第 2 章 プロジェクトを取り巻く状況 2‑1 プロジェクトの実施体制
2‑1‑1 組織・人員
本プロジェクトに係る先方の責任機関は、教育省内に設けられた Steering Committee である。世 銀、ADB 等他のドナーのプロジェクトについても、本プロジェクト同様の Steering Committee が設 けられ、プロジェクト全体の管理を行っているが、本プロジェクトの場合、施設建設に特化してい るため、少人数の構成になっている。Steering Committee の構成は以下のとおりである。なお、本 プロジェクトの実質的な窓口になるのは、教育省計画・国際協力局である。
1) 教育省計画・国際協力局長 2) 教育省一般教育局長 3) 教育省財務局長
4) ヴィエンチャン特別市教育サービス局長 5) ヴィエンチャン県教育サービス局長
以下に教育省と特別市・県教育サービス局の組織図を示す。
副大臣
一般教育局
非正規教育局
体育教育局
国立教育科学研究所
官房
監査局
財務局
人事局
ラオス国立大学
成人・高等教育局
私学教育局
教育訓練局 副大臣
教育大臣
計画・国際協力局
図 2‑1 教育省組織図
事務・財務局 人事局 就学前・小学
校教育局 中学校教育局 非正規・成人 教育局
県建設開発 援助局(PUCDA) 県教育監視 副局長 委員会
副局長
特別市・県教育サービス局 教育省
図 2‑2 特別市、県教育サービス局組織図
また、本プロジェクトにおける実施機関は、同じく教育省内に設けられた Working Group である。
Working Group は、Steering Committee の下で実務レベルの協議、連絡・調整を行うことになって いる。Working Group の構成は以下のとおりである。
1) 教育省計画・国際協力局次長 2) 教育省一般教育局代表(2 名)
3) 教育省財務局建設課代表(2 名)
4) ヴィエンチャン特別市教育サービス局代表(2 名)
5) ヴィエンチャン県教育サービス局代表(2 名)
なお、学校施設の維持管理については、制度的には郡教育事務所がその費用を負担することにな っているが、予算が非常に限られていることから、実質的には村長、学校教員及び父母会(Pupils' Parents Association)が施設の維持管理に当たることになる。
以下に、郡教育事務所の組織図を示す。
郡教育事務所
副所長 副所長
就学前・
小学校教育局
2‑1‑2 財政・予算
「ラ」国における過去 10 年間における政府予算、教育予算ならびに GDP は、名目および実質ベー ス(1995 年を基準年として調整)でそれぞれ以下に示す通りである。
表 2‑1 「ラ」国政府予算、教育予算
90/91 91/92 92/93 93/94 94/95 95/96 96/97 97/98 98/99 99/00
名目(10 億キップ)
GDP 726 848 940 1,116 1,350 1,655 2,086 3,730 8,839 13,780 政府予算 188 148 202 252 352 340 494 715 1,759 2,774 教育予算 13.5 14.9 18.9 24.4 49.0 46.6 64.4 72.1 101.7 198.5
教育経常予算 11.7 11.2 14.0 15.4 26.2 27.7 35.5 40.2 53.9 103.7 内:初等教育 5.0 4.9 6.0 6.8 12.1 13.6 18.6 18.0 26.3 50.5
実質(10 億キップ)
インフレ指標(1995 年) 0.67 0.71 0.77 0.82 0.94 1.11 1.34 2.24 5.38 7.45 GDP 1,082 1,197 1,220 1,356 1,431 1,488 1,560 1,665 1,642 1,849 政府予算 280.31 208.27 262.13 306.21 373.20 305.74 369.25 319.04 326.74 372.16 教育予算 20.1 18.9 24.5 29.6 52.0 41.9 48.1 32.2 18.9 26.6
教育経常予算 19.2 17.4 18.2 18.8 27.8 24.9 26.5 18.0 10.0 13.9 内:初等教育 7.5 6.9 7.8 8.2 12.8 12.2 13.9 8.0 4.9 6.8 政府予算対 GDP 比 25.9% 17.4% 21.5% 22.6% 26.1% 20.5% 23.7% 19.2% 19.9% 20.1%
教育予算対 GDP 比 1.9% 1.6% 2.0% 2.2% 3.6% 2.8% 3.1% 1.9% 1.2% 1.4%
教育予算対政府予算比 7.2% 9.1% 9.3% 9.7% 13.9% 13.7% 13.0% 10.1% 5.8% 7.1%
教育経常予算対政府 予算費
6.8% 8.4% 6.9% 6.1% 7.4% 8.1% 7.2% 5.6% 3.1% 3.7%
内:初等教育 2.7% 3.3% 3.0% 2.7% 3.4% 4.0% 3.8% 2.5% 1.5% 1.8%
教育経常予算対教育 予算費
95.5% 92.1
%
74.3% 63.5% 53.5% 59.4% 55.1% 55.9% 52.9% 52.3%
内:初等教育 37.3% 36.5% 31.8% 27.7% 24.6% 29.1% 28.9% 24.8% 25.9% 25.6%
世界銀行推計
政府予算に占める教育予算の割合は、1991/92年度以降10%前後を達成してきたが、1998/99年度
に入り5.8%と低下した。1999/00年度では7.2%と再び上昇しており、2001-03年の公共投資計画で
は、2001年度以降に10%に到達させることを目標として掲げている。また、教育予算をより仔細に 見た場合、1990年代前半から後半にかけて、経常予算の占める割合が8割強から5割強に低下して いることが分かる。加えて、教育経常予算に占める初等教育予算の割合は1990年代後半より低下す る傾向にあり、特に教員に対する給与が、新規に建設される教育施設等への資本投資に対し、適切 に確保されるか懸念されるところである。
が、下表に示す通り、その予算が教育予算全体および経常予算に占める割合は極めて小さく、1996 年度以降、それぞれ2%、1%前後で推移している。よって、政府からの維持管理予算の配布は期待 することができず、学校および村の住民自身の自助努力が必要である。
表 2‑2 教育予算
(単位:百万キップ)
90/91 91/92 92/93 93/94 94/95 95/96 96/97 97/98 98/99 99/00
実質教育予算(1995 年基準)
経常予算 19,156 17,428 18,191 18,772 27,800 24,948 26,549 17,952 10,005 13,917 給与 15,833 14,236 14,820 15,222 23,321 20,509 21,872 12,457 6,440 9,379 運営 1,012 986 955 970 1,183 1,111 1,108 554 542 675 維持管理 920 941 866 813 742 701 495 357 288 312 奨学金 1,391 1,266 1,550 1,768 2,554 2,627 3,073 4,584 2,734 3,551 資本予算 920 1,452 6,327 10,832 24,172 16,917 21,571 14,247 8,898 12,712
ラオス政府 920 1,452 2,082 3,391 4,899 4,238 4,804 3,033 2,475 3,244 ドナー援助
分
0 0 4,245 7,440 19,273 12,679 16,767 11,214 6,423 9,469
合計 20,076 18,880 24,517 29,604 51,972 41,866 48,120 32,199 18,902 26,630 世界銀行・教育省
2‑1‑3 技術水準
(1) 事業実施時の体制及び技術水準
事業実施時の施設建設に関する実施主体は、教育省、ヴィエンチャン特別市・県教育サービス局 となる。具体的な担当部署は、教育省の財務局建設課(ECS)及び特別市・県教育サービス局内の県 建設開発援助局(PUCDA)である。PUCDA は、世銀・ADB 等のプロジェクトでは施工管理業務を担当 することになっているものの、十分な数の技術者が配置されていないため、充分な施工監理が行わ れず、建物の品質が施工業者の出来不出来に左右され一定しないという問題が生じている。しかし ながら、日本のコンサルタントによる施工監理のもとで実施される本プロジェクトの実施について は「ラ」国負担事項の実施も含め、必要な技術水準は有しており、プロジェクト実施上の問題はな い。
2‑1‑4 既存施設 (1) 既存施設状況
既存校舎の状況は、ヴィエンチャン特別市内中央部の学校でさえ屋根や壁の老朽化した校舎が目 立ち、ヴィエンチャン特別市郊外の学校では、校舎とは言い難く、床は土のままで、竹や藁で構築 された仮設建物の校舎が多く見られる。ヴィエンチャン県についてもこの様な仮設建物の校舎が大
2‑2 プロジェクト・サイト及び周辺の状況 2‑2‑1 関連インフラの整備状況
ヴィエンチャン特別市中央部のサイトでは電気、水共に概ね整備されている。特別市郊外、ヴィ エンチャン県では未整備のサイトが大半である。特に遠隔地では、村自体に電気もないサイトや、
井戸はあるがそのポンプがなかつたり、ポンプの故障のため使用出来ないサイトもある。また、下 水の整備されているサイトは皆無であり、水の供給不足で便所の浄化槽がうまく機能していないサ イトが多く見られる。アクセス道路の状況はおおむね良好だが、若干のサイトでは川越えのため雨 期の工事車両の進入が困難である。
なお、調査対象校における関連インフラの整備状況をサイト状況調査結果概要として巻末資料に 添付する。
2‑2‑2 自然条件 (1) 自然・地勢
「ラ」国はインドシナ半島に位置する内陸国である。東部のヴェトナムとの国境地帯に位置する アンナン山脈や北部中国国境地帯に連なる森林に覆われた山岳地帯が広がっている。また南西部は メコン川に沿ってタイとの間に国境が形成され、周辺にはカンボジアに至る低地が広がっている。
そして、ほとんどの人々がこのメコン川とその支流の肥沃な低地部に暮らしている。
(2) 気候
気候は典型的なモンスーン気候である。5 月から 9 月にかけて、南西からのモンスーンが国を横 断し多くの場合、夜半から早朝にかけて雨が降り、この時期月平均 250 ㎜以上の降雨がある。また、
乾期は 11 月〜3 月で、雨期に比べ極端に雨が少ない。年間平均降水量は 1800mm 程度であるが、山 岳地帯では 4000 ㎜を超えることもある。また、年間最高平均気温は 30℃をこえる高温で年間を通 じ気温差は少ない。国土の大部分が山岳地帯に覆われている関係上、複雑な地形に起因した特異で 局地的な天候を呈する場合も多く、設計上注意を要する。
「ラ」国農林省気象・水文局に拠る本プロジェクト対象地域であるヴィエンチャン特別市、ヴィ エンチャン県(Phonhoong)の気象データ(気温、降雨、風向、風力)は以下の通りである。
気温(℃):ヴィエンチャン特別市 (2000〜2001 平均) 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 年間平均 最高気温 30.3 30.7 32.3 35.4 31.9 32.0 31.8 31.9 31.6 32.2 29.9 29.5 31.6 最低気温 18.7 19.2 21.9 25.1 24.3 24.3 24.9 24.9 23.9 23.8 19.0 18.6 22.4
気温(℃);ヴィエンチャン県(Phonhoong) (2000〜2001 平均)