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ファシリティコスト分析によるCRE評価

VI. CRE戦略と不動産分析

5. ファシリティコスト分析によるCRE評価

(1) 売上に占めるファシリティコスト

成長過程にある企業やM&Aを繰り返す企業の場合、成長に追随した適切なファシリ ティコストの配分に留意する必要がある。

成長の先行指標として売上を採用し、売上に占めるファシリティコストの比率を指標 として設定しコスト適正化を目指すことが考えられる。

※1 ROA=純利益÷総資産(株主資本+負債)

※2 ROIC=NOPLAT÷投下資本

NOPLAT=営業利益×(1-税率) ※税率は 40%前後 投下資本=固定資産+運転資金+現預金

※3 PBR = 株価 ÷ 1株当たり純資産額

(2) 支出に占めるファシリティコスト

①と似たアプローチとして、支出に占める割合からファシリティコストの目標値を設 定することも考えられる。

成長が一段落し成熟期を迎える企業の場合、売上・支出とも安定することから、関係 者の理解のしやすい指標として、支出に占めるファシリティコストの比率を採用し、コ ストの抑制、平準化を目指すことが考えられる。

(3) 利益と資産額

(1)、(2)のようなP/L(フロー)の視点とは異なり、利益と資産額、施設効率等 を指標として評価するケースも考えられる。

(4) 各指標別の評価

ファシリティコストを構成する各項目別に単価を算出し個別に比較することが考え られる。

具体的には、エネルギー費、清掃・衛生費、設備管理費、警備費用など、単価ベース での比較評価指標を設定し、各施設間やベンチマークデータと比較評価することが考え られる。

(5) 空間価値とファシリティコスト

CRE戦略では単なる財務的評価指標だけでなく、満足度や労働生産性など財務的評 価指標のみでは評価が困難な非財務的評価指標も採用し、多面的に評価する必要がある。

例えば、事業所ごとに施設利用者の満足度と面積効率やファシリティコストを全施設 でマッピングし、課題のある施設については移転など抜本的な見直しを検討することが 考えられる。

①:この値の向上がFMの究極目標

②:利益率(部門別or地域別)

③:社員1人あたりの売上

④:逆数 社員1人あたりの支配面積

⑤:逆数 単位面積あたりの資産額  ⑤

資産額  床面積    ④ 床面積  社員数    ③ 社員数  売上  

  売上

=  利益

 ① 資産額 

利益 × × ×

満足度

社員1人あたりの面積(㎡/人)

各オフィスビルの社員1人あたりの執務面積(㎡/人)と満足度の分析イメージ図

出所:株式会社日建設計作成

(6) 企業不動産の配置の分析

顧客との近接性が重視される企業がCRE戦略を検討する場合、所有不動産の配置適 正化を検討する必要がある。

例えば銀行店舗等の場合、エリアマーケティングシステムを活用し商圏分析を行い、

圏域特性と店舗特性、耐震性等の施設課題を整理したうえで、支店類型化(都心型、近 隣型等)や展開方針(拡充・維持・移転廃店)、調達方針(賃借・建替・改修)を検討 することが考えられる。

エリアマーケティングシステムを活用した商圏分析イメージ図

出所:株式会社日建設計作成

例)

商圏内人口vs顧客数 商圏内年齢別人口vs顧客数 商圏内預金額vs支店預金額 商圏内昼間人口vsATM利用者数 商圏内事業所数vs顧客数 など 商圏商圏

(7) 企業不動産の再編の分析

複数事業所を所有する企業がCRE戦略を検討する場合、各施設のコストに加え、顧 客との近接性、自社内での業務リレーションのロスなどを評価し、課題のある事業所を 整理・統合することが考えられる。

企業不動産の再編の分析イメージ図

出所:株式会社日建設計作成