ここでは、数量計算書作成における注意点を説明します。
数量計算書作成支援システムで作成される数量計算書は、積算を考慮するだけでなく、体系ツ リー、数量計算書、単位数量計算書の作成に誤りがなく、照査しやすい計算書を目的としています ので、必ず計算書の作成前に注意事項を参考ください。
62 基本操作マニュアル
4-1 設計条件入力時の注意点 4-1-1 コードについての注意点
コードは、設計書の管理が行いやすいように、契約番号と枝番により入力を行ってください。
【参考例】
例として、契約番号「2007-20-123456」の設計業務(工区分割の指示あり)にて入力を行います。こ の場合、全体「0720123456-00」、1工区「0720123456-10」、n工区「0720123456-n0」と入力を行いま す。
設計番号:2011-20-123456
コード:1120123456-00
変更回数:当初設計「0」、n回変更「n」
発注工区:全体「0」、n工区「n」
数量計算データの管理しやすいコードとするため、必ず契約番号と枝番にて、入力を 行うこと。
基本操作マニュアル 63
4-2 工種体系(レベル~レベル4)選択・作成の注意点 4-2-1 事業区分の選択についての注意点
「事業区分・工事区分」の選択では、積算システムとの連携を行うことを前提としており、工事発注に 即した事業区分を選択して下さい。
【参考例】
下図の「事業区分」の欄から「本工事、附帯工事、補償工事」にそれぞれ工事発注にあった事業区分を
選択します。
また、積算システムにて合併積算する場合には、「工事2」「工事3」にて、事業区分の選択をして下さい。
合併積算が予定される場合には、「工 事2」「工事3」にて事業区分を選択す る。
工事発注に合った事業区分 を選択する。
● 適切な事業区分が不明な場合は、事前に担当職員と協議を行い決定すること。
64 基本操作マニュアル
4-2-2 標準工種体系の選択についての注意点
新土木積算体系の構成は、「工事目的物の細分化」を目的として作成されており、下記の基本方針を元に 構成しています。
体系の選択を行う場合、新土木積算体系に準拠し、作業工種を選択して下さい。
【参考例】
良くある作成例として、作業土工体系を例に紹介しています。
「道路土工」に「作業土工」
が含まれているが、作業土工 は各工種にて追加することと なっており、道路土工に追加 してはならない。
工 事 目 的 物 ご と に 「 作 業 土 工」が作成されており新土木 積算体系の基本方針に則し た体系になっている。
<誤った作成例> <正しい作成例>
~基本方針~
・わかりやすいものであること
・標準的な内容で構成されたものであること。
・契約対象となる工事目的物が明確であること。
※参考 新土木工事体系と積算の実際 P28 より抜粋
担当職員と協議のうえ、作業工種の選択(作成)が適切と判断された場合 は、この限りではありません。
基本操作マニュアル 65
4-2-3 類似工種体系の作成についての注意点
工種体系ツリーに目的となる工種体系が見つからない場合には、類似工種体系より体系の追加を行うこと により、発注体系の統一を図ります。
他の事業区分または工事区分に類似工種が含まれている場合があるため、この場合には「標準工種(マスタ 参照)」機能により工種体系を追加して下さい。
(参考例)
例では、細別に同名称の無い「デリネータ」を例に説明を行います。
デリネータのように構造物名称は解るが、適用する工種体系名称が解らない場合は、その構造物の設置目 的を考慮し、類似工種体系の選択を行います。
デリネータの目的・・・・・・・道路の側方に沿って、路端や道路線形などを明示し、昼夜間における車両運転 者の視線誘導を目的とし設置を行う。
上記の設置目的より、類似工種として「視線誘導標」を適用する。
構造物名称が無い場合に は、類似体系の選択を行 う。
類似工種が、他の事業区分(工 事区分)にある場合は、「編集
→追加→マスタ参照」より検索 し、追加を行う。
標準体系が無い場合、安易に独自体系を追加せず、「検索」より標準体系 の確認を行うこと。
66 基本操作マニュアル
4-2-4 独自工種体系の作成についての注意点
工種体系ツリーに目的となる工種体系(類似体系)が無い場合には「独自工種」機能にて独自工種体系の 作成が行えます。
この場合、安易な独自工種の作成を行うことで工種体系の統一化が図れなくなる恐れがある為、「独自工種」
の追加を行う場合には、「名称」「単位」「体系の接続位置」等を担当者と協議により決定して下さい。
(参考例)
下記は、標準工種に無い「板柵桝」を独自体系として作成した例を紹介しています。
独自工種の追加は「編集→追加→独自工 種」で行うことができます。
体系ツリー画面では“朱色”で表示されてい るフォルダが独自工種です。
類似体系が流用できず、やむを得ず独自体系を作成する場合には、必ず 担当者と協議を行い工種体系の名称を統一すること。
基本操作マニュアル 67
4-2-5 標準工種体系の名称変更についての注意点
標準工種体系の名称を変更すると数量総括表の表示が不統一になり、標準工種体系なのか独自工種体
系なのかを確認することが困難になります。
上記を回避するために、標準体系の名称は原則として変更を行わず、必要な場合には「規格」欄で記載して 下さい。
【参考例1】
下記は細別名称を独自に変更した例を紹介しています。
【参考例2】
下記は、補助表現により工種・種別体系の作業目的を明確にした例を紹介しています。
標準工種体系の名称が個人のわ かりやすい名称に変更されている が、全体の統一が行えない。
標準工種体系の名称を変更 せずに使用している。
<誤った作成例> <正しい作成例>
<正しい作成例>
<誤った作成例>
種別名称を変更することにより、施 工目的を区別しているが、体系の 名称統一が行えない。
標準名称を変更せず、規格にて補 助表現を記載し、施工目的物の区 別を行っている。
68 基本操作マニュアル
4-2-6 細別(レベル4)の単位変更についての注意点
細別数量の算出を行うにあたり、細別の標準単位を数量算出が行い易いように修正を行うケースが発生
しています。
標準工種の単位を変更した場合「数量総括表の表示が不統一」になり、発注体系の統一を図ることが出来な いため、原則として単位の変更は行わず標準単位を使用して下さい。
【参考例】
下記は、場所打擁壁工(構造物単位)を例に紹介をしています。
<不適切な作成例>
<正しい作成例>
標準工種の単位を「m3」から「m」に変更し ている為、発注体系の統一が図れません。
原則として、単位の変更は行ってはならな い。
標準単位にて作成を行っているため統一が 行える。
標準単位は、原則として修正を行わないこと。
基本操作マニュアル 69
4-2-7 細別(レベル4)の内訳についての注意点
施工を目的とした体系(例:土工、舗装等)においても、積算連携を目的の1つとしているため、全ての単 位数量計算書で歩掛の選択を行い、積算を考慮した単位数量計算書を作成して下さい。
【参考例】
下記では、施工を目的とした体系として「掘削(土砂)」を例に紹介をしています。
単位数量計算書が作成されている場合と作成されていない場合の細別アイコン表示の違いにより、確認が できます。
正しい例:単位数量計算書が作成されている 誤った例:単位数量計算書が作成されていない
<体系ツリー画面>
<単位数量計算書画面>
全ての細別(レベル4)には 全ての細別に単位数量計算 書が必要です。
単位数量計算書内では必要なレベル6 項目を選択することで、単価表または 内訳表を考慮し作成して下さい
単位数量計算書は、単価表(内訳表)として積算システムに連携されるた め、全ての細別にて単位数量計算書の作成を行うこと。
単位数量計算書が作成されている 単位数量計算書が作成されていない
70 基本操作マニュアル
4-3 レベル6項目の選択・作成時の注意点
4-3-1 レベル6項目の名称変更についての注意点
レベル6項目の名称を変更した場合、積算連携を行うと下記のパターン1~パターン2による積算ミスが発生
するため、名称は変更せず標準名称で数量計算して下さい。
●パターン1
レベル6項目の複写を行い、全く異なる歩掛構成として使用している。
この場合、レベル6項目の名称を変更しているだけとなり、レベル6項目の中身は名称変更する前の状態となっ ているため、積算を行うと誤った金額を算出してしまいます。
(参考例)
下記の例は、均しコンクリート 10m2(1.0m×10.0m、t=10cm)の金額を算出していますが、レベル6選択において、
標準歩掛から「型枞」を使用せずに他の歩掛の「名称」「単位」を変更して使用した誤った使い方の例を紹介して います。
変更前:無筋・鉄筋構造物人力打設 変更後:型枞
<正しい歩掛を使用した場合>
均しコンクリート 10m2 当たり
名 称 規 格 単位 単位数量 単 価 金 額
無筋・鉄筋構造物人力打設 18-8-40 m3 1 13,040 13,040
型枞 均し m2 2 5,758 11,516
<他の歩掛を複写し名称を変更して使用した場合>
均しコンクリート 10m2 当たり
名 称 規 格 単位 単位数量 単 価 金 額
無筋・鉄筋構造物人力打設 18-8-40 m3 1 13,040 13,040
型枞 均し m2 2 13,040 26,080
型枞の単価ではなく無筋・鉄筋構造物人力打設の 単価が算出されてしまい、過大積算となります。
この状態で積算連携を行うと・・・
適切ではない歩掛の名称を変更し使用した場合、積算時の過大・過小積算の 原因となるため、レベル6(歩掛項目)名称の変更は絶対に行わないこと。