• 検索結果がありません。

ハブベアリングの技術動向

ドキュメント内 NTN Technical Review No.70 (ページ 56-60)

History of Hub Bearings and Recent Technology

3.   ハブベアリングの技術動向

3. 1  揺動加締め加工の適用

GEN3ハブベアリングの内輪を締結する方法とし て,従来はナットを用いていたが,最近では軽量化と 低コスト化を目的に,軸(ハブ輪)の端部を冷間塑性 加工(揺動加締め,Orbital  Forming)で成形し内輪 を締結する方式が採用されている.ナット締結方式の 場合,ねじ面とナット座面の摩擦抵抗の変動により締 結力の誤差が大きくなるが,揺動加締め締結では,こ の締結力誤差を抑制できるため,信頼性が向上する.

加締時の加圧力が過大であると,内輪に大きな円周 方向引張応力が発生し,転がり疲労寿命の低下を招く.

また,加圧力が過小であると内輪クランプ力(軸力)

が不足し,使用中の予圧抜けによる剛性低下が発生す る.

NTN

では,加工試験により最適な加工条件を見 出し,

NTN

独自の方法で,これら諸特性の品質を確 認し出荷している.

図2に揺動加締め方法,図3に従動輪,駆動輪の加 締め締結構造例を示す.

図1 GEN4ハブジョイント構造例 Example of GEN 4 Hub Joint

図2 揺動加締め方法 Orbital forming process

図3 加締め締結構造例

Examples of self-retaining orbital forming technique 信頼性向上

軽量化 コンパクト化 低コスト化 予圧バラツキの低減

予圧管理の簡略化 NVHの改善

従 動 輪 用 駆 動 輪 用

ハブベアリングの変遷と最近の技術

3. 2  アクティブABSセンサ化への対応

従来,ABSにおける車輪速度の検出には,電磁セ ンサと磁性体のトーンホイールが使用されていた(パ ッシブタイプ).近年,量産効果により,半導体の低 コスト化が進み,欧州自動車メーカを皮切りに,半導 体素子を利用した極低速域まで検出可能なセンサの採 用が拡大している(アクティブタイプ).アクティブ タイプの半導体センサには,バイアス磁石が内蔵され ているもの(バックバイアス)と,内蔵されていない もの(フロントバイアス)があるが,前者の場合は,

従来型のトーンホイールを用い,後者の場合には多極 に着磁されたエンコーダが必要となる.

ま た , こ の A B S セ ン サ 及 び 磁 気 エ ン コ ー ダ を GEN3ハブベアリングに内蔵することにより,コンパ クト化が可能になるのと小石等の飛来による損傷や塩 害による発錆が防止でき,信頼性が向上する.

図4に磁気エンコーダのタイプを示し,図5に磁気 エンコーダとABSセンサをGEN3ハブベアリングに 内蔵した構造例を示す.

ラジアルタイプ アキシアルタイプ

磁気エンコーダ 磁気エンコーダ

図4 磁気エンコーダのタイプ Types of magnetized encoder

3. 3  ハブベアリングの高精度化

ハブベアリングのフランジには,ブレーキロータと ホイールが装着され,制動時には,ブレーキロータが キャリパーにより挟まれることでホイールの減速,停 止が行われる.

ブレーキロータの回転振れが大きいと,制動時にブ レーキジャダーと呼ばれる振動現象が発生することが 知られている。ブレーキロータの振れの要因として,

ハブベアリングのフランジ振れ(図6)があり,これ を極力低減することで,ブレーキジャダーの抑制が可 能となる.

NTN

では,ハブベアリングのフランジ振れ低減に 継続的に取り組んできた結果,高精度品(振れ10μm 以下)の量産化技術を確立している.

表2に,GEN3ハブベアリングのフランジ振れ要因 と対策を示す.

ABSセンサ 磁気エンコーダ

ABSセンサ 磁気エンコーダ 駆動輪用

従動輪用

図5 構造例

Examples of ABS sensor integration

図6 GEN3ハブベアリングのフランジ振れ Urtra low flange run-out of GEN3 Hub bearings

表2 GEN3ハブベアリングのフランジ振れ要因と対策 Contributing factors of flange run-out and countermeasures

0.010 A

A

B B

対  策 フランジ振れ要因

ハブフランジの剛性不足 軸受部剛性不足 ハブ輪熱処理による変形 ハブフランジの倒れ

(軸芯に対するハブフランジの直角度)

ハブボルト圧入による ハブフランジの変形

¡フランジ形状の最適化

¡フランジ厚さの最適化

¡負すきまの適用

¡軸受予圧の最適化

¡ボルトの精度向上

¡ボルト圧入しめしろの最適化

¡軌道面と内輪圧入面の同時  研削加工

¡熱処理後の2次旋削加工

3. 4  ABS用ワイヤレスセンサ付きハブベアリング ABSセンサをハブベアリングに内蔵し,かつセン サケーブルの配線を不要とした,ワイヤレスセンサ付 きハブベアリングについて紹介する.本ハブベアリン グにはクローポール型の小型の多極発電機が内蔵さ れ,その発電周波数を回転信号として利用することか ら,回転センサの機能も併せ持つことになる.この発 電機の電力を用いて車輪回転数信号を車体側に取り付 けた受信機に無線送信する.内蔵化による信頼性向上 とともに,ライン組立時にセンサやセンサケーブルの 取付け工数が不要となり,配線に起因する使用中の断 線などの故障をなくすことができる.

図7にクローポール型発電機の構造を示す.(詳細 は本誌「ABSワイヤレスセンサ付ハブベアリング」

参照)

ハブベアリングの変遷と最近の技術

図7 クローポール型発電機の構造 Claw-pole type generator

リング磁石

磁気ヨーク コイル クローポール磁極部

船橋 英治 自動車商品本部 自動車技術部 執筆者近影

4.  おわりに

環境改善や安全性向上に貢献する一方で,ハブベア リングは,車軸を支えつつ円滑な回転を行うという強 度部材としての基本的機能と高い信頼性を確保しなけ ればならない.

NTN

では,ハブベアリングの設計仕様を決定する 際には,種々の解析ツールを駆使し,FMEAに基づく 機能確認,設計品質確認を実施しているが,信頼性の 高いロバスト設計を確保し,安全性の向上を追求する 市場要求は将来にわたり増大していくと予想される.

今後とも新しい技術を先取りした技術開発を行ってい きたい.

[ 製品紹介 ]

ABS用ワイヤレスセンサ付ハブベアリング

ドキュメント内 NTN Technical Review No.70 (ページ 56-60)