• 検索結果がありません。

:パネルデータ分析( 3 ) DID 法による政策評価

8: パネルデータ分析 (3)

因果関係の識別

• DID 法による政策評価

 政策評価: さまざまな分析手法

 社会科学において用いられる観察データ

(observational data) は、実験室で観察されたよう な「きれいな」データではない

タイムトレンド

自己選択問題 (self-selection)

因果関係 (internal validity)

知見の一般化 (external validity)

8: パネルデータ分析 (3)

DID 法による政策評価

• 具体例:

 放課後教育プログラムの実施と教育達成度 �

 トリートメント・グループ(処置群):

政策の対象となる集団

 グループの平均的達成度を見る

 興味の中心は、� の大きさの正確な推計

1 = + 1 (プログラム実施前)

(6.1)

2 = + 2 + (プログラム実施後)

8: パネルデータ分析 (3)

DID 法による政策評価

• Before–After Comparison

 グループ特有の効果は除去

平均的な「デキ」の良さ

 時点固有の効果 � と、政策の効果 � を区別 できない

たまたま事後的な教育達成度の測定に使われた試験 が易しかったら

Δ� = 2 − �1 = + 2 − �1 (6.2)

8: パネルデータ分析 (3)

DID 法による政策評価

• どうやって解決するか?

 コントロール・グループ(対照群):

TGの比較対象となる、政策の影響を受けない集団

 (1) � ≠ �, (2) � = 0

 BA comparison

1 = + 1 (プログラム実施前)

(6.3)

2 = + 2 (プログラム実施後)

Δ� = 2 − �1 = 2 − �1 (6.4)

8: パネルデータ分析 (3)

DID 法による政策評価

• Difference-in-Differences ( 差分の差分 )

 (6.2)と(6.4)の差分

 政策の効果

政策実施前 政策実施後

トリートメント 影響なし 影響あり

コントロール 影響なし 影響なし Δ� − Δ� = + 2 − �1

Δ� (TGの差分)

2 − �1

Δ� (CGの差分)

(6.5)

8: パネルデータ分析 (3)

DID 法による政策評価

• 個人レベルの属性を取り入れる

 家庭環境・学級規模・先生や学校の属性etc.

 回帰分析バージョン

 係数 �: トリートメントグループ � = 1 かつ政策 実施後 �2 = 1 にのみ現れる影響

 政策効果

�� = �� + 1 + 22 + �� × 2 + �� (6.6)

8: パネルデータ分析 (3)

配偶者特別控除の効果

• 配偶者特別控除(上乗せ部分)

 2004年の所得税分から廃止

0 10 20 30 40 50 60 70 80

納税者の控除総

(a) 配 偶 者 特別控除(上乗せ分)

(b) 配 偶 者 控除(基礎部分)

(c) 配偶者 特別控除

8: パネルデータ分析 (3)

配偶者特別控除の効果

• 分析の仮説

 配偶者特別控除の存在は、有配偶女性の労働 供給を阻害していたか?

• 分析対象

 週当たり平均労働時間

就業決定(働くか働かないか)への影響については坂 田・McKenzie (2006)参照

• 分析期間

 単純化のために、2004年と2005年の2年間のみ

8: パネルデータ分析 (3)

DID 法の適用

• 有配偶者をトリートメント・グループ

 2004年調査の労働時間

20031年間(廃止前)を回答していると仮定

 無配偶者は控除対象外

制度変更の影響はないはず

2004年 2005年

トリートメント・グループ:

有配偶者

影響あり 影響なし コントロール・グループ:

影響なし 影響なし

8: パネルデータ分析 (3)

DID 法の適用

• 週労働時間

�� = � + �0 + �104 + �2 × �04 + ���� + ���

 興味のある係数は �2

 もし配偶者特別控除が労働供給を阻害していたな ら �2 < 0

P.69

04 2004

その他の説明変数 年ダミー

トリートメント・ダミ

(時間)

週当たり平均労働時間

it t

T i

it

x d d H

8: パネルデータ分析 (3)

DID 法の適用

• 演習 8.6: 説明変数を考慮しない分析

 tab treat1 year if female==1&work04==1, sum(wkhr)

無配偶者の差分(2004 – 2005年)

–2.14時間(= 37.00 – 39.14 有配偶者の差分:

–1.35時間(= 29.69 – 31.04 差分の差分:

0.79時間(= –1.35 – (–2.14))

8: パネルデータ分析 (3)

DID 法の適用

• 演習 8.7: treat1 を使った分析

 reg wkhr treat1 treat1_04 year2004 age marr high-other emp nonreg hhnum sincome noku3 noku6 bigcity city if female==1&work04==1, robust

 分析結果は次ページ

トリートメント・ダミー×2004年ダミーの係数は有意

8: パネルデータ分析 (3)

代替的なトリートメントの定義

• 問題点

 有配偶者と無配偶者の本質的な違い

制度の影響以外の要因については、すべての点で比較 が可能であると想定

実際には、労働時間の決定要因は異なる?

 データ上の問題

2004年調査の労働時間 回答が1月中のものだと×

8: パネルデータ分析 (3)

代替的なトリートメントの定義

• 税制変更の認知

 2004年調査の項目

 「知らなかった」場合、仮に2004年の労働時間を 回答していたとしても配偶者特別控除の影響あり

2004年 2005年

トリートメント・グループ:

有配偶者(税制変更知らなかった)

影響あり 影響なし コントロール・グループ:

有配偶者(知っていた)+無配偶者

影響なし 影響なし

関連したドキュメント