• 検索結果がありません。

1.

建築概要

建築場所:多雪地域 主要用途:学校 延べ床面積:496.7 m2

構造種別:1階 鉄筋コンクリート造, 2階 木造 高さ:11.2 m( ≦ 13.0 m )

軒高さ:7.7 m( ≦ 9.0 m )

2.

設計方針

(1)

適用基準

・建築基準法

・木造軸組工法住宅の許容応力度設計 2008年版(日本住宅・木材技術センター)

(2)

構造計算ルート

ルート

1(許容応力度計算)

(3)

構造計画概要

本設計事例は, 1階:鉄筋コンクリート造, 2階:木造の学校施設で, 2階建ての立面混 構造の建物である。屋根架構は, ガルバリウム鋼板葺きの

3

寸勾配屋根を, 構造用集成 材の登り梁で支持したものである。2階の木造部分が

L

字型プランとなっており, その 交差部, すなわち平面的にみて建物が折れ曲がる部分では, 十分な水平剛性が求められ ることから, 屋根面は, 構造用合板(24 mm)を登梁および受材に

N75

釘を直接打ち付 ける仕様(ピッチ

150 mm

以下)とする。一方, 2階の鉛直構面は, 外周に構造用合板(9

mm)を両側に配した壁で構成する。

(4)

構造計算方針

告示第

593

号第四号ロに示される, 特別な調査研究結果に基づいて構造計算を行うが, その中の「平面的切欠きを有する水平構面の応力割増し」を採用する。1 階の鉄筋コン クリート造部分の重量が, 2階の木造部分の重量の

2

倍以上となるため, 修正

A

i 分布を 用いて地震力を評価する。このとき, 標準層せん断力係数

C

0 は, C 0

= 0.2

である。一方, 屋根面に対する構造計算では, 耐震要素の間隔が広く, 水平構面としての応答が大きく なることを勘案し, 水平構面の応力を精算法で算定するとともに, 平面切欠きによる応 力集中を考慮して当該部の応力をさらに割増して設計を行う。

3.

平面図および断面図

1F

平面図

2F 平面図

断面図

4.

伏図および軸組図

小屋伏図

2

階耐力壁伏図

軸組図

5.

設計荷重

本事例では, 二階の木造部分の構造計算結果を示すため, 修正

A

i 分布の適用を前提とし て, 設計用荷重の算定は, 木造部分に対してのみ行う。また, 長期荷重に対する検定を省略 するため, 固定荷重および積雪荷重は, 単位面積当たりの重量として結果をまとめる。

(1)

固定荷重(柱, 梁・桁等の軸組材を含む)

・屋根面:1500 N / m2

・内壁, 外壁:500 N / m2

・窓:300 N / m2

(2)

積載荷重

屋根に対しては, 積載荷重を見込まない。

(3)

積雪荷重(多雪地域)

・積雪量:1 m(単位面積重量:20 N / cm / m2

・屋根勾配:3寸勾配 → 屋根形状係数

μb

= 0.95

・積雪荷重

S

= 1900 →

積雪時短期:0.35 S = 665 700 N / m2

(4)

風荷重(基準風速、地表面粗度区分、見付け面積、水平力)

・基準風速:V 0

= 30 m / sec.

・地表面粗度区分:Ⅲ

・基準高さ H :( 11.2 + 7.7 ) / 2 = 9.45 m → ガスト影響係数 G f :2.5

・鉛直分布係数 E r

= 0.785

・高さおよび周辺影響による補正係数 E

= E

r 2

G

f

= = 1.54

・速度圧

q = 0.6 E V

0 2

= 832 N / m

2

・受風面積(X・Y方向共通):78.3 m2

・風圧力

Q

w

C

f

= 1.2

):

= 78174 N 78.2 kN

(5)

地震力

・地震力算定用重量

部位 単位荷重 [ kN/m2

]

面積 [ m2

]

荷重 [ kN ] 地震力算定用重量 [ kN ]

屋根

1.5 335.8 503.7

外壁(階高の半分)

0.5 67.5 33.8

内壁(階高の半分)

0.5 30.9 15.5

窓(階高の半分)

0.3 31.7 9.5

562.4

・修正

A

i 分布に基づく地震力の算定( 1F重量 = 2F重量 )

階数 階重量 Wi

[ kN ] Σ W

i

[ kN ] α

i

A

i

C

i

Q

E

[ kN ]

2 562.4 562.4 0.33 1.38 0.28 155.3

1 1124.8 1687.2 1.00 1.00 0.20

6.

鉛直構面の設計

設計荷重の算定結果より, 地震力>風圧力であったことから, 以降では地震力に対す る鉛直構面の検定結果をまとめて示す。

(1)

壁量の確認

・鉛直構面の検定(許容応力度計算)

有効壁長 短期許容 保有耐力 必要耐力

[ m ]

せん断耐力 [ kN ]

[ kN ] [ kN ]

Y1 63.7 124.9

Y3 36.4 71.3

X1 63.7 124.9

X3 36.4 71.3 196.2 155.3 0.79

X方向

Y方向

196.2 155.3

通り

検討方向 検定比

0.79

・層間変形角の確認

両方向とも検定比 = 0.66より, 層間変形角は, 1 / 150 0.79 = 1 / 190 rad. となるため, 規定の層間変形角を満足する。

・令

46

条関連の計算

有効壁量 必要壁量 充足率 判定 有効壁量 必要壁量 充足率 判定

100.1 37.3 2.69 OK 100.1 37.3 2.69 OK

X方向 Y方向

(2)

耐震要素および接合部の設計

本事例では, 令

46

条ならびに昭

56

建告

1100

号に定められている壁の仕様および規定 の接合方法を満足しているため, 耐震要素およびそれらの接合部の設計は省略する。

(3)

偏心の検討

位置 [ m ] 有効壁長 [ m ] 位置 [ m ] 有効壁長 [ m ]

r

ex

r

ey

-7.28 63.7 -463.7 -7.28 63.7 -463.7 12.4 12.4

10.92 36.4 397.5 10.92 36.4 397.5

合計

100.1 -66.2

合計

100.1 -66.2 R

ex

R

ey

-0.66 -0.66 0.08 0.08

X方向 原点(Y2 - 1820mm) Y方向 原点(X2 - 1820mm

原点からの距離 [ mm ]

弾力半径

原点からの距離 [ m ]

偏心率

以上より、偏心率はすべて

0.15

以下であり, 偏心補正の必要はない。

7.

屋根水平構面の設計

屋根構面では, 24 mm の構造用合板を梁および受材に直接釘打ちした仕様を採用し, この短期許容せん断耐力は, 7.84 kN / mである。仕様は, 次の通りである。

単位長さあたりの 許容せん断耐力 面材の四周を鉄 幅45mm×45mm 梁側面に受材を

厚さ24mmの 丸釘N75を用い, 以上の受材を, 面 梁と受材の間隔 落としこみ, 受材

150mm以下の間 材の継ぎ目に沿う の上端から梁に

隔で梁組と受材に 形で落とし込み N75釘を斜め打ち 打ち付け

構造用合板 1000mm以下 7.84 kN/m

面材の種類 釘打ちの仕様 受材の仕様 間隔 梁組の接合仕様

ここでは, 水平構面用の設計地震力を算定し, この仕様が許容せん断力以下となるこ とを確認する。

なお, X・

Y

方向の壁配置と仕様は同一となることから, Y方向の構造計算結果を示す。

(1)

鉛直構面充足率の検討

屋根構面の設計では, 鉛直構面が支点となって水平構面の各区間が応答すると考える ため, その支点となる鉛直構面の当該区間の地震力に対する壁量充足率が

0.75

以上であ ることを確認する必要がある。本事例では, 外周耐力壁の壁線間隔(X1~X3)を支持ス パンとして, 充足率を確認する。

通り 負担面積 [ m2

]

必要壁量 [ m ] 有効壁長 [ m ] 充足率

X1 165.6 24.8 60.1 2.42

X3 82.8 12.4 30.0 2.42

(2)

設計用地震力

設計用地震力は, 層せん断力評価を補正する形で, 次式によって算定する。このとき, 各重量は, 図のように支配面積毎に算定する。また, 本事例のような切り欠きを有する 建物では, 切り欠き部分の面積を加えた全面積に対する切り欠き割合が

1 / 6

を超える場 合, 当該区間の応力をさらに

1.5

倍して評価する。

0.3 , 0.8 2.2 2

fi i i i i i

i

Q A A W A α

′ ′ α

= ∑ = + −

X1-X2

質点 区間重量 Wi

[ kN ] Σ W

i

[ kN ] α

i

A'

i

A

i

Q

fi

[kN]

3 43.5 43.5 0.21 2.95 1.38 53.0

2 80.7 124.2 0.61 1.31 1.38 67.4

1 80.7 205.0 1.00 1.00 1.38 84.9

X2-X3

質点 区間重量 Wi

[ kN ] Σ W

i

[ kN ] α

i

A'

i

A

i

Q

fi

[kN]

6 43.5 43.5 0.35 2.00 1.38 36.0

5 40.4 83.8 0.68 1.22 1.38 42.3

4 40.4 124.2 1.00 1.00 1.38 51.4

本事例の交差部は, 全面積の

1 / 4

であり, これは全体の

1 / 6

以上であることから, X1-

X2

における応力は, さらに

1.5

倍に割り増す必要がある。

・X1-X2:max ( Q f i

) /

奥行き = 84.9 / 18.2 = 4.66 kN / m - 1.5倍 → 6.99 kN / m

・X2-X3:max ( Q f i

) /

奥行き = 51.4 / 9.1 = 5.65 kN / m

(3)

水平構面の検定

以上で求めた, 単位長さ当たりの必要耐力は最大で, 6.99 kN / mである。一方, 水平構 面の許容せん断耐力は, 屋根勾配を考慮しても,

kN / m

であり,

検定比:6.99 / 7.36 = 0.95 < 1.0 → OK

となることから, 屋根の仕様をすべて同一とすることで, 他の検定を省略する。

以下には, 参考として行った, ①鉄筋ブレースによる設計と, ②合板+落とし込み根 太で屋根水平構面を設計したときの結果を示す。

①鉄筋ブレースによる設計

鉄筋ブレースの場合は, 図のように小屋組を構成することとし, 最大スパン

3.185 m

×3.185 m の区間に対して, 鉄筋ブレースを設計する。

このとき, 許容耐力時に鉄筋ブレースに作用する引張軸力

T

は,

T = = 30.1 kN

SS400

を用いることとすると, 必要断面は, 30.1 1000 / 235 = 128 mm2 となり, ここで

M16(A = 201 mm

2

, Ae=0.75×201=150 mm

2)を用いることとする。

②合板+落とし込み根太

落とし込み根太の仕様における単位長さあたりの許容せん断耐力は, 最大でも根太間

340 mm

以下のときの

3.92 kN/m

である。したがって, 上記の計算から, 単位長さ当た

りの必要耐力は, 最大で

6.99 kN / m

であるため, 採用できない。

関連したドキュメント