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ペンシルバニア州

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第2章 医療機器クラスター

5.   ペンシルバニア州

 

5-1  クラスター概要   

ペンシルバニア州のバイオサイエンス業界団体、ペ ンシルバニアBIOの報告書「ペンシルバニア・バイオサ イエンス業界(Pennsylvania Bioscience Industry)」

61によれば、州内のバイオサイエンス業界62は、ニュー ジャージー州やニューヨーク州を中心とする製薬業界 のクラスターに隣接するとともに、首都にも車で行け る距離にあるなど、地理的条件に恵まれていることも あり、2,000 社以上のライフサイエンス関連企業が存 在し、従業員数は約 8 万 4,000 人となっている(2002 年時点)。こうしたライフサイエンス関連業界の雇用は、

州内の労働者の約 16%を占めており、州にとっても重 要な産業となっている。 

 

さらに、ペンシルバニア内のバイオサイエンス業界 の雇用(8 万 3,860 人)うち、医療機器および診断系 の企業63の雇用(1 万 8,024 人)が 21.5%を占めるな ど、医療機器業界は特に同州の強い分野となっている

64。   

米国勢調査局の「County Business Patterns」によ れば、2002 年のペンシルバニア州における医療機器業 界の従業員数、年間総給与額、企業数などは以下図表  33のようになっている。

   

図表 33  ペンシルバニア州の医療機器会社概要(2002 年) 

業種  従業員数(02 年 3 月現在)  年間総給与額(ドル)  企業数  Surgical  &  medial 

instrument mfg  6,657  3 億 6,024 万  73 

Surgical  appliance  & 

supplies mfg  4,858  1 億 9,863 万  92 

Dental  equipment  & 

supplies mfg  1,606  6,062 万  34 

Ophthalmic good   523  1,533 万  31 

Electromedical 

apparatus mfg  1,825  1 億 485 万  24 

Irradiation  apparatus 

mfg  193  1,786 万  6 

In-vitro  diagnostic 

substance mfg  100〜249  0  5 

合    計  1 万 5,762〜1 万 5,911 名  7 億 5,753 万ドル  265 社  出典:U.S. Census Bureauʼs County Business Patterns65を元にワシントンコア作成 

   

また、ペンシルバニア州における主な医療機器企業 には、次ページの図表 34で示したような企業がある。 

 

図表 35を利用して企業の地理的分布を見ると、ペン シルバニア州では、フィラデルフィア市を中心とした グレーター・フィラデルフィア(フィラデルフィア郡、

バッカス郡、チェスター郡、デラウェア郡、モンゴメ リー郡)に州内のバイオサイエンス関連の雇用の約 50%が集中している。しかし一方で、西部のアレゲニ ー郡(ピッツバーグ市がある)や北部、中央部にも企 業が存在しており、州全体にわたってバイオサイエン ス関連の活動が見られる。 

 

 

図表 34  ペンシルバニア州の主な医療機器企業 

社名  拠点  総収入(ドル)  従業員数  主な事業 

Dentsply 

International  York  16 億 9,000 万

(2004 年) 7,600 歯科用製品  Respironics  Murrysville  6 億 2,980 万

(2003 年) 2,700 人工呼吸器、呼吸ケア用品  Teleflex  Limerick  5 億 3,470 万

(2003 年) 1 万 9,300

泌尿器科、麻酔科、消化器用 製品、呼吸ケア用品、手術用 器具、OEM 

West  Pharmaceutical 

Services  Lionville  4 億 1,970 万

(2002 年) 4,140

医薬用品(ゴム栓、ブランジ ャー、アルミキャップ、プラ スティック製品など)、薬物デ リバリー・システム 

Arrow International  Reading  3 億 8,040 万

(2003 年) 3,193

心室補助装置、大動脈内バル ーン・カテーテル、大動脈内 バルーン・ポンピング装置、

クリティカル・ケア用ディス ポーザブル・カテーテル  OraSure Technologies 

Inc.  Bethlehem  3,201 万

(2002 年) 200 検査(HIV、薬物乱用など)用 品、冷却治療用キット  Antares Pharma Inc.  Exton  400 万

(2002 年) n/a ニードル・フリー・インスリ ン注入器および関連キット  出典:「US Companies Database」、「Medical Device Companies Performance Tables 2004」および各社ウェブ サイトを元にワシントンコア作成 

   

図表 35  ペンシルバニア州のバイオサイエンス企業と主な医療機器企業の所在地 

フィラデルフィア郡 バッカス郡

デラウェア郡

チェスター郡

・West Pharmaceutical Services ヨーク郡

・Dentsply International (ヨーク市)

ウェストモアランド郡

・Respironics (モリスビル市)

モンゴメリー郡

・Teleflex(ライムリック市)

アレゲニー郡

・Bico(ピッツバーグ市)

ノーサンプトン郡

・OraSure Technologies

(ベツレヘム市)

バークス郡

・Arrow International (リーディング市)

バイオサイエンス企業数:

  5-2  クラスター生成の要因 

 

ペンシルバニア州のバイオサイエンス業界生成の要 因として、①地理的条件、②NIH による大規模な資金 受給、③政府による支援(政府による支援については クラスターの売り文句を参照)、などが挙げられる。 

 

地理的条件としては、世界クラスの製薬会社の本社 や米国本社の 80%が、フィラデルフィア市から半径 50 マイル内にあること、ニューヨークの金融街や政策の 要である首都にも車で行ける距離にあること、さらに、

フィラデルフィア空港は、欧州系の航空会社のフライ トが多く、欧州へのアクセスが良いことも挙げられる。 

 

また、NIH による資金受給は、2003 年度には 13 億ド ルに達しており、州としては全米で 4 位となっている

(図表 36参照)。同年度に NIH の資金提供を受けた全 機 関 の ト ッ プ 10 の 中 で も 、 ペ ン シ ル バ ニ ア 大 学

(University of Pennsylvania)が 3 位に、ピッツバ ーグ大学(University of Pittsburgh)が 8 位にラン キングしている(図表 37参照)。

   

図表 36  NIH 資金受給額ランキング(2003 年度、州別) 

順位  州  プロジェクト数  金額(ドル) 

1  カリフォルニア  7,011  33 億 8,564 万 

2  マサチューセッツ  4,999  22 億  798 万 

3  ニューヨーク  4,933  18 億 8,617 万 

4  ペンシルバニア  3,486  13 億 4,753 万 

5  メリーランド  2,476  12 億 9,755 万 

6  テキサス  2,750  12 億 1,502 万 

7  ノースカロライナ  2,059  9 億 3,896 万 

8  ワシントン  1,576  7 億 6,776 万 

9  イリノイ  1,903  7 億  662 万 

10  オハイオ  1,792  6 億 6,136 万 

出典:NIH資料67  

図表 37  NIH 資金受給額ランキング(2003 年度、機関別) 

順位  州  プロジェクト数 金額(ドル) 

1  Johns Hopkins University  1,306  5 億 5,588 万  2  University of Washington  1,002  4 億 4,088 万  3  University of Pennsylvania  1,166  4 億 3,446 万  4  University of California San Francisco  926  4 億 2,073 万  5  Science Applications International Corp  3  4 億 1,735 万  6  Washington University  834  3 億 8,323 万  7  University of Michigan  920  3 億 6,215 万  8  University of Pittsburgh  864  3 億 4,823 万  9  University of California Los Angeles  885  3 億 4,702 万 

10  Duke University  769  3 億 4,580 万 

出典:NIH資料68  

ペンシルバニア州はまた、全米で最初の病院(1751 年、ペンシルバニア病院)が設立されたほか、最初の ポリオワクチンの発明(1955 年、ピッツバーグ大学で Jonas Salk博士)、最初の複数臓器(心臓・肝臓・腎臓)

同時移植を行った(1989 年、Presbyterian University 

Hospital)など、医療業界において古い歴史を持つ州 でもあり69、こうした土台が現在の医療機器業界、バ イオサイエンス業界の成長につながっているといえる。 

 

5-3  技術傾向   

ペンシルバニア州の医療機器会社で総収入が最も多 い デ ン ツ プ ラ イ ・ イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル ( Dentsply  International)は、歯科用製品の世界的大手である。

歯科用製 品や サプライ 品の 製造を行 って いる企業

(Dental equipment & supplies mfg)は、州内に 34 社あり、従業員数は 1,606 名となっている。従業員数 で見た場合、カリフォルニア州(3,673 名)に次いで 全米 2 位の規模である。また、呼吸器関連の製品を扱 っている企業も、レスピロニクス(Respironics)社、

テレフレックス(Teleflex)社など大手がある。 

 

5-4  中核となる大学   

ペンシルバニア州のバイオサイエンス業界で中核と

なっている大学は、ペンシルバニア大学とピッツバー グ大学である。前述したように、両大学は、NIHの資金 受給額も全米でトップ 10 入りしている。ピッツバーグ 大学は、ペンシルバニア州、ペンシルバニア大学メデ ィカル・スクール・ヘルス・システム(UPMC Health  System)、カーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon  University)とともに、おもに州南西部にある新興バ イオサイエンス・ビジネスを支援、育成を目的とした、

「ピッツバーグ・ライフサイエンス・グリーンハウス

(Pittsburgh Life Sciences Greenhouse: PLSG)」70に 参加している。官民のパートナーシップによるPLSGで は、特に、バイオインフォマティックス、バイオテク ノロジー、診断、医療機器、医療ロボティックス、製 薬分野のライフサイエンス企業を中心に、投資や支援 を提供している。 

 

5-5  地域の医療機器業界団体   

ペンシルバニア BIO(Pennsylvania BIO) 

住所  20 Valley Stream Parkway, Suite 110, Malvern, PA 19355  電話  610-578-9220 

fax  610-578-9219 

ウェブアドレス  http://www.pennsylvaniabio.org   

製薬企業大手、バイオサイエンス企業、病院、大学、コンサルティング会社など、バイオサイエンスに関連す る約 200 の企業や機関が加盟している。なお、BIO に加盟しており、2005 年 6 月に開催される BIO 年次総会「BIO2005」

のホスト都市として、フィラデルフィア市が選ばれている。

       

5-6  主要企業プロフィール:デンツプライ・インタ ーナショナル(Dentsply International)社71  

デンツプライ・インターナショナル社は、1899 年に、

人工歯をはじめとする歯科用材料、機器を製造、販売 する会社として設立され、1 世紀以上の歴史を持つ。

近年では、Friadent や Degussa のデンタル部門などを 吸収合併したほか、アストラゼネカ社の歯科用局所麻 酔剤事業を引き継いで医薬品分野にも進出するなど、

事業を拡大している。2004 年には、前年比で 8.1%増 となる 16 億 9,000 万ドルの売上を達成した。これは同 社の過去最高である。 

 

デンツプライ・インターナショナル社は現在、欧州 と北米に研究施設を持っている。また、22 カ国に製造 拠点があり、製品は 120 カ国で流通されている。 

 

5-7  クラスターの売り文句   

ペンシルバニア州は、州内のバイオサイエンス企業

ライフサイエンス・グリーンハウス・イニ シ ア チ ブ ( Life  Sciences  Greenhouse  Initiative):地域の研究機関やバイオサイ エンス・スタートアップの育成、ライフサ イエンス分野の強化を目的とした地域振興 プログラム。上述の PLSG は州南西部を対象 としており、他にも、州南東部を対象とし たバイオアドバンス(BioAdvance)、州中央 地域を対象とした中央ペンシルバニア・ラ イフサイエンス・グリーンハウス(Central  Pennsylvania Life Sciences Greenhouse)

がある。 

 

キーストーン・イノベーション・ゾーン

(Keystone Innovation Zones):カレッジ・

大学・短大・専門学校などの教育機関があ るコミュニティで、技術革新や起業のチャ ンスを育成、促進するためのゾーン制度。

キーストーン・イノベーション・ゾーンと して認められた場合、税控除や資金提供な

Research Enhancement: CURE):州内の医療 機関やカレッジ、大学、非営利医療団体な どを対象に、臨床、医療サービス、バイオ メディカルの研究資金を提供するプログラ ム。 

 

5-8  大企業、他地域、海外との連携   

ペンシルバニア州政府のコミュニティ・経済開発省

( Department  of  Community  and  Economic  Development: DCED)は、州内のライフサイエンス産業 の育成を目指し、他地域、海外からの企業誘致を積極 的に行っている。これまでに、ペンシルバニア州内に 本社移転や施設の新設を行った医療機器企業には、以 下のような企業がある(発表段階のものも含む)72。   

Antares Pharma Inc.:バイオテクノロジー による医薬品伝達システムを開発する同社 は、ミネソタ州にあった本社をペンシルバ ニア州のエクストンに移転。 

Siemens Medical Solutions:米国メディカ ル本社をペンシルバニア州マルバーンに設 置。 

EuroGentec:ベルギーのバイオテクノロジ ー企業である同社は、ペンシルバニア州に 米国事業本部を設置することを発表。 

 

また、DCED は、オーストラリア、ベルギー、

ドイツ、日本、韓国、シンガポール、英国 など、世界 17 ヶ所に国際ビジネス開発オフ ィス(Office of International Business  Development: OIBD)を構えており、全米で 最も大きな海外ネットワークを持っている 州政府である。 

 

OIBDがこれまでに行ってきた取り組みには、

以下のようなものがある73。   

ペンシルバニア州内にある 25 のライフサイ エンス企業および大学の技術移転オフィス と、そのパートナーとなる可能性がある組 織・機関とのコミュニケーションの促進(オ ーストラリア、ドイツ、日本、韓国、英国 で実施) 

州内の 30 のライフサインエス企業と、これ らの企業への投資を見込めそうな 4 つのア ジア系企業(日本の大手製薬会社 2 社を含 む)の会合の支援。 

BIO2002 で、カナダのライフサイエンス関連 企業とのプレスクリーン会合の設定。 

韓国の 6 つのバイオベンチャー企業の代表 者によるペンシルバニア視察の設定。 

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