第 4 章
4.8 提案する DDSP システム
4.8.2 タイミングチャート
図4-18 ΔΣ変調器からの信号X
図4-19 信号Xから変換した疑似温度計コード
図4-20 出力信号
次に,出力パワーが小さい場合について述べる.
DSMからの出力信号Xは図4-21に示すように,まばらな間隔で,―1と+
1レベルの信号が出力されているとする.
図4-21の出力信号Xを擬似温度計コードに変換すると,図 4-22となる.図 4-22の擬似温度計コードは,従来のDDSPシステム(図4-10)からNSDEMを 外した場合のスピーカーの駆動信号と同じになる.SUM はSI1からSI4の信号 を足し合わした信号であり,最終的に変換される信号を表している.図 4-22よ り,NSDEMがない場合は,S1の信号のみが使われ,S2からS4の信号は全く出 力されない.
次に NSDEM がある場合の擬似温度計コードを図 4-23 に示す.NSDEM の
働きにより,S1,S2,S3,S4と順繰りに,使われるスピーカーが移動していく.
しかし,全てのスピーカー(S1から S4)が使われるまでに長い時間がかかって しまい,NSDEMの効果が発揮されず,S/Nが悪化してしまう.
本論文で提案する,ZVDを用いた3値レベルNSDEM(図4-16)の場合につ いて述べる.
従来の回路(図4-14)のNSDEMにディザを組みこんだ場合のタイミングチ ャートを図4-24に示す.SI1からSI4は,ディザ信号を入れる前のセレクタ回路 の出力である.d1からd4はダミー信号となるディザ信号である.S1からS4は,
NSDEM with ZVD回路の出力信号であり,エンコーダー回路に入力する信号と
なる.SUMはS1からS4の信号を足し合わした信号であり,最終的に変換され る信号を表している.
時間1 から 2の間は,SI1に信号があるので,そのまま S1の信号として出力 している.
時間2から7の間は,SI1〜SI4が全て0となり,出力される信号が全くない状 態が続いている.
時間2から7 の間に,d1〜d4に総和がとなるように1と―1をペアにしてデ ィザ信号を入力する.例えば,時間2から3の間は,d1=0,d2=-1,d3=1,d4=0 のようにディザ信号を入れる.
次に,時間3から4の間は,d1=1,d2=0,d3=0,d4=-1のようにディザ信号
を入れる.
無音の状態が続いた場合は,前に選択したのとは異なるペアを選択する用にデ ィザ信号を入れる.SUMの波形は,図4-22と全く同じであり,聞こえる音は同 じであるが,実際には,S1からS4の信号が出力されている.
ディザ信号を入れることにより,DDSP を構成する複数のサブスピーカーま たは複数のコイルのミスマッチにより発生するノイズ(全高調波歪)を従来の1/3 に低減できるようになった.したがって,前の問題が解決され,S/Nが向上した.
図4-21 出力パワーが小さい場合のΔΣ変調器からの出力信号X
図4-22 ソートとディザなしの疑似温度計コード
図4-23 ソートあり,ディザなしの疑似温度計コード
図4-24 ソートあり,ディザありの疑似温度計コード