1.保護対象
デザイン保護法上の保護の対象は、「物品(物品の部分及び書体を含む)の形状、模様、色 彩又はこれらを結合したもので、視覚を通じて美感を引き起こさせるもの」と定義される デザインである(デザイン保護法第 2 条第 1 号)。デザインは必ず物品を前提とするので、
物品に具体的に化体されなければならない。デザインの形態としては、①無模様一色の形 状のみのデザイン、②形状と模様の結合デザイン、③形状と色彩の結合デザイン、④形状、
模様、色彩の結合デザインの4種類である。
なお、物品の一部分、記録や標識等に使用されるための一組の書体(フォント)、「物品の 液晶画面等の表示部に表示される図形等」と定義される画像デザイン(GUI、アイコン、グ ラフィックイメージ等)も保護対象になる。
2.登録要件
2-1 工業上利用可能性
工業上利用可能性がないものはデザイン登録を受けることができない。工業上利用可能 性とは、工業的生産方法によって同一物品が量産可能なものであることをいう。
2-2 新規性
新規性とは、デザインが他のデザインと区別できる程度に客観的に新しいことをいい、
デザイン保護法は新規性のあるデザインに対して積極的に規定せず、新規性喪失事由をデ ザイン保護法第 5 条第 1 項各号に限定的に列挙しているのみである。
①出願前に国内又は国外で公知であったり公然実施されたデザイン、
②出願前に国内又は国外で頒布された刊行物に記載されたり、電気通信回線を通して公 衆が利用可能にしたデザイン
③上記①又は②に該当するデザインに類似するデザイン
2-3 新規性喪失の例外
デザインが新規性を喪失した日から6ヶ月以内に韓国出願を行い、これを立証すること ができる書類を出願日から 30 日内に提出すれば新規性を喪失していないものとする。
2-4 創作性
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デザイン登録出願前にそのデザインが属する分野で通常の知識を持った者が国内又は国 外で公知となったり公然に実施されたデザイン又は頒布された刊行物に掲載されたり電気 通信回線を通じて公衆が利用可能になったデザイン(公知・公用のデザイン)の結合による か、国内で広く知られた形状・模様・色彩又はこれらの結合(周知の形状・模様など)によ り容易に創作できるデザインは登録を受けることができない。ただし、上記公知・公用の デザイン又は周知の形状・模様などを種々選択して結合したものであっても全体的に新し い美感を創出した場合には創作性があるものと見なす。
2-5 不登録事由
たとえ出願デザインがデザインの工業上利用可能性及び新規性、創作性を備えていると しても公益を保護し他人の業務を保護するために以下の不登録事由を定めている(デザイ ン保護法第 6 条)。
①国旗、国章、軍旗、勲章、包装、記章、その他の公共機関などの標章と外国の国旗、
国章又は国際機関などの文字や標識と同一又は類似のデザイン
②公序良俗に反するおそれがあるデザイン
③他人の業務に関係する物品と混同を招くおそれがあるデザイン
④物品の機能を確保するのに不可欠な形状のみからなるデザイン
3.デザイン登録を受けるまでの手続の概要
デザインの対象になる物品が無審査登録出願の対象であるか、審査登録出願の対象であ るかかによって異なる。
3-1 デザイン審査登録出願
①法令に定めた書式による願書、図面(写真も可、六面図+斜視図必須)、及び添付書類 (委任状、優先権証明書など)を添付して特許庁へ提出。
②提出されたデザイン審査登録出願書は方式審査を受け、デザイン物品類に区別される。
方式違反時には補正命令が出され、補正命令に応じなかったり補正によっても瑕疵を 直せない場合には無効処分となる。
③早期公開申請(最初の決定前まで申請可能)があれば、公序良俗、国防上の秘密などの 要件を審査し、デザイン公開公報に掲載する。
④デザイン物品類別に担当審査官が出願順によって出願日から約6ヶ月経過後に実体 審査を行う。デザイン保護法第 26 条所定の拒絶理由が発見されれば、審査官はこの 理由を出願人に通報し 2 ヶ月以内の期間を定めて意見書の提出機会を与える(デザイ
ン無審査登録出願の対象物品以外の物品に対して錯誤により無審査登録出願された 場合は拒絶理由に該当するが、これは出願補正することにより拒絶理由を克服でき る)。
⑤意見書により拒絶理由が解消されたときはデザイン登録決定をし、拒絶理由が解消さ れないときは拒絶決定する。出願人は拒絶決定を不服とする場合は、特許審判院へ拒 絶決定不服審判を請求することができ、さらに特許法院への審決取消訴訟、大法院(法 律審)への上告による不服が可能である。
⑥登録料納付後、デザイン権設定登録をしてデザイン公報に掲載して登録公告をする。
デザイン登録出願から権利取得まで
特許法院
上告 不服
大法院 (法律審)
拒絶確定 特許法院 (審決取消訴訟)
特許庁審判院
(2006年3月現在)
拒絶理由 通知 意見書・
補正書提出 拒絶決定
無効審判 請求など
*利害関係人、
審査官が請求可
*登録以後 いつでも請求可
*権利消滅後も可
*異議申立期間 終了後30日以内
*2ヶ月期間延長可
*通知から2ヶ月以内
*1ヶ月ずつ2回のみ 期間延長可
*通知から30日以内
*2ヶ月期間延長可 不服審判請求
*公開が前提 審 査
(優先審査)
登録料納付 設定登録
優先審査申請
登録決定 基礎出願
登録料納付 設定登録
デザイン 存続期間満了
3ヶ月以内
無審査 有審査
*複数デザイン登録出願に対する 公開申請は出願されたデザイン 全てに対し申請した場合に限る 6ヶ月
補正書提出 *30日以内
*設定登録日か ら登録公告日 後3ヶ月以内
*誰でも請求可
方式審査 補正命令 補正書提出
最初の通知又は決定まで
出 願
自発補正 及び翻訳文 優先権証明書
デザイン公報 登録公告
異議申立
取消決定
維持決定 却下決定
不服審判請求
理由なし 理由あり
(理由・証拠 不提出)
異議答弁書
異議理由補充
異議決定
出願無効 (不提出)
申請による 早期公開
*設定登録日から15年
3-2 デザイン無審査登録出願 (1)対象物品
流行性の強い物品に関するデザインとして、デザイン保護法第 11 条第 2 項規定による物 品区分のうち、以下の産業資源部令が定める物品に限って無審査登録出願が可能で、指定 された物品については無審査登録出願しか許容されない。錯誤で審査登録出願をしたとき は無審査登録出願に変更する補正をすることができる。
分類 物品名
B1 衣服など
C1 寝具、カーテンなど
F3 事務用紙、チラシ、転写紙など F4 包装紙、ラベル、包装容器など M1 織物紙、壁紙、合成樹脂など
(2)複数デザイン登録出願
デザイン無審査登録出願においては、物品区分上同じ大分類に属する物品について 20 個以内のデザインを1出願とすることができる複数デザイン登録出願が認められている。
この場合、出願書に複数デザイン登録出願の有無及びデザインの数を記載すると共に、デ ザインの一連番号及び図面番号などを記載した複数デザイン明細書を添附しなければなら ない。
(3)審査項目
無審査登録出願は実体審査をせず、①デザイン登録出願に必要な方式を備えているか、
②公序良俗に違反するか、③工業上の利用可能性を有するか、④主体的要件その他条約違 反の有無などの形式的要件を審査する。ただし、第三者からその登録要件に不足な点があ ることについて情報提供があるときには、新規性、創作性等の登録要件を審査し、拒絶決 定をすることができる。
デザイン審査登録出願と無審査登録出願の対照表
デザイン審査登録出願 デザイン無審査登録出願
1.審査期間 長い(約7〜8ヶ月) 短い(約2〜3ヶ月) 2.長短所 権利の安定性は高いが、権利化遅延の
弊害がある
早期権利化を図れるが不良権利発生によ る紛争急増などの弊害が予想される 3.審査対象 方式審査+実体審査 方式要件+公序良俗違反の有無のみ審査
+工業上の利用性 4.複数デザイン
出願
1デザイン1出願の原則が適用され る
無審査登録対象物品に限り複数デザイン 登録出願が可能
5.異議申立制度 無し 不良権利発生による弊害防止のため無審
査登録異議申立制度あり 6.過失の推定規定 適用無し
無審査登録を受けた者が他人のデザイン 権又は専用実施権を侵害する時には過失 を推定
7. 登 録 後 の 権 利 の
効力 過失の推定規定が適用されることを除き
審査登録されたデザイン権と全く同一
3-3 必要書類
デザイン登録を受けようとする者は次の書類を特許庁長に提出しなければならない。
①創作者及び出願人の氏名及び住所(出願人が法人の場合には代表者の氏名)、提出日、
デザインの対象になる物品、さらに、優先権主張を伴う場合には基礎となる出願の出 願番号、優先日、国家名、また、類似デザイン出願の場合には基本デザインのデザイ ン登録番号又はデザイン登録出願番号を記載した出願書
②対象となる物品、デザインの説明及び創作内容の要点、複数デザイン登録出願の場合 にはデザインの図面番号を記載した六面図及び斜視図(又は写真、模型、見本) 書体デザインの場合には施行規則で規定する指定文字図面、例文図面、代表文字図面
③複数デザイン明細書(複数デザイン登録出願の場合)
④優先権主張を伴う場合には優先権証明書
⑤委任状(必要な場合)
なお、複数デザイン登録出願時には出願書に複数デザイン明細書を添附しなければなら ず、図面もデザインごとにそれぞれ3通ずつ添附しなければならないので注意が必要であ る。また、日本と異なり六面図以外に斜視図が必須である。また、平面デザインにおける 表面図と裏面図以外の省略、左右上下対称図の省略が可能であり、その他、断面図や動的 デザインの参考図などは必要に応じて提出する。
3-4 優先権主張
デザイン保護法には国内優先権制度が存在せず、パリ条約優先権制度のみがある。パリ 条約優先権主張の基本手続は特許法と同一だが、優先権主張の基礎となる最初の出願日か