• 検索結果がありません。

ミネソタ州

ドキュメント内 (ページ 45-53)

第2章 医療機器クラスター

7.   ミネソタ州

 

MassMEDIC のソマー氏によれば、マサチューセッツ 州の医療機器業界の強みとして、①民間や大学の優れ た研究機関、②大学付属病院などの医療施設が数多く あり、研究活動はもちろん、臨床試験の場を提供して いること、③スキルを持った労働者が多いこと、④資 本へのアクセス(VC、エンジェル投資など)が充実し ている、の 4 点がある。こうした点は、多くの他州(同 氏は具体的に、ワイオミング、ネバダ、ジョージア州 を挙げた)にはなく、マサチューセッツ州の魅力の一 つとなっており、州内で新たな企業が誕生し続けてい るほか、州外から移動してくる企業も少なくないとい う。 

 

また、ソマー氏によれば、医療機器クラスターは順 調に成長しており、現在、州内の雇用の約 5%、輸出

(州外や海外への販売)の約 10%を占めるほどになっ ており、今後も拡大する見通しで、州内経済にとって 大きな恩恵をもたらしている。さらに、これまで米国 が体験してきた数度の不況においても、医療機器クラ スターは大量の雇用創出や売上の大幅減といった影響 を受けなかったことから、「不況に抵抗力のある産業

(recession proof)」と認識されているという。 

 

さらに、全米でも屈指の大学や研究機関、医療機器 会社などが揃っているマサチューセッツ州には、こう した機関どうしの協力体制が整っており、これが医療 機器クラスターの強みともなっているといえる。たと えば、人工関節メーカー大手のスミス&ネフュー・エ ンドスコピー社(Smith & Nephew Endoscopy)81は、

州内の病院の医師に自社の施設を開放したり、レクチ ャーやグループ・ディスカッションの場を提供してい る。他にも、医療機器会社による州内の医師や医療関 係者向けの独自プログラムが数多く実施されている82。 こうした背景には、優れた医療機器は、医療の現場や 経験から誕生するとの認識がある。 

     

6-8  大企業・他地域・海外との連携状況   

ソマー氏によれば、州内には、スミス&ネフュー

(Smith & Nephew、英国)、フィリップス・メディカル・

デバイス(Phillips Medical Device、オランダ)、イ ン ス ツ ル メ ン タ テ ー シ ョ ン ・ ラ バ ト リ ー ズ

(Instrumentation Laboratories、スペイン)といっ た海外企業が拠点を構えている。最近では、スイスの 歯科用機器メーカー(名称は不明)がマサチューセッ ツ州内に工場(従業員数 300 人程度)をオープンした という。また、2004 年 12 月には、腹腔鏡手術器具の 開発・製造企業であるマイクロライン(Microline)社 が日本の企業(ペンタックス)によって買収されるな ど、海外企業はマサチューセッツ州内で一定の存在感 を示しているといえる。 

 

一方、ソマー氏が認識している限り、大企業、他地 域や海外地域との連携による経済活動は、マサチュー セッツ州内にはなく、同氏は、「それぞれの企業は政府 の支援を受けて、というよりも、独自の力によって成 長している」との認識を示した。 

   

7.  ミネソタ州   

7.1  クラスター概要   

ミネソタ州には、19 世紀後半に設立され、全米有数 の病院であるメイヨ・クリニック(Mayo Clinic)があ るほか、メドトロニック社(Medtronic、医療機器会社 としては米国 5 位)や 3M(同 6 位)の本社やボストン・

サイエンティフィック社(Boston Scientific、本社:

マサチューセッツ州)やガイダント(Guidant、本社:

インディアナ州)といった医療機器大手の施設がある など、全米でも有数の医療機器クラスターとなってい る。 

 

米国勢調査局の「County Business Patterns」によ れば、2002 年のミネソタ州における医療機器業界の従 業員数、年間総給与額、企業数などは図表 44のように なっている。

 

   

図表 44  ミネソタ州の医療機器業界(2002 年) 

業種  従業員数(02 年 3 月現在)  年間総給与額(ドル)  企業数  Surgical  &  medial 

instrument mfg  6,952  3 億 7,305 万  61 

Surgical  appliance  & 

supplies mfg  2,847  1 億 6,153 万  55 

Dental  equipment  & 

supplies mfg  333  1,661 万  15 

Ophthalmic good   935  3,057 万  12 

Electromedical 

apparatus mfg  6,563  4 億 1,075 万  38 

Irradiation  apparatus 

mfg  0-19  0(注 1)  2 

In-vitro  diagnostic 

substance mfg  326  1,642 万  7 

合    計  1 万 7,956〜1 万 7,975 名  10 億 893 万ドル  190 社  注1:連邦所得税の対象となる従業員がいない場合、総給与額はゼロになる。多くの場合、非常に小規模な自営 業者で、その事業が経営者の主要収入源ではない。 

出典:U.S. Census Bureauʼs County Business Patterns83を元にワシントンコア作成   

 

図表 45  ミネソタ州の主な医療機器企業 

社名  拠点  総収入(ドル)  従業員数  主な事業 

Medtronic  Minneapolis  76 億 6,520 万  2 万 9,581 

心拍管理機器、神経・脊柱・

耳鼻咽喉用の手術・診断用機 器、心臓手術用機器。 

3M  (Healthcare 

Products)  St. Paul  39 億 9,500 万  6 万 7,072 

診断・治療用製品(聴診器、

手術用テープ、マスク、減菌 関連製品など)、歯科用、創傷 用治療製品、製薬会社向け経 皮吸収製剤・定量噴霧製剤の 受託・製造。 

St. Jude Medical  St. Paul  19 億 3,250 万  7,391 

心拍管理機器(ペースメーカ ー 、 植 え 込 み 型 除 細 動 器

(ICD)、電気生理検査用カテ ーテル)、心臓外科手術用機 器。 

Lifecore  Biomedical 

Inc  Chaska  424 万  210  歯科用製品(インプラント、

組織再生技術)。  SurModics Inc.  Eden Prairie  295 万 

(2002 年) 

75 

(2002 年) 

医療機器コーティング技術、

生体外診断用製品、組織エン ジニアリング。 

Urologix Inc.  Minneapolis  227 万 

(2002 年)  n/a  泌尿器系疾患のための治療機 器。 

出典:「US Companies Database」、「Medical Device Companies Performance Tables 2004」および各社ウェブ サイトを元にワシントンコア作成(総収入、従業員とも、記述のないものは 2003 年) 

 

 

図表 46  ミネソタ州の医療機器企業 

・Medtronic

・Urologix Inc.

(ミネアポリス市)

・3M

・St. Jude Medical

(セントポール市)

Lifecore Biomedical Inc.

(Chaska市)

SurModics.

(エデン・プレーリー市)

 

出典:「US Companies Database」および「Medical Device Companies Performance Tables 2004」を元にワシン トンコア作成 

   

7-2  クラスター生成の要因   

今回、インタビューしたミネソタ州医療機器業界団 体、メディカル・アレー(Medical Alley)の社長

(President)、ドン・ゲーハード(Don Gerhardt)氏 によれば、同州内の医療機器クラスターの歴史は、1950 年代に遡る。当時すでに、テクノロジー分野で先端を 行く 3M や、ミネソタ大学やメイヨ・クリニックなど優 れた医療研究機関が存在していたが、1950 年代に入っ てメドトロニック(Medtronic)社の共同創立者である アール・バッケン(Earl Bakken)氏が世界初の体外式 ペースメーカーなど新製品を開発したことで、医療機 器クラスターが誕生し、さらにメドトロニック社から 相次いでスピンオフ企業が誕生するなどして、クラス ターは成長していったという。 

 

ミネソタ州は、メイヨ・クリニックがあるロチェス ター市(Rochester)と、ミネソタ大学(University of  Minnesota ) の キ ャ ン パ ス が あ る ミ ネ ア ポ リ ス 市

(Minneapolis)とセイント・ポール市(St. Paul)84 がミネソタ州のバイオサイエンスの拠点となっている。

州政府は、これらの 3 市の近辺を「バイオサイエンス・

ゾーン(Bioscience Zone)」とし、様々な税制優遇措 置を提供し、バイオサイエンス業界の振興を図ってい る85。 

 

また、ティム・パウレンティ(Tim Pawlenty)知事 は 2003 年、州内のバイオサイエンス業界を育成、強化 するための戦略を検討、知事に提言する機関として、

ミ ネ ソ タ ・ バ イ オ サ イ エ ン ス 評 議 会 ( Minnesota  Bioscience Council)を発足させるなど、州政府の支 援体制も整備されている。 

 

VCについては、ゲーハード氏によれば、これまでミ ネソタ州の医療機器クラスターの原動力となるような VCは存在していなかったが、近年は、VCの動きが活発 になりつつあるという。その例としては、新興企業や 投資家、業界関係者のネットワークの場を提供する機 関として、コラボレーティブ(Collaborative)86とい う機関がある。毎年行われている「ミネソタ・ベンチ ャー・ファイナンス会議(Minnesota Venture Finance  Conference)は 18 回を超えており、2005 年 2 月には、

クラスター・シリーズの第一弾として、バイオサイエ ンス業界を対象としたイベントを開催する。また、ゲ ーハード氏によれば、業界団体、メディカル・アレー も、最近、スタートアップ企業向けのベンチャー資金 を集める関連団体として、ベンチャー・アレー(Venture  Alley)を設立している。 

 

7-3  技術傾向   

メディカル・アレーのゲーハード氏によれば、ミネ ソタ州の医療機器クラスターは、メドトロニックに代 表されるように、心臓血管系機器(人工心臓弁、ペー スメーカー、除細動器)に優れているほか、泌尿器系、

整形外科(特に脊柱)、補聴器、画像診断機器が特徴と いえる。なお、同氏によれば、現在、IBM による遺伝 子画像用スパコン、ブルー・ジーン(Blue Gene)の開

発がミネソタ州内で進められているという。 

 

7-4  中核となる大学   

ミネソタ州の医療機器業界を中心とするバイオサイエ ンス業界の中核となっている大学は、ミネソタ大学

(University of Minnesota)である。同大学は、民間 企業やセイント・ポール市などから約 900 万ドルの資 金提供を受け、ライフサイエンス事業インキュベータ

ーとして、大学エンタープライズ研究所(University  Enterprise Laboratories: UEL)を設立した。UELは、

バイオサイエンス・ゾーン内のセイント・ポール市に、

延べ 12 万 5,000 平方フィートの施設を構え、そのうち 3 分の 1 がオフィスとして、3 分の 2 がインキュベータ ー施設として機能している。UELには、メドトロニック、

3M、アリナ(Allina)、ボストン・サイエンティフィッ クといった多くの医療機器メーカー大手が資金提供し ている。87

 

7-5  地域の医療機器業界団体   

(1)  メディカル・アレー(Medical Alley) 

住所  1550 Utica Avenue South, Suite 725, St. Louis Park, MN 55416  電話  952-542-3077 

fax  952-542-3088 

ウェブアドレス  http://www.medicalalley.org/index.htm   

1984 年に設立されたメディカル・アレーには、医療 機器会社や医療保険会社、製薬会社、バイオテクノロ ジー企業、病院、クリニック、研究機関など、400 以 上の企業や機関が加盟している(加盟企業・機関によ る従業者数の合計は約 25 万人)。年間を通じて、教育

プログラムやネットワーク交流のほか、特定の問題に つ い て 1 〜 5 年 を か け て 取 り 組 む イ ニ シ ア チ ブ

(Convener Initiative)などを積極的に行っている

(現在、メディカル・アレーが取り組んでいるイニシ アチブは、「医療保険制度における消費者の役割」)。   

(2)  MNBIO(Minnesota Biotechnology) 

住所  1000 Westgate Drive, Suite 252, St. Paul, MN 55114  電話  651-265-7840 

fax  651-290-2266 

ウェブアドレス  http://www.mnbio.org   

バイオテクノロジー業界団体大手、BIO のミネソタ州支部。

   

なお、メディカル・アレーとMNBIOは、2005 年 2 月 16 日、合併を発表した。両団体は 3 月 1 日から正式に 合併し、新たな名称が決まるまでは、名称は「メディ カル・アレー」となる88。 

 

7-6   主 要 企 業 プ ロ フ ィ ー ル : メ ド ト ロ ニ ッ ク 社

(Medtronic) 

 

1949 年に、アール・E・バッケン(Earl E. Bakken)

氏 と 、 パ ル マ ー ・ J ・ ハ ー ム ド ス リ ー ( Palmer  J.Hermundslie)氏によって設立されたメドトロニック 社は、ミネソタ州の医療機器業界の代表的存在である。

バッケン氏(1994 年にメドトロニック社の理事会から 引退)は、1950 年代に、初のバッテリー式ペースペー 

   

カーや初の植え込み式ペースメーカーなど多くの医療 機器を開発した人物として知られている。この伝統を 受 け 継 ぐ 形 で 、 心 拍 管 理 事 業 ( Cardiac  Rhythm  Management: CRM 事業)を中心とする植え込み型医機 器や外科手術用医療機器が、メドトロニック社の主要 事業となっている。以下は同社の事業や機器の概要で ある89。 

 

CRM 事業:体内植え込み式ペースメーカーや リチウム電池使用による小型化などにより、

現在、メドトロニック社の人工臓器は、最 も完成度の高い製品の一つといわれている。

また、脈が速くなる難治性頻拍性不整脈を 治療するためのカテーテル・アブレーショ

ドキュメント内 (ページ 45-53)

関連したドキュメント