定義 13 (ヘッシアン). 函数f(x, y)に対し Hf(x, y) := det
@2f
@x2(x, y) @y@x@2f (x, y)
@2f
@x@y(x, y) @@y2f2(x, y)
!
= @2f
@x2(x, y)@2f
@y2(x, y)
✓ @2f
@x@y(x, y)
◆2
と定義しHf をfのヘッシアンあるいはヘッセ行列式と呼ぶ。
注41. Hfは、例えば@f
@xのように説明しなくてもほぼ誰にでも通じる記号と違って、ここだけの記号であるから、くれぐれも 答案などで説明抜きにいきなりHf などと書かないように。因みに判別式をDと書くのも同様で、説明抜きにいきなりDと書 いても他人には通じない。
さて2変数函数f(x, y)の臨界点(a, b)における2次近似(51)の函数のグラフ z=f(a, b) + 1
2
@2f
@x2(a, b)(x a)2+ @2f
@x@y(a, b)(x a)(y b) +1 2
@2f
@y2(a, b)(y b)2 (61) の形状はこれを平行移動した
z= 1 2
@2f
@x2(a, b)x2+ @2f
@x@y(a, b)xy+ 1 2
@2f
@y2(a, b)y2
の形状と同じだから、(60)を適用すると
1 2
@2f
@x2(a, b)·12
@2f
@y2(a, b) 14⇣ @2f
@x@y(a, b)⌘2
>0のとき (61)は原点で極大または極小。
1 2
@2f
@x2(a, b)·12
@2f
@y2(a, b) 14⇣ @2f
@x@y(a, b)⌘2
<0のとき (61)は原点で峠。
となる。臨界点において2次近似が極大または極小なら元の函数もそうであり
定理 9. f(x, y)はxy平面上の領域Dで2階連続微分可能(即ち0階から2階までのすべての偏導函
数が存在して連続)とする。Dの内部の点(a, b)に対して
@f
@x(a, b) = @f
@y(a, b) = 0, Hf(a, b)>0, @2f
@x2(a, b)>0)f(x, y)は点(a, b)で極小
@f
@x(a, b) = @f
@y(a, b) = 0, Hf(a, b)>0, @2f
@x2(a, b)<0)f(x, y)は点(a, b)で極大
@f
@x(a, b) = @f
@y(a, b) = 0, Hf(a, b)<0)f(x, y)は点(a, b)で極大でも極小でもない が成り立つ。(定理9終)
注42. 杉浦p.159の定理8.4系がこの定理に対応するが、n変数版で書いてある。小林「続」p.59の定理1にもある。こちら は2変数版。
注43. それでは臨界点でヘッシアンが0のとき、即ち
@f
@x(a, b) =@f
@y(a, b) = 0, Hf(a, b) = 0
のときはどうなるのか、気になるはずである。実はこの場合、f(x, y)は点(a, b)で極大または極小になることもあるし、どちら にもならないこともある。上の判定条件に当てはまらないからといって「極大極小にならない」と判断するのは誤りである。臨 界点でヘッシアンが0になる場合は、極大または極小になるのかどちらにもならないのかをその都度自分で工夫して判定しなけ ればならない。
例13.
例題 7. f(x, y) = (x2 y2)e (x2+y2)を極大にする点(x, y)および極小にする点(x, y)をそれぞれす べて求めよ。
以下、解法を説明するが、答案の書き方の説明ではない。このまままねして書いても答案にはならないので注意すること。(教科書にある例題に 対する解答も、読者に対する説明として、しかも紙数の制約からごく簡潔に書いてあるので、そのまままねしても答案にはならないので注意する こと。)
(1) 極値点はすべて臨界点なので、まず臨界点をすべて求める。臨界点とは (0 = @f@x = 2x(1 x2+y2)e x2 y2
0 = @f@y = 2y( 1 x2+y2)e x2 y2 を満たす点(x, y)のことである。12ex2+y2を両辺にかけると
(0 =x(1 x2+y2) 0 =y( 1 x2+y2) となり
,(x= 0または1 x2+y2= 0)かつ(y= 0または 1 x2+y2= 0) ,(x= 0かつy= 0)または(x= 0かつ 1 x2+y2= 0)
または(1 x2+y2= 0かつy = 0)または(1 x2+y2= 0かつ 1 x2+y2= 0) ,(x= 0かつy= 0)または(x= 0かつ 1 +y2= 0)
または(1 x2= 0かつy = 0)または(1 x2+y2= 0かつ2 = 0)
,(x= 0かつy= 0)または(x= 0かつy=±1)または(x=±1かつy= 0) なので、臨界点は(0,0),(0,±1),(±1,0)である。
(2) 各臨界点に対しヘッシアンによる判定法を適用する。
@2f
@x2 = 2(1 x2+y2)e x2 y2 4x2e x2 y2 4x2(1 x2+y2)e x2 y2
@2f
@x@y = 4xy(x2 y2)e x2 y2
@2f
@y2 = 2( 1 x2+y2)e x2 y2+ 4y2e x2 y2 4y2( 1 x2+y2)e x2 y2
本来は @2f
@x2(x, y)などと書くべきところをサボって単に @2f
@x2 などと書いていることに注意。
Hf(x, y) = @2f
@x2(x, y)@2f
@y2(x, y)
✓ @2f
@x@y(x, y)
◆2
とおくと
(a)@2f
@x2(0,0) = 2, @2f
@x@y(0,0) = 0, @2f
@y2(0,0) = 2 から
Hf(0,0) = 2·( 2) 02= 4<0 なので(0,0)は峠点であって極大でも極小でもない。
(b)@2f
@x2(0,±1) = 4e 1, @2f
@x@y(0,±1) = 0, @2f
@y2(0,±1) = 4e 1 から Hf(0,±1) = (4e 1)2 02= 16e 2>0 なので(0,±1)は極値点である。更に @2f
@x2(0,±1) = 4e 1>0であることから(0,±1)にお いてf(x, y)は極小値を取る。
(c)@2f
@x2(±1,0) = 4e 1, @2f
@x@y(±1,0) = 0, @2f
@y2(±1,0) = 4e 1 から Hf(±1,0) = ( 4e 1)2 02= 16e 2>0 なので(±1,0)は極値点である。更に @2f
@x2(±1,0) = 4e 1<0であることから(±1,0)に おいてf(x, y)は極大値を取る。
従って f(x, y)を極大にする点は(±1,0)、極小にする点は(0,±1)である。
問 30. f(x, y) =x2 xy+y2 3x+ 3を極大にする点、極小にする点をそれぞれすべて求めよ。(極 大・極小になるかそうでないかの判定にはヘッシアンを用いること。)