第 5 章 L A TEX のカスタマイズ 65
5.4 ページレイアウト
LATEX 2εでは,\documentclassコマンドのオプションで出力する用紙サ
イズを設定でき,適切なマージンなどが自動で設定されますが,その値に満 足できないこともあります.そんな場合,マージンなどの値を変更すること
5.4 ページレイアウト 75
ヘッダ
本体
フッタ 傍注
i
8
-i
7
? 6
i 1
-i
3
i 10
- 9i
6
? i
11
i
2
? i 6
4
6
? i
5
6
? i
6
6
?
1 1インチ + \hoffset 2 1インチ + \voffset 3 \evensidemargin = 72pt 4 \topmargin = 5pt 5 \headheight = 15pt 6 \headsep = 19pt 7 \textheight = 628pt 8 \textwidth = 360pt 9 \marginparsep = 10pt 10 \marginparwidth = 124pt 11 \footskip = 27pt \marginparpush = 5pt (非表示)
\hoffset = 0pt \voffset = 0pt
\paperwidth = 597pt \paperheight = 845pt
図5.2: ページレイアウトパラメータ
76 第5章 LATEXのカスタマイズ ができます. 図5.2に,変更することのできるパラメータを示します.この
図は,‘tools’2 中のlayoutパッケージを用いて作られたものです.
ちょっと待った!. . .「ページの幅を少し広くしよう」と思い込む前に,もう 少し考えてみましょう.LATEXではほとんどのことがそうであるように,ペー ジレイアウトにもそのように定義されている理由があるのです.
確かに,市販のMS Wordのページレイアウトと比較すると一行の幅はか なり狭くなっています.しかし,お気に入りの本3を手にとって,一行の文字 数を数えてみて下さい.一行に,66文字以上はないでしょう.そこで,LATEX の出力結果でも同じように文字数を数えて下さい.一行に66文字くらいであ ることがわかります.経験的に,一行にたくさんの文字を詰め込むととたん に読みづらくなることがわかっています.これは,ある行の終わりから次の行 の最初まで目を移動するのが難しいためです.また,新聞が複数の列(訳注2) から構成されているのも同じ理由です.
そこで,もし作成している文書の幅を広げるならば,その文書を読む人に 無理をさせることを覚えておいて下さい.ただ,十分に注意を払うのならば その方法を教えましょう. . .
LATEXには,これらパラメータの長さを変更するために二つのコマンドが 存在し,通常文書のプリアンブルで使用します.
一つ目は,パラメータに決まった値を直接設定するコマンドです.
\setlength{parameter}{length}
二つ目は,パラメータに設定し長さを増減させるコマンドです.
\addtolength{parameter}{length}
このコマンドは,現在の値を基準に設定することができるので,\setlength コマンドよりも使いやすいでしょう.一行の幅を1cm広くするには,以下の コマンドを文書のプリアンブルに書いて下さい.
\addtolength{\hoffset}{-0.5cm}
\addtolength{\textwidth}{1cm}
この場合,calcパッケージを使用すると,\setlengthコマンドなどの引数中,
もしくは数値を書き込むことのできる場所に加減乗除などの算術式が使用で きるようになります.
2CTAN:/tex-archive/macros/latex/packages/tools
3評判の良い出版社が発行している書籍のことです.
(訳注2)日本の一般の縦組された新聞では,段ですね.