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プロジェクトの評価

ドキュメント内 untitled (ページ 185-190)

4−1  事業実施のための前提条件 

本プロジェクトを実施するに当たり、「3−3相手国側分担事業の概要」に記載したニカラグア 側分担事業を本協力対象事業の工事開始前及び工事中の適切な時期に確実に実施されることが、プ ロジェクト全体の工程を円滑に進める上で重要である。 

4−2  プロジェクト全体計画達成のために必要な相手方投入事項 

本協力対象事業の実施によりヌエバギネア市に新たに 2 次機能病院が建設され、診療・診断・治 療に必要となる医療機材が整備される。これらを活用し、SILAIS セラヤセントラルにおける保健医 療サービスの質を改善させるために、ニカラグア側が取り組むべき事項は以下の各点がある。 

(1) プロジェクト運営委員会の設立 

前章「3−2−1  (8)工法/調達方法、工期に係る方針」で述べたとおり、保健省は、本プ ロジェクトにかかわるニカラグア側負担業務を円滑に実施するために、対外協力室が調整役と なり、「プロジェクト運営委員会」を設立することを約束した。保健大臣により委員長が任命 され、保健省の関係部局および SILAIS セラヤセントラルの所長および副所長が委員となる予 定である。病院建設にかかる許認可、免税・通関業務、予算措置、人員の雇用、ニカラグア側 負担工事の実施、および完工後に新病院を迅速に稼働させるためために、プロジェクト運営委 員会が重要な役割を担う。 

(2) 新病院に係る人材及び運営維持予算の確保 

新病院開設後、ハシント・エルナンデス病院および SILAIS 内からの人員異動に加えて、新 規に職員 283 名(内科系医師 17 名、外科系医師 20 名、看護師 84 名、看護助師・手術看護師 66 名、臨床検査室・病理解剖室技師 13 名、管理部門職員 25 名、メンテナンス部門職員 11 名 などを含む)の配置が必要となる。人材の新規雇用と運営維持予算については、保健省が確保 し、SILAIS セラヤセントラルに分配する必要がある。本プロジェクトで整備される施設・機材 を有効に活用するためには、保健省関係部局と SILAIS セラヤセントラルにより設置される「プ ロジェクト運営委員会」にて新規雇用人材と運営維持予算について協議し、新病院の運営に必 要な人材及び予算を開院前までに確保することが重要であり、ニカラグア側が優先的に取り組 む課題である。 

(3) 機材の適切な維持管理の実施 

本計画において調達される機材を良好な状態で継続的に使用できるようにするために、

SILAIS セラヤセントラルは、前述した維持管理部門の設立と技術者の育成を実施スケジュール に則って確実に行う必要がある。また、本計画のソフトコンポーネントによる技術指導におい て習得した日常的・定期的予防保守管理を医療スタッフ及び維持管理技術者が的確に行うこと が求められる。 

(4) JICA 技術協力プロジェクトとの連携 

JICA は、2015 年 7 月から技術協力プロジェクト「SILAIS チョンタレスおよび SILAIS セラヤ セントラルにおける母とこどもの健康プロジェクト」を開始した。同技術協力は、妊産婦と 2 歳未満児が質の高い医療サービスを利用できるようになることを目標として、主にコミュニテ ィ活動や SILAIS 職員の行政能力の強化に取り組むものである。ヌエバギニア市の新病院は、

妊産婦や 2 歳未満児に医療サービスを提供する中核病院であり、重要な位置付けにある。SILAIS セラヤセントラルは、同技術協力により得た行政能力を活かして、新病院の運営を支援する事

 

が望まれる。 

(5) 新しい人員への研修の実施 

新病院では整形外科・外傷科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、口腔顔面外科、眼科が新設される。

SILAIS セラヤセントラルは、新病院の院長、事務長、看護部長などの管理職者と協力し、新任 職員のための技術研修を定期的に行い保健医療サービスの質の向上に努めねばならない。研修 は、病院内部でのトレーニングやカンファレンスに加えて、他の 2 次機能病院での実地訓練を 組み合わせることが望ましい。 

(6) ハシント・エルナンデス病院から新病院への機材・家具等の移設   

本協力対象事業には医療機材および医療家具の調達が含まれるが、継続活用が可能な既存機 材、パソコン類、家具類はニカラグア側が移設・設置する。SILAIS セラヤセントラルは、ハシ ント・エルナンデス病院職員と連携をとり、新病院を迅速に稼働させるために既存機材・家具 類の移設と費用負担を行う。 

4−3  外部条件 

プロジェクトの効果が発現・持続するための外部条件としては、下記が考えられる。 

(1) 保健分野における開発計画を継続する 

2007 年から継続するオルテガ政権は、医療・教育の無料化による貧困対策を重視した政策に 取り組み、一定の成果を得ている。「国家保健政策 2008-2015 年」では、医療の無償提供に加 えて、南大西洋沿岸の自治地域における医療の質の改善、外科手術の質の向上、保健人材の強 化、保健へのアクセスが困難な過疎地への対策などの目標を掲げている。本協力対象事業の協 力内容は、上位計画に沿って組み立てられており、目標を達成するためには、保健分野におけ る開発計画が継続維持される必要がある。 

(2) ニカラグアの政治経済状況が極度に悪化しない。 

ニカラグアは、1990 年以降、幾度か政権交代がなされたものの、政治および経済は安定し、

一定の経済発展を遂げている。また、近隣中米諸国との関係を強化し、貿易や経済連携にも取 り組んでおり、このような安定した状況下において将来の見通しは明るい。しかしながら、依 然としてニカラグアは中米ではハイチに次ぐ貧困国であり、都市部と農村部の貧困格差が著明 である。また、ニカラグアの産業は、農業・牧畜等に依存する一次産品依存型であり、自然災 害や市場価格に脆弱である。従って、今後とも、政治経済状況が極度に悪化しないことが重要 である。 

(3) 大規模な自然災害により社会インフラが壊滅しない 

1972 年、マナグア周辺で大地震があり、首都は壊滅状態となり 1.9 万人が亡くなる大災害と なった。1998 年に上陸したハリケーン・ミッチは甚大な被害をもたらし 2,000 人を超える死者 を記録した。2007 年には北部カリブ海自治地域をハリケーン・フェリックスが襲い、約 3.5 万 人が被災し、空港、港湾、通信などのインフラが大きな被害を受けた。ニカラグアは過去に地 震、火山噴火、大洪水などの大規模な自然災害を経験している。協力対象地域において同様の 自然災害により社会インフラを壊滅させるような被害を受けないことが必要である。 

4−4  プロジェクトの評価  4−4−1  妥当性 

本協力対象業の実施により期待される効果は以下のとおりであり、本プロジェクトを我が国の 無償資金協力によって実施することは妥当であると判断できる。 

 

(1) プロジェクト目標とプロジェクトの裨益対象 

本プロジェクトは、同国の南東部に位置する SILAIS セラヤセントラルにおいて、2 次機能を 有する病院を新たに建設することにより、同保健管区の医療サービスの質の改善を図り、住民 の健康改善に寄与するものである。これまで中核病院を持たない SILAIS セラヤセントラル診 療圏の住民は、遠方の地域病院・2 次機能病院(主にアスンシオン病院)を受診せざるを得な く、患者や家族に過度な負荷がかかり、診断治療の遅れや疾病の重症化につながっていた。圏 内に新病院が開院することで、住民の保健医療サービスへのアクセスと負荷が改善され、アス ンシオン病院の負荷も軽減される。本事業は、セラヤセトラル診療圏の住民のみならず、近隣 圏における保健医療サービスの質向上にも貢献できるものである。裨益人口は、セラヤセント ラル診療圏住民約 16 万 8 千人に加えて、リオサンファン診療圏の約 8 万 4 千人、ブルーフィ ールズ市の約 5 万 6 千人およびビジャサンディノ市の約 1 万 5 千人を含めると約 32 万 3 千人 となる。 

(2) 当該国保健政策との整合性 

保健セクターにおける「国家保健政策 2008-2015 年」、「中期保健計画 2011-2015 年」および

「2014 年 年次実施計画」において南大西洋沿岸地域を含む貧困地域への保健サービス強化、

リファレル体制の構築、地域病院・2 次機能病院の役割の強化が掲げられている。「2014 年 年 次実施計画」においては、ヌエバギネア新病院の建設が明記されており開発計画との整合性は 高い。 

(3) 我が国の援助政策との整合性 

我が国の対ニカラグア国別援助方針において、「貧困層・地域における社会開発」が重点分 野となり、保健医療と衛生改善を協力対象に定めており、本事業はこれら方針に合致する。ま た、新病院は、技術協力プロジェクト(母と子どもの健康プロジェクト)対象地域の中核病院 として重要な役割を担う。技術協力を通じて、住民が適切なタイミングで適する医療レベルに アクセスできるようになり、地域リファレル体制の強化が見込まれる。JICA 技術協力と無償協 力の相乗効果が期待できる。 

(4) 新病院完成後の医療リファレル体制の構築 

新病院完成後、ハシント・エルナンデス病院は 1 次機能施設として地域の基礎保健の機能を 担い、家庭地域保健チーム(ESAFC)の統括拠点となる。ハシント・エルナンデス病院の専門 外来は新病院へ移転し、病床は閉鎖し、総合診療部のみが残り、一般総合外来、妊産婦検診、

家族計画/感染症等のプログラムを担うことになる。新病院は、SILAIS セラヤセントラル診療 圏全体の中核病院としてより高度な診断・外科手術・救急治療などの医療サービスを提供する。

新病院と 1 次医療施設との役割を分担し、保健医療サービスを包括的に提供できる地域リファ レル体制が構築されることになる。 

(5) 保健省・SILAIS セラヤセントラルによる強固な実施体制 

本準備調査は、保健大臣の指揮のもと保健省本省、SILAIS セラヤセントラルおよび市役所の 協力を得て円滑に進めることができた。建設予定地は、既に個人所有者とヌエバギネア市との 間で売買契約が締結され、市議会での決議を了して保健省への委譲手続きが進められており、

先方負担事項に対する対応は迅速に進められている。前述のとおり、詳細設計以降、病院建設 と機材調達を円滑に進めるため、保健省と SILAIS セラヤセントラルにより「プロジェクト運 営委員会」を設立する計画である。以上のとおり、先方の実施体制は確立できており、先方負

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