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1. リニアプローブから周期的に映像超音波が照射される
2. 映像超音波の照射タイミングに合わせて研究用超音波測定装置から同期トリガが出力 されるので、これを発振器のトリガ入力に入れる。
3. 寒天上の導入孔に 100 倍に希釈したソナゾイド用液を導入する
4. 同期トリガに遅延をかけた上で発振器出力を ON 状態にして周波数 2.5MHz、音圧 1.0MPa、強力超音波を照射時間 30µsec 照射する
5. 気泡から放射された二次超音波をリニアプローブで受信する 6. リニアプローブの各素子の AD 変換器出力を PC 上で取得
7. 取得 RF データを用いてプログラム上で書くドプラ法を用いた解析を行う。なお、
BIAS 信号の付与はプログラム上で行う。
6.2 その場可視化法による観測
実験によって得られたTimage、Simage、Tfimage、Sfimageをそれぞれフレーム方向に 2 枚 おきに抜き出した典型的な結果を Fig6.2-1 に示す。なお、Simageは下方向、左方向がそれ ぞれ Depth、Lateral 方向の正側になる。
Fig6.2-1 各手法での取得情報例
6.2-1 パワードプラ法による解析
実験により得られたTimage、Simageの振幅値の平均をそれぞれ 13 データまとめたものを
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Fig6.2-2、Fig6.2-3 に示す。それぞれ横がフレーム数、縦軸が振幅値となっている。
Fig6.2-2 Timageの振幅平均
Fig6.2-3 Simageの振幅平均
また、Timageの振幅値を縦軸、Simageの振幅値を横軸にしたものを Fig6.2-4 に示す。
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Fig6.2-4 Simageの振幅平均 VS Timageの振幅値平均
Fig6.2-4 から照射回数によって大きく 3 段階に分けることが出来る。
以下に傾向と原因を考察する。
・1F~9F…Simageの振幅値平均に対するTimageの振幅値平均の変化量が大きいため、二次 超音波と気泡の散乱信号の振幅値が大きく減少していることが観測できた。すなわち、気泡 破壊による大幅な気泡量の減少が考えられる。
・10F~14F…1~9F に対し変化量は小さいがSimageの変化量は大きく変わっていないこと が観測できた。一般的に気泡破壊による信号振幅>非線形振動による信号振幅であることと、
クラウド化によって大きくなった気泡は共振周波数を外れ振動しにくくなることから、気 泡破壊は少なくなっているが気泡のクラウド化が活発に起きていることが考察できる。
・15F~…Timage,Simage共に変化も振幅値の減少も小さいことが観測できた。10F~14F の 時と同様の理由から、非線形振動による信号が支配的なこととクラウド化などの現象も起 きにくくなっていることが考えられる。
49 6.2-2 カラードプラ法による解析
実験により得られたTfimageの時間方向の瞬時周波数の分散値の平均とSfimageの空間分 散の平均をそれぞれ 13 データまとめたものを Fig6.2-5、Fig6.2-6 に示す。それぞれ横がフ レーム数、縦軸が分散値となっている。
Fig6.2-5 Tfimageの瞬時周波数の分散
Fig6.2-6 Sfimageの流速の分散
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また、Tfimageの分散値を縦軸、Sfimageの分散値を横軸にしたものを Fig6.2-7 に示す。
Fig6.2-7 Sfimageの流速の分散
Fig6.2-7 から照射回数によって大きく 3 パターンに分けることが出来る。
以下に傾向と原因を考察する。
・1F~11F…Tfimage、Sfimage共に分散値が共に高い様子が観測できた。ここから、気泡破壊 が支配的であることと気泡の動きが激しいことが考えられる。
・13F~18F…分散値が他の 2 パターンの中間に位置していることから、気泡破壊と非線形 振動がどちらも起こっていることや気泡の移動が減少していることが考えられる。減少の 理由として、気泡のクラウド化が挙げられる。
・19F~…Tfimage、Sfimage共に分散値が低く、変化もあまりない。
また、Fig6.2-6 の赤丸の範囲においてSfimageの分散値が徐々に増加する現象が観測できた。
これに関しては 6.4 で考察する。
51 6.3 微小移動距離測定法による観測
ここで、これまでと同条件の実験で得られたTfimageをフレーム方向に並べたものを 2 例 Fig6.3-1 に示す。この結果から、強力超音波照射後半の非線形振動が支配的なフレームで
はTfimageの縞模様が右下がりになっている様子が観測できた。これは第 5 章の結果より
Depth、Lateral の正の方向への移動を表している。また、①は②と比較して傾きが大きい ことがわかる。これは流速差が大きいことを表しているので、気泡が②より大きく移動して いることがわかる。
Fig6.3-1 Tfimageのフレーム方向の変化
また、Fig6.3-2 にSimageの振幅値の等高線図を示した。この結果から強力超音波の照射 が進むにつれて、気泡の分布が Lateral、Depth 方向共に正方向へ移動している様子が観測 できる。また、①は②と比較して①のほうが分布の移動が激しいことから、本手法とSimage の対応が見られた。
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Fig6.3-2 Simageのフレーム方向の振幅変化
6.3-1 クラウド化による影響
次に、強力な超音波を照射する前に、あらかじめクラウド化をさせるための超音波を照射 した際の、強力超音波照射後半の気泡の影響について微小移動距離測定法を用いて確かめ る。なお、希釈率は 100 倍,1000 倍の二種類を用意し、強力超音波は 2.5MHz、1.0MPa を 30µsec 照射し、それぞれ全て 13 回行った。また、気泡の移動距離を測定するために高調波成分(照 射超音波の周波数である 2.5MHz の 3 次高調波の 7.5MHz)を通すフィルタを使用した。
クラウド化用の超音波は 2 パターン用意し、それぞれ以下のような条件とした。
クラウド化用超音波 1:音圧 100kPa×照射時間 1S×照射回数 3 回 クラウド化用超音波 2:音圧 100kPa×照射時間 5S×照射回数 2 回
Fig6.3-3 に 1000 倍希釈の実験におけるクラウド化あり、なしの代表例を示した。
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Fig6.3-3 クラウド用超音波の有無による影響
Tfimageのフレーム方向の流速変化から、クラウド化していないものは強力超音波照射後
半でも気泡が移動している様子が、しているものは 20F 以降付近から気泡の動きが見られ ない様子が観測できた。クラウド化の有無による流速変化の平均をそれぞれ Fig6.3-4 に示 し、その結果を Fig6.3-5 にまとめた。流速差の平均導出には全て非線形振動が支配的とな ると考えられる 12F 以降のデータのみを使用した。
Fig6.3-4 クラウド用超音波の有無による影響(フレーム方向の変化)
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Fig6.3-5 クラウド用超音波の有無と希釈率による流速差の違い
クラウド化の有無によって流速差に明確な違いが見られた。更に、1000 倍希釈の際には クラウド化用超音波 1 を照射した際にしていない場合と明確な差が見られるが、100 倍希釈 の際には差があまり見られないため、希釈率によって照射後半の移動距離にどの程度クラ ウド化用の超音波の影響が出るかが違うことが観測された。また、移動距離のから Depth、
Lateral の正方向に移動していることが観測できた。
参考資料として、高音圧の超音波照射時における光学観測の結果としてクラウド化用の 超音波ありのデータを Fig.6.3-6、クラウド化用超音波なしのデータを Fig.6.3-7 に示し た。
Fig.6.3-6 クラウド化ありの高速度カメラの結果
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Fig.6.3-7 クラウド化なしの高速度カメラの結果
こちらは1回のフレーム間で 1 回、クラウド化用の超音波として音圧 50kPa、周波数 2.5MHz、30µsec×20 回を照射した後 1.0MPa、2.5MHz の強力超音波 30µsec だけ 100 倍希釈 のソナゾイドに照射した様子をフレームレート 5000fps で撮影した実験の結果である。今 回の実験と条件は異なるが、気泡はクラウド化用の超音波を照射したものは、していないも のに対して照射後半でも動きや気泡数が多いことが観測できた。この原因として気泡クラ ウド用の超音波をあらかじめ照射しておくことで、トラッピング現象によって壁面に押さ えつけられること(希釈率が高いほどトラッピングされやすい)やさらに大きなクラウドに なることが考えられる。なお、あらかじめクラウド化用の超音波を照射した場合、30F 以内 でクラウド化が完了している様子が観測できているので、気泡数が少ない 1000 倍希釈でも 同様の現象が観測できることが推察される。
6.4 気泡ダイナミクス考察
これまでの結果から考察される 100 倍に希釈した際の気泡ダイナミクスを Fig6.4-1 にまと めた。また、𝑆𝑓𝑖𝑚𝑎𝑔𝑒の分散値が 1~7F で増加することに関して、Fig6.3-7 より超音波が逆 の壁面に到達しておらず、振動子側に近い気泡が超音波の到達を妨げていることが原因だ と考えられる。なお、希釈率が 1000 倍の場合、過去の研究より[10]非線形振動が支配的にな るフレームが 12F から 4F 程度になるので希釈率によって強力超音波の照射回数が変化する ことが考えられる。
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Fig6.4-1 平均的な気泡ダイナミクス
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第 7 章 まとめ
7.1 結論
微小移動距離測定法の結果は以下のようになった。
① 原理確認実験の結果、今回使用した製超音波映像装置「Prosoundα7」を Table.7.1-1 の数値に設定し、中心周波数 7.5MHz の超音波映像プローブを使用し、バイアス信号の 周波数及び音圧は 7.4MHz、3kP とした際の、移動距離 25~150µm 位相差検出誤差平均が 23.1%となった。
Table.7.1-1 使用した映像装置の設定
流速最大値 ±6.0cm/s
Color Gain 30
中心周波数 7.5MHz
depth 50mm
② 気泡への応用実験の結果、気泡の移動とSimageの分布の変化との対応から本手法は正 確に気泡の移動を観測できていることが確認できた。また、クラウド化用の超音波をあ らかじめ照射することで強力超音波照射後半のクラウド気泡の動きに影響を与えるこ とが確認できた。
以上の結果より、汎用超音波映像装置に本手法を適用した際に、従来のその場可視化法で は観測できなかった気泡クラウドの特性を評価することができた。すなわち、これまで難し いとされてきた、気泡クラウドを用いた DDS 治療が可能になることが期待される。
7.2 今後の課題
微小移動距離測定法の精度を向上させ、より細かい視点で気泡の動きを観測可能にさせ る。クラウド化用の超音波の条件によって、強力超音波照射後半の気泡クラウドに与える影 響を観測することで、更なる気泡ダイナミクスの解明を目指す。