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マトリックス合金の凝固組織の形成過程

ドキュメント内 宮原, 広郁 (ページ 96-101)

6 . 1 緒 言

液相法における複合化過程では強化材の間隙に充填された溶融金属の凝固で完了するので、マ トリックスの凝固機構の解明とその制御法の確立は重要である。液相法では、マトリックスの凝 固は繊維または粒子聞の狭い間隙で起こるため、デンドライトアームの軸方向の成長が妨げられ

(3 6)、長繊維により完全に固まれた領域ではデンドライトの 2次アームは軸方向には成長できず

軸と垂直方向に粗大化し、さらに溶質濃度の均質化も顕著になることが報告されている (37)。し かし、複合材料は繊維の形状、大きさ、プリフォーム内の繊維配列によりその形態は変化し、繊 維と品出する初晶との大きさの比や濡れ性などの物性値が変化することにより、その組織形成機 構は異なったものになると考えられる。さらに、結晶成長時のミクロ偏析および、その結果生じ

るマクロ偏析についての研究は少なく、解明すべき重要課題として残されていた。

本章では加圧溶浸法を用いて、明瞭な初晶デンドライトと共品組織を形成して組織の定量的測 定が容易なAトCu合金中にA1203長繊維を分散させた複合材料を作製し、一方向凝固させることに より、複合材料のマトリックス金属の凝固組織に及ぼすセラミックス繊維の分散形態および充填 率等の影響について調査し組織形成機構を考察した。

6.2  実験方法

6 . 2 . 1 実験試料

圧入金属には、 99.99児Alおよび99.9%Cuを原料として溶製したAl‑15児Cu合金をφ9 x10mmの円 柱に切断し、アセトンで超音波洗浄して用いた。繊維にはTable 1‑1に示したSumitomoAlumina 

(住友化学(械製γ‑A1203)を長繊維のまま用いた。

6.2.2  溶湯圧入一方向凝固実験

実験装置には第5章で用いた溶湯圧入装置を用いたが、 Fig. 6‑1に示すように黒鉛鋳型を水冷 銅板上に設置したため、溶湯圧入後は黒鉛シリンダー側面の複数の熱電対により測温しながら下 方から上方ヘ一方向凝固させることができる。

実 験 は 炉 内 を 約3Paの 真 空 雰 囲 気 に し 、 水 冷 銅 板 に 水 を 流 し た 後 に 電 気 炉 に よ り 繊 維 お よ び

( a )  

Thermocouple 

¥ 

10 m

Thermocouple 

¥、

Water ~

Graphlte p

、 F l  

Graphiteiniston 

Cooling plate 

( b )  

Water 

' ー

Fibers 

Fig.  6 ‑1  (a) Apparatus for pressure infiltration and (b) graphite crucible. 

が下がるためである。次に、炉内の温度が安定したことを確認して加圧装置で荷重をかけ、溶湯 を圧入させた。続いて、温度制御装置により炉温を一定速度で冷却して試料を下方から上方に一 方向凝固させた。測温は黒鉛シリンダー内に設置した熱電対により行ない、得られた温度一時間 の関係からAl‑15児Cuの液相線の温度(887K)における温度勾配(G 

K/皿)、凝固速度(R

m/s)およ び冷却速度 (Vc ,K/s)を算出し、さらに、液相線と共晶温度(821K)聞の冷却速度の平均値(平均 冷却速度:琉)も求めた。作製した複合材料は凝固方向に水平および垂直な面で切断して研磨し た後、 5X 10 2mol/m 3NaOH水溶液または4X 10 3mol/m 3HN03?;夜で腐食し、光学顕微鏡により組織を観 察するとともにデンドライトアーム間隔を測定した。

6.2.3  水平一方向凝固実験

任意の温度で固液界面を急冷させる目的から、以下の手順で水平一方向凝固実験を行なった。

まず、一方向凝固装置に適した板状の複合材料を油圧プレス機およひi:Fig.6‑2に示したS45C金型 および黒鉛鋳型を用いて作製した。金型底部には空気抜きとして幅1皿、深さ0.2mmの溝が刻んで あり、金型内壁にはAl溶湯との焼き付き防止のためにボロンナイトライドを塗布した。実験は、

電気炉によりAト15見Cu合金溶湯および金型をそれぞれ1023K"873Kに予熱した後、大気中で金型

に Al-Cu合金溶湯を注ぎ、油圧プレス機により直ちに 45~50MPa の圧力をかけて複合した。作製し

た複合材料は5mmX 20mm X 50mmに加工し、アセトンにて超音波洗浄後、水平一方向凝固実験に供 した。

水平一方向凝固装置の概略図をFig.6‑3に示した。装置の中心には試料室があり、黒鉛板と複 合材料および繊維を含まないバルク試料を交互に重ねてある。試料室をニクロム線炉内にセット

した後、 5X10‑6m3/sのAr気流中で1073Kまで昇温した。なお、 Al‑Cu合金の液相線より約200K高 温にしたのは、一方向凝固のための水冷銅板を柑塙中に挿入した際に、炉温が約150K急激に下が る た め で あ る 。 試 料 が 溶 解 し た 後 、 水 冷 銅 板 を セ ッ ト し 、 温 度 制 御 装 置 に よ り 0.17K/sおよび 0.33K/sの一定冷却速度で左から右ヘ水平に一方向凝固させ、凝固界面がチル面から約30mmの位 置にきたとき水冷銅パイプを溶湯中に挿入して急冷し、凝固界面の組織も観察した。測温は試料 室内にセットした熱電対によって行ない、 6.2.2節の場合と同様に温度勾配(G)、凝固速度

(R )、冷却速度 (Vc)および平均冷却速度(玩)を求めた。

sylinder 

Graphite cru 

A i r  

Brass  piston 

Molten  metal  Fibers 

~Air

Fig. 6 ‑2 

S45C 

mold for  infiltration. 

Nichrom heater 

Copper plate  10r cooling  Graphite plate  Graphite crucible 

Copper pipe  10r quenching 

Specimen 

Isolite  Fig. 6 ‑3 Apparatus for unidirectional soldification. 

6.3  結果および考察

6 . 3 . 1 初晶および共品の分布に及ぼす繊維の影響

Fig.  6‑4にFig. 6‑1の装置を用いて作製した試料の凝固組織を示す。 AトCu合金は、デンドラ イト状に成長した初晶α相とその間隙にネットワーク状に品出した α‑A12Cu共晶で構成されてお り、 A1203繊維は共晶部に多く分布している。そこで、この共晶量と繊維充填率との関係を定量 化するため、圧入試料について、第2章第 2節で用いた画像解析装置によりマトリックス中の共 品量 (f E)を面積の割合として求め、繊維充填率との関係としてFig. 6‑5に示した。なお、光顕 写真には初品、共晶および繊維の 3相が存在するため、共品の面積率 (f E)は次式により測定し

︒た

fE~ SE 

SA+ SE  ..(61) 

た だ し ー 充 填 率

SA:初晶の面積率 │ 

SE:共晶の面積率 │ 

f +  

~ 1 ) 

充填率が高い領域では、共品量が多い傾向にあることが確認された。この原因としてFig.6‑4  からうかがわれるようにA1203繊維はα相との接触角が900以上であり、濡れ性が悪く α相に対す

る核生成作用がないこと、 α相の成長時には残液部ヘ押し出される傾向があることから挙げられ る。さらに、繊維の比熱が0.88kJ/kg.Kで、ほぼAl(1. 08J /kg. K)および:'Cu(O. 44J/kg. K)の値に近 いオーダーであるが、熱伝導率が34.8J/sKとAl(111.6J/msK)およびCu(405.6J/msK)に対して非 常に低く、初晶α相は繊維部を避けて成長し、繊維の多い所は最終凝固部となり共晶組織になる

6.3.2  複合材料のデンドライトアームスペーシングに及ぼす繊維の影響

圧入試料並びに水平一方向凝固試料を用い、繊維間隙の初晶デンドライトの1次および2次アー ムスペーシング (d 1d2)を測定した。充填率が高くなるにつれて、デンドライトが十分に成長 できずに分断される現象が見られ、繊維充填率 (Vf)

20vol犯ではl次アームおよび2次アームの 判別が困難であったため、 VfカS20vol%以下の場合について測定を行なった。 dlに関する理論

としてはKurtzとFisherら(82)によるものがあり、 dlは1/(R1/01/2

)に比例すると導いている。

A:α‑

phase 

E  :  E u t e c t i c  s t r u c t u r e   F :  F i b e r  

14OJ.&I1l

F i g .  6 ‑ 4 O p t i c a l  m i c r o g r a p h s  o f  A 1 2

U3 

f i b e r  /Al‑15%Cu c o m p o s i t e s .  

)¥ 冶

J

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