結晶鯨イ ンシュリンに関する研究 第35図
イワシ鯨インシュリン血糖降下作用
エメ ウシ愛車イン涙ジンα04m′
凪 枕拳守インぬりシ・o,畔術/【1.oju〕
悪 費イメンリン[81・u]
倍量の酢酸溶液 (PH3) に溶解, これにアセトンを40%濃度に添加, 更に稀アソモニヤ水でpH 5,9~6.0に調製して室温2時間放置, 析出する 娘殿を遠心分離して集めアセトンで洗線乾燥, 収 量は前記粗製インシュリンの約10%である. ここに得られた C‐物質を, 常法に従って24時 間 絶 食せる体重2庭 前後の雄家兎に, 一定量を N/100lmlに溶解して皮下注射した後1時間毎に採血
し
Hagedorn‐Jensen 法に準じて血糖の定量を行い各々1群3匹の家兎に対する平均血糖 減 少 率 を測定した, その結果は第36図に示す如く 対照のイ ンシュリンに比較して最低血糖量を示す迄の
第36図
C‐物質及びインシュリン血糖降下作用
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伊
藤
格
三
Santenoise60) 等の 報 告し て いるワ ゴトニ ソと は 明 らか に 異 るもの であ るが 当 然イ ンシ ュリ ンの 含 有が推定されるので Robinson30)及 び朝 岡, 東31)等の使用 せ るブタノールー酢 酸-水 (3:1:4)
の 展 開剤 で滴紙 ク ロ マ ト グラ フィ ー を 行っ た と こ ろ, イ ンシュリ ン区分 と原 点区分 (0‐物 質) の 二 ヶ 所 に ブロ ー ム ク レ ゾー ル グ リ ソ染 色 ス ポ ッ トを認 め た.
C‐物質の精製
上記の如く C‐物質中には相当量のイ ンシュリンが混在しているのでこれを除く 事を目的として第37図の如く処理した.
第37図
C‐ 物 質 の 精 製
C‐ 物質
(PH5,事克服物)
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-
玉加える 稀塩酸-漁 村(ネヱo)
透 析圭(か’
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(P‐′)
ここで得られた各沈澱区分を家兎に皮下注射し 生理作用を測定した結果, 第38図に示す如く透 析を行わないP‐2は全く本来の C‐ 物質と同一の生理作用を示し, 透析処理を行ったP‐1は完全
第38図
第37図の各区分の血糖降下作用
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結晶鯨イ ンシュリンに関する研究
に生理作用を失っており, 更に上澄より得た P‐3 はイ ンシ ュリ ンと全く 同一の生理作用 を有し て い る. P-3からは更にイ ンシュリン結晶が晶出しているのは当然の結果である, 次にP‐1, P‐2 P“3をそれぞれ前記の!慮紙クロマトグラフィーで検索した処, P-1は原点区分 (0‐物質) のみで あ り, P‐2 はC‐物質と同様に 原点区分とインシュリン区分更に P-3 はイ ンシュリ ン区分 の みで あった, この事はインシュリン調製が硫酸亜鉛による沈澱法に従っている為に, 粗製インシュリ ン中には相当量の亜鉛が混在し,その為に pH5.9, アセトン濃度40%に於いて特に 亜鉛を添加し ないにも拘らずインシュリンが一部沈澱して ○‐物質に混入し持続性血糖低下を惹起しているもの と考えられる. 即ち P‐1では透析により亜鉛が流出し去りその後の操作で沈澱物中にインシュリ ンが混入しなかったものと推定される.
この点を検討する為に P‐1とP‐3の混合物が持続効果を再現するか否かを観察した. 即ちP‐1,
0.12mg と P‐3, 0.15mg
及び
P‐1, 0.25mg と P-3,0.15mg を混 合調製しN/100塩酸lml中
に溶解して家兎に皮下注射して生理作用を測定した処第36図に示す如く この混合物は C‐物質と同 様の持続効果を再現する.第39図
P‐1及びP-3混合物の血糖降下作用
1;P1,Q/ム+Fるβが 1iP‐7,0,2知り十Pう′クメ猟り
原点 物 質-0は ブロ ー ムク レ ゾー ル グリ ンで 染 色 され, 叉ニ ンヒ ドリ ソ,
ビウ レッ ト及 びゴ ー ルの各反応が陽性である故蛋白質である事は 明白であるが, 更にこの蛋白質の塩酸加水分解物の ア ミノ 酸 組 成を ブ タノ ール ー 酢 酸- 水 (4:1:5) 及 びフ ェノ ール 一水 (4:1) を展 開 剤 とし て 二 次元 ペ ー パ ーク ロ マ ト グラ フ ィ ← で 検索 し, Leu, Val,Phe,Tyr,A1a, Thr, G1y, Ser, Arg,
Lys,His,Asp,G1u
及び
Proの存在を認め更にコールの反応が陽性であるからTryが存在する ので ○-物質は製造過程中にインシュリンより変化せるものでは無い. 叉組成及び等電点 よ り し て プロ タ ミ ソや ヒス ト ン類 と も異 にし て い る事 は 明らか であ る,
C‐物質の生理作用機作
以上の皮下注射に於ける観察に次いでC‐物質を静脈投与した場合の血糖量変化を測定した. そ の結果第40図に示す如く対照の結晶イ ンシュリンと同様の血糖降下曲線を示し, これは ○-物質の 作用 機 作 がイ ン シュリ ン阻害系に 属す るもの で はなく, プロ タミ ソイ ンシュリ ンの如 く細胞 に於 ける惨透性に於いて C‐物質がインシュリンと捨抗的に阻害し合ってその効果を持続せしめるもの
-41 -
伊r
藤
格
三 第40図
C-物質の静脈注射
1;ィン リンヰキ歌達熱
と考えられる.
製造法及び種の相異による ○-物質の存在
イ ワ シ 鯨 粗 製イ ン シ ュリ ンよ り調 製した○・物質の生理作用と同様の作用物質が牛畔臓中にも存 在するか否かを検討する為, Scottl)法及び亜鉛添加の柴田法23)によって調製した牛粗製インシュ リ ンよ り 鯨 の場 合 と同 様 に 処 理し て
pH5.9沈澱物を作りその生理作用を測定したところ, Scott 法によるものは持続効果は全く認められず, 一方柴田法ではその効果が認められた. それ故物質 は鯨特有のものではなく牛騨臓中にも存在するが, インシュリン製造法の女P同で 即ちエタノール 抽出-塩析では得られない物質が アセトン抽出-硫酸亜鉛沈澱により 粗製イ ンシュリン区分に混 入して来るものである. 但し牛畔臓の C-物質は鯨のそれよりも遥かに持続作用は小さい傾向を示 す.
畔臓中の他の蛋白区分とイ ンシュリンの混合物の生理作用
イ ワ シ鯨畔 臓 よ り
Scott法11月こよりイ ンシュリンを製造する際得られるpH8 沈澱の蛋白質区 分, 及び柴田法23) で得られるアセトン抽出液を水酸化亜鉛により沈澱させた上燈液にアセトンを 80%濃度に添加して生ずる沈澱の蛋白質区分を精製して, これ等を0,2mg 及び0.4mg とインシ ュ リ ン 0.2mg
をそれぞれ
N/100塩酸に溶解したものの生理作用を測定したところ, それ等の蛋 白質区分のみでは生理作用は全く無く, 叉インシュリンと混合物は 共にインシュリン単独の場合 と同様の一過性の低血糖を示すのみで何等の持続効果は認められない. それ故 0‐物質は何んらか の生理的活性を持つものと考えられ, 或いは畔臓中に於てインシュリンと共に ホルモン作用に関 与しているものではないかと考えられる.
各種 Depot‐イン シュリ ン と C‐物質の作用比較
今 迄に知 られ て い る 低 血 糖 持続 性イ ンシ ュリ ンの中, プロ タ ミ ン・亜 鉛 ・イ ンシュリ ン及 び プ ロタミンイ ンシュリンの両者と C‐物質の作用を比較すると第41図の如く同等乃至これに優る持続 効果を持っものであ る.
更に前記の如く大量投与によっても病的障害は全く認められない.
以上述べた事実を総合すれば, 本物質はインシュリンの血糖降下現象を 可成の程度保持するこ とができ, 而も副作用は全く認められないことから之が 臨床的な応用面に関しても十分その可能
一 42
一
結晶鯨イ ンシュリンに関する研究 第41図
種々 Depot‐イ ンシュリンの血糖降下作用
11フ.ロタミゾ唖鮎インシキフン 蹄
フ・ロタシンインシェ.}ン
性があるものと考えられる,
W
考
察
インシュリンは糖尿病にのみならず最近は 精神病に対するショック療法にも 利用されるに至り 年々その需要量を増大する傾向に有り, 従来の陸上動物牛, 厭等の畔臓以外の資源を必要とする 様になった, 一方インシュリン使用に当り, 初期に於ては不定形の 状態の比較的低い単位のまま であったのを次第に高単位のものが 要求されるに至り, 最近は専ら結晶製品が使用されるに至っ た, ここに於て好収量で結晶標品を作製すると云う事が, その理化学的性質の研究以外に応用面 に於ても極めて重要な課題となる.
著者の所属した研究室では 昭和29年鯨インシュリンの結晶化に成功以来 この問題を研究対象の 一つとして来たが, 著者は先ず之の検討を行った.
鯨畔臓から結晶イ ンシュリンを量産するにはScott 法其 のまま適用 し て も 叉 Abel,Harington,
Stallman等の方法を応用しても結晶化の困難な事と収量が一定しない事等の欠点があった. そこ で種 々 検 討した 結 果
Scott法を改良したアセトン溶液よりの溶解度差を利用する方法が晶出が容 易で収量も常に85%程度に得る事が判明した, この結果は第1表に示した通りである. 斯くして 得られた鯨インシュリンの生物学的活性は 陸棲の諸動物の活性に比し なんら劣っていない事は第 35図に示 す 通 り で, 鯨イ ンシュ リ ンは 魚イ ンシュリ ンよ りもま牛イ ンシ ュリ ンに似 た 作用 を示す 事
が認められる.
イ ンシュリンの皮下注射による血糖降下作用は一過性であり糖尿病の治療の目 的 に そ の 作 用 を持続 させよ うと の 研 究 は多 く 試 みら れ, Hagedorn引)等によ る プロ タミ ソ・イ ン シ ュ リ ン,
Reiner62) 等 の グ ロ ピ ンイ ン シ ュ リ ン,Scott63) 等の プロタ ミ ン・亜 鉛・イ ンシ ュリ ン 更に Halles‐
M≠1ler&1}等の Lente‐イ ン シュリ ン (イ ンシュリ ン亜鉛塩) な どが一応そ の目的を 達し て いる,
しかしその後も 多くの研究者により自然な生理条件に於けるインシュリンの作用の持続化が試み られ,
最近
Mirsky,Peresutt6ラ)等のイ ンシュリナーゼー阻害系の研究が一応そ の効果を示して い る, 第n章で記述した如くインシュリンの調製を行なったが, 柴田23) の亜鉛添加法の優れている 点を認め 更に結晶化を行った際, アセトン濃度40%, PH5.9~6.0で沈澱する物質のある事を知 り, その生理作用を観察したところインシュリンとは異る型の長期低血糖を示したので, 更にこ-
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