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メサ構造による電界低減

ドキュメント内 著者 吉野 理貴 (ページ 107-115)

第 5 章

5.4 高耐圧化手法

5.4.3 メサ構造による電界低減

一般的な高耐圧用の縦型GaNダイオードは円柱形である(図5-5).上面がア ノード電極,下面がカソード電極になっている[89].図5-5 の断面構造は図5-6 であり,上からp+-GaN,p-GaN,n--GaN,n-GaN,n-GaN基板となっている.

上面のアノード電極以外は絶縁膜で覆われている.p-GaN の不純物はマグネシ ウム(Mg)であり,n-GaNの不純物はシリコンである.現在,GaNを半導体材 料に用いた場合,シリコンで一般的なイオン注入を行うことができず,同じ基板 上に複数のデバイスを配置するには,素子分離のためのメサを切る必要がある.

そのため,メサ周辺での電界強度が高くなるという問題がある.そこで,逆方向 電圧を上げていった時に,メサ周辺でどのように電界強度が変化するのかを確認 するためにデバイスシミュレーションを行った.シミュレーションでは,図5-6 の縦型GaNダイオードを用い,絶縁膜はSiO2(k=3.9)とし,メサ角は90度 とした.アノード電極を0 Vに設定し,カソード電極の電圧Vcを上げていくこ とで,逆方向電圧を印加している.逆方向電圧が500 Vと1000 Vの結果をそれ ぞれ図5-7と5-8に示す.逆方向電圧Vcが500 Vの時,形状が鋭角になってい るところとGaNのメサ端に電界強度が高くなった緑や水色の領域が出現してい る(図5-7参照).そしてさらにVcを増加するとメサ全体に電界強度が高い赤色 の領域が拡がっていき,pn接合端(面)でも電界強度が高くなっている(図 5-8参照).これは,3.2節で述べたように,コンデンサのような平行平板構造では 電界強度は均一となるが,pn接合がある半導体デバイスに高電圧を印加すると,

電界強度はpn接合面で最大となることと一致する.さらに,半導体デバイスは 3次元構造であり,メサなどで構造が複雑になった場合,電界強度は不均一とな り,エッジなどで電界強度が高くなる傾向がある.そこで耐圧を上げるためには,

電界強度が高くなる場所と傾向を探る必要がある.このシミュレーション結果か らもわかるように,半導体デバイスの端,鋭利な形状,メサ端,pn接合端(面)

や空乏層端で電界強度が高くなることがわかる.

図5-5 GaNを用いた縦型pn接合ダイオード

図5-6 縦型GaNダイオードの断面図

図5-6の一般的な縦型GaNダイオードでは,90度(∠e)に削られたメサが 存在する[89].しかし,図5-7と5-8に示したように,メサ部とp-GaNとn-GaN のpn接合端で電界強度が高くなってしまう.そこで,メサ角を小さくし,傾斜 を緩やかにすることで電界強度を緩和する方法が用いられている.そこで,Vcを

1000 Vに設定し,メサ角を変えた場合のシミュレーション結果を図5-9から図

5-11 に示す.図 5-9はメサ角を 65度にした場合であるが,図 5-8のメサ角90 度と比べて,電界強度が高く赤い領域が大幅に減少している.しかし,メサの端 部やpn接合部に電界強度が高い領域が残ってしまう.図5-10はメサ角を45度 にした場合を示している.メサ全体で電界強度が高い領域はなくなっているが,

pn接合面に高い領域が一部残っている.図5-11はメサ角を30度にし,さらに 緩やかにしている.これより,電界強度が高く赤い領域はなくなり,メサ全体と pn 接合面で電界強度が緩和していることがわかる.これらの結果より,メサ角 を小さくし,メサの傾きを緩やかにすることで電界強度を緩和することができる.

図5-7 k = 3.9, Vc = 500 V, メサ角90度のシミュレーション結果

図5-8 k = 3.9, Vc = 1000 V, メサ角90度のシミュレーション結果

図5-9 k = 3.9, Vc = 1000 V,メサ角65度のシミュレーション結果

図5-10 k = 3.9, Vc = 1000 V,メサ角45度のシミュレーション結果

図5-11 k = 3.9, Vc = 1000 V,メサ角30度のシミュレーション結果

ドキュメント内 著者 吉野 理貴 (ページ 107-115)

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