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トラヒック適応 BE 制御

ドキュメント内 修士論文 (ページ 31-34)

提案法で実施する優先度制御とトラヒック推定について,以下で実施内容の詳細を記 述する.

4.2.1 優先度制御

優先度制御の従来例であるIEEE802.11eでは,送信待機時間を決定するCWを用い て優先度制御を行っている.IEEE802.15.4においては,CWに相当する制御パラメー タとしてバックオフウィンドウが存在する.そのためバックオフウィンドウを定義する 制御パラメータであるバックオフ指数(BE)を変更することで優先度制御が可能であ ると考えられる.このBE値を下位CH毎で異なる値に設定することで,バックオフウ ィンドウの長さを変化させ,そこから選択されるランダムな待機時間が変化することで,

優先度制御の実現が可能となる.

優先度制御時の情報送信は,図4.2のように高負荷CHにおいてBEを小さい値に設 定することにより,バックオフウィンドウを小さくし,送信待機時間を短くすることで,

送信機会を獲得しやすい高優先度状態にする.逆に低負荷CHではBEを大きい値に設 定することにより,バックオフウィンドウを大きくし,送信待機時間を長くすることで,

送信機会を獲得しづらい低優先度状態にする.これにより,情報送信機会を十分に獲得 できていなかった高負荷CHが素早く情報の送信を行うことで,他CHによる伝送を抑 制することができる.そのため他CHと比較して多くの情報送信機会を獲得でき,バッ ファオーバーフローによる廃棄が減少する.逆に低負荷CHでは,送信機会の獲得をト ラヒックに見合った頻度に減少させることができる.結果として,各下位CHがそれぞ れのトラヒックに応じた頻度で情報伝送を行うことが可能となり,トラヒック量の異な る下位CH間で伝送特性差異の緩和を期待できる.

ところで第2章で記述したように IEEE802.15.4MACにおいて,バックオフウィン ドウを決定する制御パラメータ BE は,BEminと BEmaxの 2 種類で定義されている.

BEmin はある情報送信に対して最初のバックオフで使用される初期値のパラメータで あり,BEmaxは数回のバックオフの後使用される最大値のパラメータである.したがっ てBEmin値を調節する場合は,バックオフ制御の初期段階から各下位CHのバックオフ ウィンドウの長さに差を設けることができ,優先度制御に高い効果をもたらすことが可 能となる.しかし,BEmax値を調節する場合,初期段階ではBE値に同一のBEmin値が 使用されるため,優先度制御の効果をもたらすことができない.数回のバックオフの後,

図4.2 BEminによる優先度制御

4.2.2 トラヒック推定

トラヒックに適応した優先度制御を実施するためには,各下位CHで自身の絶対的な トラヒック量を監視するだけでは不十分であるため,自身のトラヒックが他CHと比較 してどのような状態にあるのかを推定する必要がある.そのためには,伝送路における 他CHとの競合状況を反映したトラヒック推定を行う必要がある.そこで相対的トラヒ ック状態を推定するための指標としてCAP終了時のバッファ内の送信待ち行列長に着 目した.

各下位CHが待ち行列長監視で得られる情報は,その時点において自身の持つトラヒ ック量である.しかしCAP終了時においてこの量は,直前のCAPで送信が未完了とな った情報量とみなすことができ,送信未完了情報量の大小によって,他 CH とのチャネル 競合状況を反映した送信機会の獲得度合を判断できる.これにより他 CH と比較したトラ ヒック状態を推定できる.例えば図5.3では,CAP開始時に両下位CHがクラスタ内通 信でSNから受信した情報を保持しているが,他CHと比較した自身のトラヒック状態 は推定できない.ところがCAP終了時では,CAPで送信した情報を差し引いた状態と なっており,待ち行列長が小さければトラヒック量に見合った送信機会を獲得できた低 負荷状態であると推定でき,待ち行列長が大きければトラヒック量に見合った送信機会 を獲得できなかった高負荷状態であると推定できる.

以上の考察より,各CHにおけるCAP終了時送信バッファ内の待ち行列長を使用す ることで,相対的なトラヒック状態を推定する.

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