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3.6 ビジネスモデル提案から得られた今後の課題

3.6.1 ビジネス化のシーズに応じたビジネスモデルの構築

2.3~3.5で提案した5つのビジネスモデルの特徴を表3-6-1にまとめた。その結果、多様

なビジネス化のシーズがあり、それぞれのシーズによってビジネス化の視点、抱える課題、

ビジネス化のためのアプローチ方法が異なることが明らかになった。本事業では、ビジネ ス化のシーズを下記の3つに整理した。

① 既存生産国からの供給量が不足していることに起因する新規供給地の開拓の必要性 セネガルの蜜蝋は、アフリカ産蜜蝋に一定の需要がある中で、まだ開拓されていない セネガルの蜜蝋に着目してビジネスモデルを検討した。

② エシカルな需要開拓の必要性

ネパールのヒマラヤイラクサ繊維は、これまで安く販売されていた当該繊維から作ら れる製品にスポットを当て、どうすれば住民の生計向上と森林保全の両立が実現でき るか、考えてビジネスモデルを検討した。また、インドネシアのマングローブエビは、

マングローブ保全を目的とした森林伐採を伴わない養殖エビの安定需要の可能性につ いて検討した。なお、エシカルとは、環境保全や労働問題など社会的課題に配慮する ことを指す。

③ 産品の品質確保の必要性

インドネシア産のサトウヤシ砂糖は、日本輸出に適う品質を確保するため、加工技術 等のキャパシティ向上の可能性について検討した。

それぞれのシーズによって、ビジネススケール(取扱量等)やバリューチェーンの課題 は異なる。例えば、シーズ①・③については、既に一定程度の需要が見込まれていること から、企業間取引を意味し原料や一次加工品等が取り扱われるB to B市場での大・中規模 スケールでの取り扱いが求められる場合が多い。その上で、安定した供給方法や経済的な 流通ルートの検討について検討しなければならない。一方で、シーズ②やシーズ③の一部 については、企業と消費者の取引きが行われるB to C市場やフェアトレード市場など、小 規模なスケールである場合が多く、生産国側への裨益が重視される傾向にあるため、製品 の加工方法や流通ルートの効率化等が課題となる。このようなビジネス化のためのシーズ とそれに伴う課題に留意しつつ、適切なビジネスモデルを提案する必要があると考えられ た。

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表 3.6-6-1. 6つのビジネスモデルの特徴

産品名 ビジネスモデルの視点 資源(原料)状況 課題と解決の方策 ビジネスとしてのメリット 更に検討を要する事項 蜜蝋 ・新規供給地として、潜在的な資

源量が多いと考えられる生産地

(セネガル)の開拓

・現時点では、蜜蝋は廃棄されて いるが潜在的な資源量は多い

・野生蜂蜜採集のための野火に よる森林劣化が懸念される

【課題】養蜂技術が低く生産性低い

【解決策】高い技術を要しない蜂箱 の蜂蜜生産者への支給。

・アフリカ産蜜蝋に対する高い需 要に応じた生産量が見込まれる

・未精製蜜蝋の適正買取り価 格設定のため歩留まり率精査

ヒ マラ ヤ イラ クサ繊維

・地域住民の生計手段の多様化

・各地域の既存技術に応じた製 品の生産

・NGO による生産地と消費地の 架け橋

・一部地域を除いて資源賦存量 は多い

【課題】・商品としての魅力

・紡績プロセス(イラクサの煮沸)で の薪利用による森林劣化

【解決策】・先進国の嗜好に合致す る新商品の考案

・薪利用の軽減のため圧力鍋導入

・高い繊維の品質(ウール調の 風合)がある

・高いストーリー性がある

・デザイン次第では高値で販売 可

・生産地からの輸送に要する時 間とコストの削減

サトウヤシ砂 糖

・白砂糖の代替品かつ自然食品 としての需要増加

・インドネシア全域で自生している

・森林面積の 46%を占める保全 林・保安林で収穫が可能

【課題】・農家による生産過程(花 序液の煮詰プロセス)での灰混入

・他食品(甘味料)との差別化

【解決策】・農家のキャパシティビルデ ィング

・健康有効成分の提示

・健康食品への高いマーケットニ ーズがある

・健康有効成分が検出され付加 価値がつく可能性がある

・安定的供給の実現

・日本市場向けの品質確保

・高い輸入関税(29.8%)

マングローブ エビ

・マングローブ伐採を伴わない養 殖方法によるエビ生産

・エシカル商品

・エビ輸出価格の上昇に伴う国内 生産量の増加

【課題】・輸送方法

・養殖のためのキャパシティビルディング

・生産コスト

【解決策】・キャパビル等の実施

・投資の増加

・高い品質があり商品の差別化 が図られる

・すでにマーケットやサプライチェー ンが整備されており、それらに関す るコストが低い

・ 養 殖 池 ( シ ル ボ フ ィ ッ シ ャ リ ー)の整備にかかるコストの資 金源の確保

クプアス等の シードオイル

・廃棄物(果実の種子)の有効 活用

・アグロフォレストリー促進

・アグロフォレストリー面積は増大 している

【課題】・安定供給が困難で生産量 が少ない

【解決策】・中小企業向けの出荷

・アグロフォレストリーによる「オーガ ニック化粧品」市場での販売が可 能である

・出荷価格の低下

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3.6.2 森林保全とビジネスの両立

ビジネスにおける森林保全の低い重要性

本事業によって、民間事業者が重要視する点は品質確保や安定供給であり、それらの生 産方法が森林保全に寄与する方法であるか否かや地域住民に裨益しているかどうかという ことは、ビジネス化が実現された後に追加的に考慮されるポイントであることが分かった。

また、それらの点は、商品の経済価値とは関連しないCSR/CSV活動の一環として考慮され ることが多い。一方で、ビジネスとして森林保全や地域住民への裨益を重視する場合には、

フェアトレード市場やエシカル市場など比較的小規模なマーケットが対象となり、取扱量 も小さくマーケット全体へのインパクトが小さい。

森林保全とビジネスの両立

森林保全や地域住民への裨益を伴う森林有用資源をビジネスとして広く普及するために は、森林保全や地域住民をCSR/CSV活動などビジネスの追加的なメリットとしてではなく、

安定供給や品質確保などビジネスとしてのメリットを企業にどう理解してもらうかが重要 である。限られた天然資源を、安い値段でいつまでも買い続けることはできない。生産者 からの買取り価格を設定する際は、そこにある資源量といくらであれば生産者のインセン ティブが保持されるかを加味しながら価格を設定する必要があるだろう。例えば、マング ローブエビは、シルボフィッシャリーで生産することによって天然エビに似た味をもつ高 品質な産品を生産することができていた。

アクター横断的な取組の必要性

サプライチェーンには、生産者、原料調達会社、加工会社、メーカー、小売業者、消費 者など多様なアクターがいる。森林ビジネスによる森林保全や地域住民への裨益を実現す るためには、アクター横断的な取組が求められる。

3.6.3 その他のポイント

平成27年度事業に引き続き、下記の点がビジネスモデル構築の際の留意点であることが 明らかになった。

産品発掘の方向性

日本および途上国における企業のビジネスネットワークは、既にかなりの広がりと多様 性を持っている。したがって、全く新規の産品を発掘し流通ルートを開拓することは困 難である。そこで、すでに日本国内で一定程度の需給があり流通ルート・市場が整備さ れている、または、当該途上国で一定のスケールで流通・利用されている産品等を調査 対象とすることが必要である。

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