測定法の概略を述べることとする。

6 2 術語の定義

〔1〕放送周波数帯における標準試験周波数 試験を行う7搬送周波数の標準の 組み合わせを540,600,800,1,000,1,200,1,400および1,600kcとする。また試 験を行う3搬送周波数の標準の組み合わせを600,1,000および1,400kcとする。

〔2〕標準アンテナ入力電圧 各試験用標準空中線入力電圧を次の4つに定める。

(1)「遠距離信号電圧」(distant-signal voltage)は1V以下86dBまたは50µVと する。

(2)「中距離信号電圧」(mean-signal voltage)は1V以下46dBまたは5,000µVと する。

(3)「近距離信号電圧」(local-signal voltage)は1V以下20dBまたは100,000µV とする。

(4)「強信号電圧」(strong-signal voltage)は1Vとする。

〔3〕標準ループ・アンテナ入力信号1)

(1)「遠距離信号」ループ・アンテナ入力は1V以下86dB/mまたは50µV/mと する。

(2)「中距離信号」ループ・アンテナ入力は1V以下46dB/mまたは5,000µV/m とする。

1)上述のループ・アンテナ用電界強度はこれに相当する階級の標準アンテナ入力電圧と等価ではない。たとえば,アンテナ 使用の場合「中距離信号」電圧は5,000µVであって,これは標準4mのアンテナ(〔12〕を参照))を使えば1,250µV/m の電界強度に相当するのである。これに対してループ・アンテナ使用の受信機では,中距離信号電圧は独自に5,000µV/m をとる。

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(3)「近距離信号」ループ・アンテナ入力は1V以下26dB/mまたは50,000µV/m とする。

(4)「強信号」ループ・アンテナ入力は1V以下14dB/mまたは200,000µV/mと する。

〔4〕感度試験におけるアンテナ入力 入力感度とはすべての調節器を最高感 度状態にした受信機に標準疑似アンテナを通して400c/s,30%変調の規定の搬送周 波数を加えた場合,規定試験出力を得るに必要な最小入力信号電圧をいい,1V を基準としたdBまたはµVで表わす。

〔5〕感度試験におけるループ・アンテナ入力 感度試験におけるループ・ア ンテナ入力とはすべての調節器を最高感度状態にした受信機のループ・アンテナ に誘起するように加えた場合,規定試験出力を出すに必要な400c/s,30%変調の規 定の搬送周波数の最小信号電界をいい,1V/mを基準としたdBまたはµV/mで 表わす。

〔6〕妨害試験の入力 妨害試験の入力とは妨害試験においてその出力となる 特定周波数の妨害信号の最小電圧あるいは電界をいい,1Vを基準としたdBまた

µV,ループ・アンテナを使用した受信機の測定においては1V/mを基準とし

たdBまたはµV/mで表わす。

〔7〕セレクタンス セレクタンスとは(6・4節〔5〕–3)に述べる選択度曲線 において同調周波数とそれより1チャンネルの幅(1放送チャンネルの幅は10kc である)の規定倍離れた周波数よりnチャンネル高い周波数における比はS+n で,またnチャンネル低い周波数における比はS−nで表わす。これらの比の幾 何平均値をSnで表わし,dBで表わすとSnS+nS−nとの算出平均値に なる。「隣接チャンネル減衰度」(ACA)および「第2チャンネル減衰度」(2ACA) という言葉はそれぞれS1およびS2に対応して使用する。

〔8〕帯域幅 ラジオ受信機の選択度に対する帯域幅とは選択度曲線の縦軸上 の規定レベルにおける曲線の幅をいう。

〔9〕標準試験出力

(1)無 ひ ず歪 み最大出力が1W以上の受信機では標準疑似負荷に生ずる可聴周波出力 0.5Wを標準試験出力とする。

(2)無 ひ ず歪 み最大出力が0.1W以上1W未満の受信機では標準疑似負荷に生ずる可 聴周波出力0.05Wを標準試験出力とする。この値を取ったときはそのこと を明記しなければならない。明記しないものは0.5Wとする。

(3)無 ひ ず歪 み最大出力0.1W未満の受信機では標準疑似負荷に生ずる可聴周波出力

0.005Wを標準試験出力とする。この値を取ったときはそのことを明記しな

ければならない。

(4)自動車用受信機では標準疑似負荷に生ずる可聴周波出力1Wを標準試験出力

とする。

〔10〕妨害試験の出力 妨害試験の出力は標準試験出力の30dBすなわち0.001 倍とする。

〔11〕無歪み最大出力いわゆる無 ひ ず歪 み最大出力とは一般に与えられた動作状態 で,基本周波数の皮相電力の1%に当る高調波出力を含む出力の最小値を採用し ている。これは純抵抗負荷で測定した場合に全高調波電圧の自乗の和の平方根値 が基本波電圧の自乗の和の平方根値の10%に等しいことに相当する(合成波の自 乗の和の平方根電圧とは各成分電圧の自乗の和の平方根である)。

標準信号 発生器

200p 20µH

400p 400Ω

標準疑似アンテナ

アンテナ

アース ラジオ 受信機

6・1図 標準疑似アンテナ定数とそのつなぎ方

|Z|,X,R

2,000 1,000

100

10

0.4 1.0 10 30

周波数〔Mc〕

R

X

|Z|

62図 標準 疑 似 アン テ ナの イ ン ピーダンス特性

〔12〕標準アンテナ 標準アンテナは4m の実効高をもつ屋外単線アンテナ(導入線を 含む)とする。このアンテナに代わるべき広 い周波数範囲にわたってほとんど等価な疑似 アンテナは第61図に示すようなもので,そ のインピーダンス特性は第6・2図のように なる。

6 2 ラジオ受信機の試験法

1〕試験に必要な機器 ラジオ受信機で 540〜23,000kcを受信しうるものを試験する 機器は,かなりよく標準化されていて,実際 の使用状態にできるかぎりよく一致した方法

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外部変調用 低周波発振器 30〜10kc

RF 発振器

電圧計 または 電流計

減衰器 疑似ア ンテナ

供 試 受信機 変 調 器

変調度可変

400c/s 発振器

スピーカ マイクロホン 増幅器

振 幅 記録計

疑  似 出力負荷

AF 電圧計 または 出力計

波形分析装置

音響測定方式 63図 ラジオ受信機の試験に必要な各種測定器の配置

で試験できるように考えられている。各種の試験に使用される試験装置は,第63図に示すように配置する。その根本になる測定装置は標準信号発生装置であっ て,変調は400c/sの固定周波数で行われる。これと供試受信機のアンテナとの間 に標準疑似アンチナを置く。これは実際に使うアンテナと同じインピーダンスに なるように作られたものである。受信機のアンテナがループ・アンテナによるも のに対しては,放射ループ・アンテナまたはそれと等価なものを使って,入力を 加える方法をとる。このループ・アンテナについては後述する。

受信機の低周波出力は標準疑似負荷(負荷抵抗)の両端の電圧を計って電気的 出力を求めて,直接mW単位で表示する。電気的出力の測定のとき雑音

(back-ground noise)が希望信号出力に対してある程度以上ある場合は,希望可聴周波信

号に同調した帯域 濾  波 器を負荷抵抗と出力計の間に挿入する。受信機の音響的出 力の測定は別の方法で行う。

受信機内で生ずる可聴周波 ひ ず歪 みは重要な問題であって,次の2つの方法で測定 する。

(1) 5,000c/sまたは10,000c/sにわたる全可聴成分の自乗の和の平方根値を測定す る装置により,基本周波数の振幅と比較する方法(この測定では普通,基本周波 数を400c/sにする)。

このための測定器は出力計と帯域阻止 濾  波 器であって,  濾   波 器は疑似負荷と出 力計との間に挿入し,基本周波数の信号電圧を無視し得る程度に減衰させ全高調 波を減衰することなく通過させて両者を区別する。

はじめに全高調波を含んだ総出力信号電圧の自乗の和の平方根値または電力を

測定する。次に 濾   波 器を挿入し高調波成分だけの電圧の自乗の和の平方根値また は電力を測定する。

(2) 第2の方法では,各高調波成分を基本周波数に対して別々に測定する装置 を使用する。このような装置には次の2つのものがある。

第1の型は多数の 濾   波 器(フィルタ)よりなるもので,その 1つは基本周波数 に,その他は3つまたは4つの隣接した高調波群に同調させる。ハムも測定しな くてはならない場合は, 濾   波 器の 1つを電源周波数に同調させるが,このときは 電源周波数の高調波に同調させたものを併用する。各周波数成分は,測定周波数 以外の各周波数分を分解するために,疑似負荷と出力計との間に測定周波数に対 応する 濾   波 器と順番に接続し,その出力側で別々に測定する。

第2の型の装置は,超可聴周波数において,特に鋭い特性を有する 濾   波 器を使 用するもので,この装置では測定周波数群を,まずこれと同じ関係周波数差およ び振幅比の超可聴周波数群に周波数変換する。それには可変周波数の搬送波を測 定しようとする周波数群で変調し,次に搬送波と側波帯の片方を除去して,本来 の周波数群と同じ周波数差および振幅比を有する超可聴周波数群を取り出す。次 に取り出した側波帯を,都合のよい狭帯域 濾  波 器に加える。この加えた搬送波の 周波数を変化させると,高周波群の各成分周波数は順次に 

濾   

 器を通過し,周波 数および振幅を測定することができる。

混変調(intermodulation)は,信号に含まれている各成分周波数間の混信変調 (cross modulation)あるいは混変調による一種の可聴周波 ひ ず歪 みであり,関係周波 数の和および差の周波数が生ずる。これらの周波数はもとの周波数と高調波の関 係にないため,再生音の質を損なうものである。

高調波 ひ ず歪 みおよび混変調 ひ ず歪 みはともに回路の非直線性によるもので,一般に混 変調 ひ ず歪 みの量と高調波 ひ ず歪 みの量とは相互に関係がある。しかし高い周波数で ひ ず歪 み があるときは,混変調 ひ ず歪 みは大きいが,高調波 ひ ず歪 みは高い周波数の利得が減衰す るので非常に小さくなる。一般に非直線性が周波数の関数になるときは高調波 ひ ず歪  みと混変調 ひ ず歪 みの間の相互関係は少なくなると考えられる。したがって混変調 ひ ず歪  みの測定は,通常の高調波 ひ ず歪 みの測定によって表わすことはむずかしい数種の ひ ず歪  みのあることを示すものである。

混変調 

ひ ず

 みの測定に使用する機器は,可聴周波 

ひ ず

 みの測定に用いるものと同じ で,そのうえに信号発生器が2種の異なる可聴周波で同時に変調することが可能 で,しかもその変調率を調節できるものでなければならない。その試験法は後に

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