ISO13849-1,2 IEC62061,
1 ミートチョッパー(肉挽き機/食品機械)
(1)特質及び構造
「ミートチョッパー」は、肉挽き機、ミンサーとも呼ばれ、肉の塊や野菜をミンチ状に 細かく切り砕く調理機器である。家庭用の小型の物から業務用の大型機まで、手動から電 動まで多種多様の機種があるが、今回取り上げるのは主に食品工場で使われている処理能 力700kg/時以上の電動式の大型機である。
ミートチョッパーの構造は、ホッパー(タブ)、シリンダー、フィードスクリュー、ナ イフ、ホールプレートで構成され、ホッパーに投入された肉塊は、フィードスクリューを 有する胴体部(シリンダー)に落下し、スクリューの回転により前方に押し出され、ナイ フにより裁断されたものがホールプレートからミンチ状に押し出される仕組みとなってい る。ホールプレートの穴の大きさにより塊肉を好みの大きさにミンチできる。
シリンダ ー
フィードス クリュー ナイフ
ホールプ レート
ホールプ レート
ナイフ
(2)機械要素と主要な危険源
ミートチョッパーはフィードスクリュー、ナイフといった構造上の危険要素に加え、
食品機械特有の洗浄・殺菌工程が有る為、感電といった危険要素も含まれる。主要な危 険源は下記の通りである。
ア.搬送部
機械要素 主要な危険源
フィードスクリュー 巻き込みの機械的危険源 イ.吐出部
機械要素 主要な危険源
ナイフ 切傷又は切断の機械的危険源 ホールプレート 切傷又は切断の機械的危険源
せん断の機械的危険源 ウ.駆動部
機械要素 主要な危険源
テンション調整機構
(ベルト・プーリ)
引込み又は捕捉の機械的危険源
運動エネルギー、衝撃の機械的危険源(機構により)
チェーン・スプロケット 引込み又は捕捉の機械的危険源 エ.制御部
機械要素 主要な危険源
端子などの充電部 感電の電気的危険源
配線、リレー部品 焼損による火災の危険源(定格容量不適合の時)
制御回路 不意の起動の危険源 オ.操作部
機械要素 主要な危険源
操作盤パネルの操作ボ タン
手動操作器の色彩、配置
人間工学原則の無視による危険源
カ.その他
機械要素 主要な危険源
動力機構および動力
伝達部 予期しない起動
リスクアセスメント
(機械類の安全性-設計の為の一般原則-リスクアセスメント
及びリスク低減)(3)適用される主なリスク低減方策と関連規格
食品加工用機械について、労働安全衛生規則が改正(平成25年10月1日施行)
され作業の特性に応じた安全対策が法令で義務付けられた。法要求事項と併せ、ミ ートチョッパーに適用されるリスク低減方策と関連規格を以下に示す。
ア.ガードの安全性要求事項
ガードに関して、以下の規格がある。
・JISB9716-1:2006(ISO14120-:2002)「機械類の安全性-ガード-固定式及び可動式 ガードの設計及び製作のための一般要求事項」
・JISB 9718:2013(ISO13857-2008)「機械類の安全性-危険区域に上肢及び下肢が到 達する事を防止する為の安全距離」
・JISB9711:2002(ISO13854:1996)「機械類の安全性-人体部位が押しつぶされるこ とを回避する為の最小隙間」
ただし、分解、洗浄が繰り返される食品加工機械に於いては、固定式ガードは 適切ではなくガードを外しての作業中に災害が多発している事から可動式ガード
(インターロック付)が有効と思われる。インターロック付可動ガードに関わる 規格として、
・JISB9710:2006(ISO14119:2013)「機械類の安全性-ガードと共同するインターロ ック装置‐設計及び選択の為の原則」がある。
また、メーカー、エンドユーザーが順守すべき国内法規制としては
・労働安全衛生規則一般基準
107
条.(掃除等の場合の運転停止等)・労働安全衛生規則食品加工用機械
130
条の5~7(混合機・粉砕機の対策)がある。
イ.制御回路の安全性
安全保護物の仕様を選定するに当たっては
JISB9715:2013(ISO13855:2013)「機械類の安全性-人体部位の接近速度に基づ く安定防護物の位置決め」
JISB9961:2008(IEC62061-1::2005)「電気/電子/プログラマブル電子安全関連系 の機能安全」
JISB9705:2011(ISO13849-1::2006)「機械の安全性-制御システムの安全関連部:
設計の為の一般原則」
を参照しておく必要がある。
ウ.付加保護方策、その他に関する要求事項
付加保護方策として、操作盤パネル、非常停止装置等。残存リスク情報。ま た、リスクアセスメントによるリスク削減等が求められる。
ミートチョッパー
距離ガード 可動ガード
インターロックガードの安全要求事項 JISB9710(ISO14119:2013 )
ガードの安全要求事項 JISB9716(ISO14120:2002)
非常停止装置 JISB9703(ISO13850:2006 )
E/E/PE安全関連系の機能安全 JISB9961(IEC62061-1:2005)
制御システムの安全関連部 JISB9705-1(ISO13849-1:2006)
操作盤パネルのボタン、表示 JISB9960-1(IEC60204-1:2009) 上肢/下肢の到達防止の安全距離
JISB9718(ISO13857:2008 )
②
③
④
⑤
⑦
⑧
①
ガード隙間の最小間隔 JISB9711(ISO13854:1996 )
⑨ 安全防護物の応答時間
JIS B 9715(ISO13855:2010)
予期しない起動の防止 JIS B 9714(ISO14118:2000 )
取扱説明書・残留リスク情報の提供 JIS C 0457(IEC62079-1:2001)
インターロックガードの安全要求事項 JISB9710(ISO14119:2013 ) ガードの安全要求事項
JISB9716(ISO14120:2002)
⑥
⑪
⑩
① ④
構成要素機器 対 応 番 号
整合JIS規格 国内安全基準
参照ISO規格
その他の関連規格
距離ガード ①
JIS B 9716
機械類の安全性-ガード-固定式 及び可動式ガードの設計及び
製作のための一般要求事項
ISO14120:2002
ガードの開口部 ②
JIS B 9718
機械類の安全性-危険区域に 上肢及び下肢が到達すること を防止するための安全距離
ISO13857:2008
ガードの最小間隙 ③
JIS B 9711
機械類の安全性‐人体部位の 押し潰し防止の最小すきま
ISO13854:1996
インタロック式
可動ガード ④
JISB9710
機械類の安全性-ガードと共同 するインタロック装置-設計 及び選択のための原則
ISO14119:2013
安全防護物の
応答時間 ⑤
JIS B 9715
機械類の安全性-人体部位の 接近速度に基づく安全防護物の 位置決め
ISO13855:2010
安全制御部の回路 ⑥
JIS B 9961
電気/電子/プログラマブル電子 安全関連系の機能安全
IEC62061-1:2005
保護方策に係る機械安全規格一覧表
ガード保護装置安全制御回路
構成要素機器 対 応 番 号
整合JIS規格
国内安全基準 参照ISO規格 その他の関連規格
安全リレー
モジュール ⑦
JIS B 9705-1
機械の安全性-制御システムの安 全関連部:設計のための一般原則
ISO13849-1:2006
操作盤パネル ⑧
JIS B 9960-1
機械類の安全性-機械の電気 装置-第1部:一般要求事項
IEC60204-1:2009
非常停止装置 ⑨
JIS B 9703
機械類の安全性-非常停止 -設計原則
ISO13850:2006
予期しない起動の
防止 ⑩ JIS B 9714
予期しない起動の防止
・ISO14118:2000
・安衛則107条
(掃除等の場合の運転停止)
取扱説明書 残留リスク情報の 提供
⑪
JIS C 0457
電気及び関連分野−取扱説明の 作成−構成,内容及び表示方法
・IEC62079-1:2001
・安衛則24条の13
(機械危険情報の通知)
安全制御回路付加保護方策その他
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