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第3章 モダニズムから現代へ

第1節 現代アメリカの宗教事情

第1項 ピュー研究センターによる調査結果とその概説

1.世界宗教の将来:2010年から2050年の宗教人口予想

第2章では19世紀後半から20世紀半ばまでの北米およびハワイの真宗思想の流れ を検証してきたが、本節では2015年4月2日にピュー研究センター (Pew Research

Center) が発表した調査結果 にもとづいて、21世紀における現代アメリカの宗教事情

を概観し、将来の動向について考察を行う。ピュー研究所はピュー慈善信託 (The Pew

Charitable Trust) の融資を受けて、アメリカ合衆国や世界における人々の問題意識や社会傾

向に関する情報を調査するシンクタンクとして、2004年にアメリカ合衆国のワシント

ンD.C.に設立された。先ず始めに扱う調査結果は、ピュー・テンプルトン・グローバル・

レリジャス・フューチャー・プロジェクトの一部として、世界における宗教の動向と社会 的影響を分析する目的で行われたもので、The Future of World Religions: Population Growth

Projections, 2010-2050(世界宗教の将来:2010年から2050年の宗教人口予想)とし

てまとめられている。総合的に175カ国、世界人口の95%を対象とした国勢調査や人 口統計調査からの2,500データ資料を使用して調査結果となっている。 具体的な調 査結果に入る前に2050年に向けて予想される世界における宗教人口の概説を以下に示 す。

世界における宗教の様相は出生率や青年人口、また宗教改宗によって急速に変化して いる。今後40年のあいだに、キリスト教は依然として最大な宗教として留まるが、

イスラム教は他のどの宗教よりも早いペースで発展すると予測される。

イスラム教徒人口はキリスト教徒人口とほぼ同じとなるであろう。

無神論者やどの宗教にも属さない人口は、アメリカ合衆国やフランスでは増加の傾向 が見られるが、世界的には減少するだろう。

仏教徒人口は2010年と横ばいになるだろうが、ヒンズー教徒やユダヤ教徒人口は 今日より多くなると予測される。

ヨーロッパでは、イスラム教徒がヨーロッパ人口の10%を占めることになるだろう。

インドでは大半がヒンズー教に留まるが、イスラム教徒人口が増加して、その数はイ ンドネシアのイスラム教徒数を越すと予測される。

アメリカ合衆国のキリスト教人口は減少して、2010年の合衆国人口の4分の3か ら2050年では3分の2となるだろう。またユダヤ教は対キリスト教のなかで最大 人口を有することはなくなるだろう。イスラム教徒人口はユダヤ教徒より多くなるだ ろうと予測される。

キリスト教徒人口の10人に4人は、サハラ砂漠以南に住居することになるだろう。

本調査で Buddhist(仏教徒)として取り上げられている定義は、大乗仏教、小乗仏教、

またチベット仏教ともいわれる金剛乗仏教を指す。よって他の仏教宗派は含まれていない。

なかでも大乗仏教は中国、日本、韓国、韓国が大半を占め、小乗仏教はその二番目に大き く、タイ、ミャンマー、スリランカ、ラオス、カンボジアがあげられる。また、チベット 仏教はチベット、ネパール、ブータン、モンゴルが主要国である。往生浄土教である浄土 真宗は大乗仏教のなかに含まれていることになる。

2.調査結果について

現代アメリカの宗教事情と将来の動向について考察するにあたり、調査結果のなかから 以下の項目を抜粋し、それぞれの具体的な調査結果を示す。

【調査A】:2010年・2050年の世界における主要宗教人口

【調査B】:2010年における世界の主要宗教別年令分布

【調査C】:2010年から2050年に予測される世界における宗教改宗の累積変化

【調査D】:2010年から2050年に予測される世界の仏教人口比率推移

【調査E】:2010年・2050年における世界の仏教人口内訳率

【調査F】:2010年・2050年における地域別仏教人口推移

【調査G】:仏教大国における2010年・2050年の仏教徒人口推移

【調査H】:2010年における地域別仏教徒の年齢分布

【調査I】:北米における2010年・2050年の各宗教人口の推移

【調査J】:北米における2010年から2050年に予想される各宗教徒の出生率

【調査K】:北米における2010年・各宗教の年齢別分布

【調査L】:2010年から2050年における北米での各宗教別改宗予測数

【調査M】:北米において移民の有無を想定した2050年の各宗教別内訳率

【調査A】 2010年・2050年の世界における主要宗教人口

2010年 各宗教人口

2010年 世界人口との

比率

2050年 各宗教予想人口

2050年 世界人口予測 との比率

各宗教 人口増減数

キリスト教徒 2,168,330.000 31.4% 2,918,070,000 31.4% 749,740,000 イスラム教徒 1,599,700,000 23.2 2,761,480,000 29.7 1,161,780,000 無所属派 1,131,150,000 16.4 1,230.340,000 13.2 99,190,000 ヒンズー教徒 1,032,210,000 15.0 1,384,360,000 14.9 352,140,000

仏教徒 487,760,000 7.1 486,270,000 5.2 -1,490,000

フォーク宗教 404,690,000 5.9 449,140,000 4.8 44,450,000 その他の宗教 58,150,000 0.8 61,450,000 0.7 3,300,000 ユダヤ教 13,860,000 0.2 16,090,000 0.2 2,230,000 世界宗教

総人口 6,895,850,000 100.0 9,307,190,000 100.0 2,411,340,000

2010年における世界の仏教徒人口は、全体の7.1%にあたる 487,760,000 人であ るが、2050年には5.2%にあたる486,270,000人となり、1,490,000人の減少が予測 されている。

【調査B】 2010年における世界の主要宗教別年令分布

15才以下 15才~59才 60才以上

イスラム教 34% 60% 7%

ヒンズー教 30 62 8

キリスト教 27 60 14

フォーク宗教 22 67 11

その他の宗教 21 65 14

ユダヤ教 21 59 20

仏教 20 65 15

無所属派 19 68 13

世界宗教人口平均値 27 62 11

2010年における仏教徒人口の年齢分布は、15才以下が20%、15才~59才が 65%、また60才以上が15%である。次世代を担う15才以下が他宗教に比べて低い 数値を示していることから、仏教徒人口の増加は厳しく、新たな出生率や仏教への改宗に 頼らざるを得ない状況が窺われる。

【調査C】 2010年から2050年に予測される世界における宗教改宗の累積変化

改宗による増加数 改宗による減少数 変化

無所属派 97,080,000 35,590,000 +61,490,000

イスラム教 12,620,000 9,400,000 +3,220,000 フォーク宗教 5,460,000 2,850,000 +2,610,000 その他の宗教 3,040,000 1,160,000 +1,880,000 ヒンズー教 260,000 250,000 +10,000 ユダヤ教 320,000 630,000 -310,000

仏教 3,370,000 6,210,000 2,850,000

キリスト教 40,060,000 106,110,000 -66,050,000

2010年から2050年の間に、世界で予測される他の宗教からの仏教への改宗増加

数は、3,370,000 人を予測されるが、反対に仏教から他の宗教への改宗による減少数は、

6,210,000人となり、仏教から他宗教への改宗数が仏教への改宗数を 2,850,000人上回るの

で、仏教徒の増加は期待できないとされている。

【調査D】2010年から2050年に予測される世界における宗教改宗の累積変化 仏教人口予測数 世界宗教人口との比率

2010 487,760,000 7.1%

2020 506,990,000 6.6

2030 511,300,000 6.1

2040 503,940,000 5.7

2050 486,270,000 5.2

【調査A】の仏教徒人口をもとに、2010年から2050年にわたって推移する世界 の仏教人口予測比率を表したものが上記の【調査D】である。仏教人口予測比率は、20 10年の7.1%から徐々に減少して、2050年には5.2%になり、仏教徒は減少す ると予測されている。

【調査E】 2010年・2050年における世界の仏教人口内訳率

2010年仏教人口比率 2050年仏教人口比率 アジア太平洋圏 98.7% 97.9%

北米 0.8 1.2

ヨーロッパ 0.3 0.5

中東・北アフリカ 0.1 0.2

ラテンアメリカ・カリブ <0.1 <0.1 サハラ砂漠以南のアフリカ <0.1 <0.1

合計 100.0 100.0

世界における仏教徒人口比率は依然、アジア太平洋圏が大半を占めているが、2050 年には減少値となる。一方、北米の仏教徒人口は0.8%(2010年)から1.2%(2 050年)の僅かな増加を示すことが予測されている。

【調査F】 2010年・2050年における地域別仏教人口推移10

年度 地域人口数 仏教徒人口数 比率 アジア太平洋圏 2010 4,054,940,000 481,480,000 11.9%

2050 4,937,900,000 475,840,000 9.6

北米 2010 344,530,000 3,860,000 1.1

2050 435,420,000 6,080,000 1.4

ヨーロッパ 2010 742,550,000 1,350,000 0.2

2050 696,330,000 2,490,000 0.4

中東・北アフリ カ

2010 341,020,000 500,000 0.1

2050 588,960,000 1,190,000 0.2

ラ テ ン ア メ リ カ・カリブ

2010 590,080,000 410,000 <0.1

2050 748,620,000 450,000 <0.1

サハラ砂漠以南 のアフリカ

2010 822,730,000 160,000 <01

2050 1,899,960,000 220,000 <0.1

【調査F】2010年、2050年におけるそれぞれの地域人口に対する仏教徒人口の 比率を示したものである。北米における2010年の仏教徒人口は 3,860,000 人で、これ は北米総人口に対して1.1%であり、2050年には1.4%に増加して 6,080,000 人 と予測されている。

【調査G】 仏教大国における2010年・2050年の仏教徒人口推移11

国名 2010

仏教徒人口

2010 仏教徒比率 %

国名 2050

仏教徒人口

2050 仏教徒比率 %

1中国 244,100,000 50.5% 1中国 241,580,000 49.7%

2タイ 64,420,000 13.2 2タイ 61,190,000 12.6

3日本 45,820,000 9.4 3ミャンマー 44,710,000 9.2

4ミャンマー 38,410,000 7.9 4日本 27,030,000 5.6 5スリランカ 14,450,000 3.0 5カンボジア 19,090,000 3.9 6ベトナム 14,380,000 2.9 6ベトナム 16,590,000 3.4

7カンボジア 13,690,000 2.8 7スリランカ 16,310,000 3.4

8韓国 11,050,000 2.3 8インド 11,080,000 2.3

9インド 9,250,000 1.9 9韓国 8,620,000 1.8

10マレーシア 5,010,000 1.0 10アメリカ合衆国 5,480,000 1.1

小計 460,610,000 94.4 小計 451,680,000 92.9

上記以外の国の 仏教徒人口

27,150,000 5.6 上記以外の国の

仏教徒人口

34,580,000 7.1

総計 487,760,000 100.0 総計 486,270,000 100.0

【調査G】は【調査A】で示された2010年の仏教徒人口 487,760,000 人と2050年 の仏教徒人口予測 486,270,000 の国別内訳を示したものである。2010年に示される国 がすべてアジア太平洋圏であるなかで、2050年には西洋英語圏であるアメリカ合衆国 が初めて仏教国として10番目に現れる予測がされている。

【調査H】 2010年における地域別仏教徒の年齢分布12

1-14 15-59 60+ 平均年齢

サ ハ ラ 砂 漠 以 南 ア フ リ カ

全宗教 43% 52% 5% 18

仏教徒 28 63 9 30

ア ジ ア 太 平 洋圏

全宗教 26 64 10 29

仏教徒 20 65 15 34

北米 全宗教 20 62 19 37

仏教徒 23 66 10 30

総計 全宗教 27 62 11 28

仏教徒 20 65 15 34

【調査B】2010年・世界の主要宗教における年齢分布では、15才以下の仏教徒は 20%、15才~59才は65%、そして60才以上は15%と提示されていた。上記【調 査H】では、北米での15才以下の仏教徒が北米仏教徒の23%を占めていることになる。

【調査I】 北米における2010年・2050年の各宗教人口の推移13

2010年人口 2010

比率

2050 人口予測

2050 比率

人口増減数 増減比率 年平均 成長率 キリスト教 266,630,000 77.4% 286,710,000 65.8% 20,070,000 7.5% 0.2%

無所属派 59,040,000 17.1 111,340,000 25.6 52,300,000 88.6 1.6 ユダヤ教 6,040,000 1.8 5,920,000 1.4 -120,000 -2.0 -0.1

仏教 3,860,000 1.1 6,080,000 1.4 2,220,000 57.6 1.1

イスラム教 3,480,000 1.0 10,350,000 2.4 6,870,000 197.4 2.8 ヒンズー教 2.250,000 0.7 5,850,000 1.3 3,600,000 159.8 2.4 その他宗教 2,200,000 0.6 6,540,000 1.5 4,340,000 197.00 2.8 フ ォ ー ク 宗

1,020,000 0.3 2,630,000 0.6 1,610,000 157.8 2.4

総計 344,530,000 100.0 435,420,000 100.0 90,890,000 26.4 0.6

【調査F】2010年・2050年 地域別仏教人口で示されていた北米の仏教徒人口 をもとに、上記【調査I】では仏教徒人口が2050年までに 2,220,000 人増加して、そ の増加率は2010年の仏教徒人口 3,860,000 人に対して、57.6%となると予測され ている。増加原因としては、出産、改宗、移民などが指摘されている。

【表J】 北米における2010年から2050年に予想される各宗教徒の出生率14 一 人 の 女 性 が 一 生 の う ち に

出 産 す る 子 供 の 平 均 数

イスラム教 2.7

キリスト教 2.1

ヒンズー教 2.1

仏教 2.1

ユダヤ教 2.0

無所属派 1.6

総合 2.0

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