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図1-5 近接効果の影響が無視できる各種交流用線材のJ cとd fの関係[18,53 74J 0 J cがフィラメント径dfに反比例する傾向が見られる0 ・: O.5T、 ム: 1 T、

・: 2T、 0: 3T、 企: 5T

影響を、 JcC<:df-1exp (-B/Bo)として線材の最適設計を試みている。 しか しながらそのピンカの振る舞いは、 ピンニングセンターであるS-N境界相の間隔、

すなわちフィラメント径で決定されるために設計に対しては自由度が なく、 また その磁界依存性のため1 T以上の高磁界でJcは急激に低下する。 さらには既に述 べたようにフィラメントの縮径化による超伝導体の体積率えの減少、 Tc及びBc 2など超伝導特性の劣化を考えると、 フィラメントの縮径化によるJc向上にも限 界があることは明らかである。 従ってフィラメント内部に新たなピンニングセン

ターを導入し、 低磁界のみならず高磁界領域においても高Jcイヒを達成することが、

各種超伝導交流機器用の交流用線材として強く要請されている。

1. 3. 2 Nb 3Sn交流用線材の現状とその課題

Nb3Sn線材はNbTi線材と比較して超伝導特性に優れている。 そのTc、 Bc2は典 型的なものでそれぞれ約18 K、 22Tであり、 これらはNbTiより2倍ほど大きい値 である。 これにより同一条件で使用する場合ピン力が大き く、 従って臨界電流密 度が大きい。 しかしながら製作工程が長いのでそのコストはNbTiより割高であり、

また化合物であるために超伝導特性が歪みに敏感でハンドリングがしにくく、 W i

nd & React方式で使用されることが多い。 その場合は熱処理の際のサイズ等の問題

で適用範囲に制約があり、 一般的にはNbTiでは達成でき ない高磁界用マグネット 線材として使用されている。

一方、 Nb3Snの交流用線材としての適用を考えた場合、 NbTiで使用でき ない高温 度、 高磁場で使用可能である他に、 大き な利点として線材の温度上昇がJcに与え る影響が少ないこと、 すなわち温度マージン(クエンチマージン〉が大きいこと が挙げられる。 Nb3Snの場合、 JcはNbTiと比較して大きいので、 交流応用ヘ向け ての大きな課題はその低交流損失化にある。 特に履歴損失の低減が重要課題とな る。 その為にはNbTi線材と同様にフィラメントのサブミクロン化を達成する必要

がある。 Nb3Sn線材の交流損失の 適度な低減化がなされ れば、 上述した利点を有効 に活用して超伝導電力機器等の交流用線材として使用することが十分に考えられ、

さらには新しい交流応用の市場を開拓することも可能である。

交流用Nb3Sn線材の開発研究はNbTiと比較して少ないが、 1986年頃からいくつか の研究機関で開始されている。 Nb3Sn線材の交流応用を最初に検討したのは日大の グループである[26.76J。 彼らはフィラメントのサブミクロン化に有利な外部拡散 法を用い、 比較指数ç c < 1となる線材設計を行い、 設計フィラメント径O. 53μm の交流用Nb3Sn線材の製作を試みた。 そして3本撚線で製作した小型マグネットの

50H zの交流通電に初めて成功し、 Nb3Snの交流応用への可能性を示した。 しかし ながら実際のフィラメントはかなり変形し、 フィラメントブリッジングや近接効

果の影響でその有効フィラメント径は3μm程度と報告されている。 岸田らは外部 拡散法と同様にフィラメントのサブミクロン化が可能な内部拡散法を用いてフイ ラメント径0.4μmの線材を製作し、 さらにlkA級の2 {欠撚線ケーブルを使用し た小型交流マグネットを試作してその特性を調査している[77J。 しかしながら線 材の履歴損失は設計フィラメント径とJcから計算した値の5倍を示し、 またケー ブル化したときの60H zの交流損失は素線問結合損失分の増加もあり、 :t 0.6 Tで 600kW/m3と大きい値となっている。 さらにその交流マグネットのACクエンチ電流 は、 ロードライン上で臨界電流の半分以下であった。 この原因としては交流損失 による線材の温度上昇が考えられている。 このようにNb3Sn線材の交流応用はその 可能性は検討されているが交流損失がまだ大きく、 NbTiのような実用レベルには 達していないのが現状である。 一方、 その製作方法に関しては現在のところどの 製作方法が交流用に最も適しているかの検討は行われていない。 内部拡散法[7 7J、

外部拡散法[26Jはフィラメントを比較的容易にサブミクロン化できることから、

交流用線材として初めに検討された製作方法である。 しかしながらフィラメント が歪み易いこと、 また内部拡散法はSnのコアが必要である為にフィラメント占積

率λが小さくなること、 及び外部拡散法はSnメッキなどの後工程が必要である等 の課題がある。 一方、 粉末法[78JやIn situ法[79Jは出発材料がミクロンオーダ ーであるためにフィラメントの細線化は容易であるが、 元来連続したフィラメン ト状ではなくブリッジングによりフィラメント群が一体化したバンドル型フィラ メントを形成する。 従って、 ツイストピッチの低減やマトリクスに門n等の磁性不 純物を添加することにより、 その有効フィラメント径を小さくさせることが可能 であるが[62J、 現状ではサブミクロン化には至っていない。 そこで比較的容易に 製作が行われ、 え Jcが高く、 直流用として現在最も実績のあるブロンズ法による 交流線材の製作方法の検討が必要である。

ブロンズ法によりサブミクロンサイズのフィラメントを製作するためには、イ申 線工程中のブロンズ焼鈍熱処理過程においてブロンズ中のSnのNbコアへの拡散を 制御し、 化合物の生成を抑制することが必要である。イ申線工程中の化合物生成は 交流用NbTi線材におけるCuTi等の化合物と同様にフィラメントにダメージを及ぼ すからである。 さらにはブリッジングや近接効果によるフィラメント問結合を防 止するための対策も必要である。 従って、 従来のブロンズ法を改良した交流用線 材製作に適した新しい製法の開発が望まれている。

1. 4. 本研究の目的と本論文の概要

以上で述べたように交流用機器の超伝導化のためにはさらなる高性能な交流用 超伝導線材の開発が要請されている。 すなわち交流用NbTi線材においては高臨界 電流密度化が、 また交流用Nb3Sn線材においては低交流損失化が最重要課題である。

これらの交流用超伝導線材の課題解決をテーマとする本研究の研究目的は具体 的に次のようなものである。 交流用NbTi線材の高臨界電流密度化に関してはフィ ラメント内部に人工的にピンニングセンターを導入した新しい方法による交流用 超伝導線材を開発し、 さらにピンニング理論に基づいた人工ピンニングセンター による臨界電流密度の設計方法の確立を行うロ これにより従来交流線材では不可 能であったレベルの高Jc化が達成され、 またJcの磁界依存性の設計も可能とな る。 さらに実用化へのステップとして、 開発した人工ピン型交流用NbTi線材を使 用したlOOkVA級の高磁界交流マグネットを設計 ・ 製作する。 これにより人工ピン ニングセンターによるJc設計の妥当性、 および高Jc線材を用いた交流マグネッ トの有効性の検証がなされる。

一方、 交流用Nb3Sn線材における低交流損失化に関してはCu合金ノくリアを用いた ブロンズ法を提案し、 サブミクロンサイズのフィラメントを有する交流用Nb3Sn線 材を製作し、 大幅な履歴損失低減化の達成を図る。 また近接効果を抑制するため にバリア材にSiとhによる元素添加を行い、 近接効果の無いフィラメント間隔の 減少を目指す。 また小型の交流マグネットを製作して交流 通電特性を調査し、 交 流応用の可能性を探る。

以上の目的に対して研究を行った結果をまとめた本論文の概要は以下の通りで ある。

2章では先ず従来の直流用NbTi線材のピンニングセンターである常伝導析出物 のピンニング機構、 核相互作用により人工ピンニングセンター導入の基本設計を

行い、 さらに従来のa-Ti型、 及び今まで試みられている各種人工ピン型直流用Nb T i線材のピンニング特性を考察して交流用に適したピン物質、 形状、 体積率等の ピンパラメーター摘出を行った結果について述べる。 そして得られた知見を基に 試作したNbアイランド型の人工ピンニングセンターを導入した単芯および多芯線 材のピンニング特性を解析し、 線形和によるピン設計 が成立することの確認を実 施している。 次にその結果を踏まえて、 人工ピン型交流用NbTi線材の設計 ・ 製作 を行った結果、 従来の交流線材では達成することができなかった高Jc化が広範囲 の磁界領域で達成されたこと、 及びそのピン力の振る舞いとして人工ピン導入に よる脱飽和現象が観測され、 その磁界依存性が設計通りにピンニングセンターの 間隔に強く依存することを 示している。 さらに線形和によるピン力の解析を行い、

人工ピンニングセンターによるJc設計指針についてまとめているロ

3章では最初に、 高Jc線材を使用した場合の超伝導交流機器における様々な利 点について従来の線材と比較 ・ 検討して、 それが 機器の小型化や低損失化に結び つくことを論じる。 次に人工ピン型交流用NbTi線材のパフォーマンスを示すため、

発生磁界2.5 Tの100kVA級の高磁界交流マグネットの設計 ・ 製作を行った結果、 人 工ピンによるJc設計の妥当性、 及び高Jc線材を用いることによるマグネットの

利点についての実証が得られたことについて述べる。

次に4章では交流用Nb3Sn線材の低損失化のための方法として、 Cu合金バリアを 用いたブロンズ法により0.5μm以下のフィラメントを有する交流用Nb3Sn線材を 製作し、 Nb3Sn生成熟処理を制御することにより0.5 T振幅での履歴損失を1. 75kJ 1m3にまで 低減できたことを示す。 またバリア材への添加元素により近接限界距離 を0.3μmにまで低減できたことも示す。 さらに小型マグネットを試作し、 交流通 電試験を実施してACクエンチ電流がロードライン上で臨界電流値の90%程度まで上 昇した結果が得られ、 交流用線材としての適用可能性を確認したことについて述 べる。

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