1. Pre Training (No training)
28 Figure 3-5 Digitizing points of the body.
1.Right hand 2.Right wrist 3.Right elbow 4.Right shoulder 5.Left hand 6.Left wrist 7.Left elbow 8.Left shoulder 9.Right toe
10.Right ball of foot 11.Right heel 12.Right ankle 13.Right knee
14.Right hip 15.Left toe 16.Left ball of foot 17.Left heel 18.Left ankle 19.Left knee 20.Left hip 21.Top of head
22.Midpoint of both tragia 23.Top of sternum
24.Lower end of the right costa 25.Lower end of the left costa 1
2 3
4
5 6 7 8
9 10 11 15 12
13 14
16 17 18 19 20 21
22 23
24 25
29
(1)インターバル区間
インターバル区間を対象に,撮影した VTR画像から選手の身体計測点 25点と,較正マ ークまたはコントロールポイントを動作分析装置(Frame-DIASⅡ,DKH社製)を用いてデ ジタイズした.デジタイズによって得られた身体の 2 次元座標を較正マークまたはコント ロールポイントをもとに実座標に換算した.
(2)ハードリング区間
ハードリング区間を対象に,撮影した VTR画像から選手の身体計測点 25点を動作分析 装置(Frame-DIASⅡ,DKH社製)を用い2コマごとにデジタイズした.2つのVTR画像の 身体計測点とコントロールポイントの2次元座標から,DLT法(Abdel-Aziz and Karara,1971)
により 3次元実座標を算出した.身体計測点の 3 次元座標値算出における標準誤差の最小 値と最大値は,X方向:0.006-0.014m,Y方向:0.005-0.016m,Z方向:0.005-0.014mであっ た.
(3)平滑化
得られた座標値は,バタワース型デジタルフィルタを用いて平滑化した.このときの遮 断周波数は,Wells and Winter(1980)の方法により分析点の座標成分ごとに決定した.実際 に用いた遮断周波数は,インターバル区間ではX座標,Y座標ともに3.6~12.6Hzの範囲で あった.ハードリング区間ではX座標4~13.75Hz,Y座標5~13.75Hz,Z座標6~15Hzの 範囲であった.
(4)重心変位および速度
平滑化した身体分析点の座標データから,阿江(1996)の身体部分慣性係数を用いて身 体部分および全身の重心座標を算出した.また,身体重心座標を時間微分することにより 身体重心速度を算出した.
30 3.2.1.2 レース分析
1) レース中における各区間の平均速度
追従撮影によって得られた映像に VTR タイマーを映し込み,スタートピストルの閃光,
10 回のハードリング後のリード脚接地時の時刻を読み取り,各区間タイムを算出した.そ して,ハードル間の距離(9.14m)を各区間タイムで除することによって,各区間の平均速 度を算出した.また,尾縣(1999)にならい,スタートから 1 台目ハードルまでのアプロ ーチ区間は,着地側の距離を考慮し1.6mを加えた15.32mとし,10台目ハードルからゴー ルまでのランイン区間は,1.6mを減じた12.42mとして平均速度を算出した.
2) レース中における各区間の平均速度比
各分析対象者の最大速度出現区間における平均速度に対する各区間の平均速度比を算出 した.
3.2.2 トレーニング実験におけるデータ処理 3.2.2.1 実座標の算出
撮影したVTR画像から,選手の身体計測点25点(図3-5)と2m毎に地面に設置した較 正マークを,動作分析装置(Frame-DIASⅡver.3,DKH社製)を用いてデジタイズした.デ ジタイズによって得られた身体の2次元座標を較正マークをもとに実座標に換算した.
得られた座標値は,バタワース型デジタルフィルタを用いて平滑化した.このときの遮 断周波数は,Wells and Winter(1980)の方法により分析点の座標成分ごとに決定した.実際 に用いた遮断周波数は,X座標,Y座標ともに6~9 Hzの範囲であった.
平滑化した身体分析点の座標データから,阿江(1996)の身体部分慣性係数を用いて身 体部分および全身の重心座標を算出した.また,身体重心座標を時間微分することにより 身体重心速度を算出した.
31 3.3 局面分け
本研究では,撮影した区間におけるハードリング後のリード脚の離地(1-off)から次のハ ードリング後のリード脚の離地までを1サイクルとして,4歩それぞれに関して次のような 動作時点と局面を定義した(図3-6).
(1)動作時点
① 接地時(on):足の一部が地面に接した時点
② 離地時(off):足全体が地面から離れた時点
③ LLN:リード脚の左右軸まわりの角運動量(後述するtransfer termとlocal termの和)
が負に切り替わった時点
(2)局面分け
① 支持期(Support phase):接地時から離地時までの期間
② 滞空期(Airborne phase):離地時から次の歩の接地時までの期間
③ ハードリング前半(1st half of airborne phase during the 4th step):4歩目離地時からLLN までの期間
④ ハードリング後半(2nd half of airborne phase during the 4th step):LLNから1歩目接地時 までの期間
3.4 算出項目
3.4.1 キネマティクス的項目
(1)疾走速度
1インターバルの距離(9.14m)を,動作分析の対象とした区間における1サイクルに要 した時間で除したものとした.
32 Figure 3-6 Motion phases during four-step hurdle cycle.
1-off
1-off 2-on 2-off 3-on 3-off 4-on 4-off 1-on
Airborne phase
Four-step hurdle cycle
Support phase Support
phase
Support phase
Support phase Airborne
phase Airborne
phase Airborne
phase 1st step
2nd step
3rd step
4th step
1st step LLN
1st half 2nd half
33
(2)脚長
競技会におけるハードリング区間のVTR画像から得られた各身体計測点の3次元座標か ら,股関節中心点から膝関節中心点までの距離を大腿長,膝関節中心点から足関節中心点 までの距離を下腿長として算出し,大腿長と下腿長の和を脚長とした.
(3)各歩の速度変化量
各歩の接地時における身体重心速度と,離地時における身体重心速度の差を,各歩の速 度変化量とした.
(4)ストライド
接地した足のつま先と次の歩のつま先の水平座標値の差をストライドとした.
(5)踏切距離と着地距離
4-offのつま先とハードルの水平座標値の差を踏切距離,ハードルと1-onのつま先の水平
座標値の差を着地距離とした.
(6)支持時間と滞空時間
高速度カメラで撮影したVTR画像から,各歩の接地と離地のコマを読み取ることによっ て,支持時間と滞空時間を算出した.4歩目の滞空期では,4歩目の離地からLLNまでに要 した時間を滞空期前半時間,LLNから1歩目の接地までに要した時間を滞空期後半時間と して算出した.
(7)ピッチ
接地から次の接地までに要した時間の逆数をピッチとした.
(8)下肢の部分および関節角度と角速度
① 競技会におけるインターバル区間とトレーニング実験における1サイクル区間
図3-7に示すように,反時計回りを正として大腿,下腿および体幹の部分角度を算出し,さ らに時間微分することで角速度を算出した.なお大腿の角速度は,正の値を前方スイング,
負の値を後方スイング,下腿の角速度は正の値を後方回転,負の値を前方回転と定義した.
34
Figure 3-7 Definitions of the segment angles during interval running.
Shank angle
- + Thigh angle
Trunk angle
35
体幹の角速度は,正の値を後傾,負の値を前傾と定義した.また,同様に股関節中心と外 踝を結んだ線分の部分角度を脚全体の角度として算出し,時間微分することで脚全体の角 速度を算出した.
② 競技会におけるハードリング区間
図3-8に示すように,下胴および股関節に移動座標系を設定し,股関節屈曲伸展および内 外転角度を算出した.まず,両股関節の中点から両肋骨下端の中点に向かうベクトル STR
と,左股関節中心から右股関節中心に向かうベクトルXTRの外積によりYTRを算出後,XTR とYTRの外積からZTRを算出し,XTR,YTR,ZTRを下胴座標系と定義した.左右の膝関節中 心からそれぞれ左右の股関節中心に向かうベクトルSHfeとXTRの外積によりYHfeを算出後,
XTRとYHfeの外積からZHfeを算出し,XTR,YHfe,ZHfeを左右の股関節屈曲伸展座標系とした.
このとき,YTR(ZTR)と YHfe(ZHfe)とのなす角を股関節屈曲伸展角度θHfeとし,直立位
を0°として屈曲を正,伸展を負と定義した.また,左右の膝関節中心からそれぞれ左右の
股関節中心に向かうベクトルZHaaとYHfeの外積によりXHaaを算出し,XHaa,YHfe,ZHaaを左 右の股関節内外転座標系とした.このとき,XTR(ZHfe)とXHaa(ZHaa)とのなす角を股関節 内外転角度と定義し,直立位を0°として内転を正,外転を負と定義した.なお,股関節内 外旋角度については,本研究の分析手法の都合上,値を正確に算出できないと考えられる ため,角度定義を行っていない.
膝関節角度は,膝関節中心から股関節中心に向かうベクトル(TH)と膝関節中心から足 関節中心に向かうベクトル(SH)のなす角度とし,足関節角度は,足関節中心から膝関節 中心に向かうベクトル(SH’)と足関節中心から拇指球に向かうベクトル(FO)のなす角 度とした.本研究では,公認競技会における選手の動作を分析対象としており,選手にマ ーカーを貼付していないため,膝関節および足関節については,内外反,内外旋に相当す る角度の正確な算出が困難であると考えられる.したがって,本研究で算出する膝関節お
36
1 3 2
5
4 6
(a) Lower trunk Coordinate System
(b) Hip flexion / extension Coordinate System
7 4
(c) Hip adduction/ abduction Coordinate System
7 4
XTR ZTR
ZHfe
YTR
YHfe Hip Flexion / Extension angle
θHfe
θHfe
YHfe XTR
XHaa
ZHfe
ZHaa
Hip Adduction / Abduction angle
θHaa
θHaa
(d) Angles of knee and ankle
7 4
8
Knee angle
Ankle angle
9
Figure 3-8 Definitions of coordinate system fixed at the lower trunk (a) and hip joint (b,c) to calculate the joint angle of hip. And definitions of joint angles of knee and ankle (d).
1: lower end of the right costa (2: left, 3: center), 4: right hip (5:left, 6:center), 7: right knee, 8: right ankle, 9: right ball of foot.
37
よび足関節角度はこれらの動作を統合したものを表し,膝関節は屈曲伸展角度,足関節は 底背屈角度と定義する.
以上の方法を用いて算出した各関節角度を時間微分することによって,関節角速度を算 出した.
3.4.2 キネティクス的項目
Dapena(1978)の方法に基づき,静止座標系における身体部分の角運動量 Hiを以下の式
により算出した.
Hi = ri/G × miVi/G + Iiωi ・・・(1) ここで,ri/Gは身体重心に対する身体部分 iの重心の相対位置ベクトル,miは身体部分 i の 質量,Vi/Gは身体重心に対する身体部分iの重心の相対速度ベクトル,Iiは身体部分iの慣性 テンソル,ωiは身体部分 i の角速度ベクトルである.身体部分の慣性テンソルの導出は湯
(1995)の方法に基づいて算出した.分析対象者の身体部分の慣性特性は,阿江(1996)
による慣性特性係数を用いて推定した.なお,式(1)の右辺第1項は身体重心まわりに身 体部分iの重心がもつ角運動量(transfer term)であり,第2項は身体部分iの部分重心まわ りの角運動量(local term)である.
全身の角運動量は,全ての身体部分のもつ角運動量の総和とし,以下の式により算出し た.
HCG=∑Hi
15
i=1
・・・(2)
さらに,全身の角運動量における身体部分の役割を検討するために,図3-9に示すように身 体を 5 つの身体グループに分け,それぞれの身体グループに属する身体部分の角運動量の 和を求めることにより,各身体グループの角運動量を算出した.なお,踏切脚が左脚の選 手の値は反転し,踏切脚を右脚に統一して分析を行った.