第 5 章 曲線の不変特徴量と編集性 51
5.5 提案手法の評価
5.5.5 ベクタ変換の編集性
提案したディジタル曲線の頂点と,ベクタ変換によって得られるベジエ曲線の通過点につ いて,比較を行う.ベクタ変換の従来手法としてSelingerらの手法を用いる.提案した曲線 の頂点(Summits),提案手法による通過点(Prop.),従来手法による通過点(Conv.)を 図5–14に示す.なお,スケールとしきい値は前の実験と同じである.この図より,提案手 法は多くの場合曲線の頂点に近い位置に通過点が存在していることが確認できる.一方,従 来手法ではほとんどの通過点は曲線の頂点の間に存在していることも確認できる.
次に,しきい値thを様々な値に変更したときの,検出された頂点の個数,提案手法と従 来手法において頂点に対応する通過点の個数の関係を図5–15に示す.この図より,しきい 値が小さいと頂点が過剰に検出されることが確認でき,しきい値が大きいと大局的な頂点だ けが検出されることが推定される.また,利用可能なしきい値には余裕があり,4π3 〜4π5 程 度である.
図5–11: 特徴点の検出結果.左がDoCによる提案手法で,右がCSSによる従来手法.コン テンツは左上からapple, bat, children, crown, device0, fork, Misk, rat
51 104
0
343 153
199
250
299
図5–12: 多角形近似と点番号の関係(自発表[69]より引用)
5.5. 提案手法の評価 67
図5–13: ドライバの曲率(自発表[69]より引用)
図5–14: 頂点と通過点の位置関係(自発表 [69]より引用)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7
Number of Summits
Threshold for Summit (Th) Total Prop.
Conv.
図5–15: しきい値と頂点数の関係(自発表 [69]より引用)
-1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
Curvature
Point number Proposed Conventional
図5–16: 曲率と通過点の位置関係(自発表[69]より引用)
表5–2: Summits Ratio for each Bezier Curve Proposed Method Conventional Method
70.4% 32.3%
適切なしきい値を利用した場合,提案手法において曲線の頂点に通過点が存在する割合は 8割程度である.なお,従来手法でも2割程度は曲線の頂点と通過点が一致している.これ は,頂点がカーブではなくコーナと判定された場合と,先に述べたように連続して頂点が検 出された場合であると考えられる.提案手法は従来手法に比べて割合が向上していることか ら,編集が容易な部分が大幅に増えているといえる.
約260個の頂点を有する2値のイラストを入力としてベクタ変換を適用し,曲率と通過点 の位置関係を調査した.なお,ベクタ変換の従来手法としてSelingerらの手法を用いる.パ ラメータσは,1未満にすると微分が成立せず,大きすぎると大局的な頂点しか抽出できな い.なお,スケールとしきい値は前の実験と同じである.
図5–16にディジタル曲線を構成する点の番号と,その点の曲率(Curvature),提案し た曲線の頂点(Summits),提案手法による通過点(Proposed),従来手法による通過点
(Conventional)を示す.この図より,提案手法は多くの場合曲線の頂点に近い位置に通過
点が存在していることが確認できる.一方,従来手法ではほとんどの通過点は曲線の頂点の 間に存在していることも確認できる.
また,画像全体について,曲線の頂点付近に通過点が存在する頂点の割合を表5–2に示す.
従来手法でも30%程度は曲線の頂点と通過点が一致している.これは,頂点がカーブではな くコーナと判定されたためであると考えられる.提案手法は従来手法に比べて割合が向上し ていることから,直感的な編集が可能な部分が大幅に増えているといえる.