なくすための国内連帯です。
Zero Hunger Network Japan
No.4
ゼロ・ハンガー・ネットワーク・ジャパン
ブ ル キ ナ フ ァ ソ で の 野菜栽培 プ ロ ジ ェ ク ト を 振 り返 っ て
︱ ︱ 海外 で の 取 り組 み 岡本 敏樹
緑のサヘル代表2011
年1
月現在、世界には41
のナシ ョナル・アライアンス(設立中を含む)が 食料安全保障の実現に向けて活動して いますが、同時にこれらのアライアンス 同士の連帯も進んでいます。Twinning
(結合)と呼ばれる協力関係を実現する ため、ゼロ・ハンガー・ネットワーク・
ジャパン(以下、
ZHNJ
)では、ブルキナフ ァソで食料安全保障のための取り組み を行なっている現地のアライアンス「 ACF-Burkina Faso
(ブルキナファソ飢 餓対策連盟)」
と協力し、現地でパイロッ ト事業を実施しています。今回は、ZH NJ
メンバー団体で、当該プロジェクトの 連絡調整を担当しているNGO
、緑のサ ヘルからの報告です。■
西アフリカにブルキナファソという国があ
ります。日本の
70%
ほどの面積で、約1,700
万人が住んでいます。人口の80
%
以上が農業に従事しており、7
月9
月の雨季にミレット(トウジンビエ)やソル ガム(モロコシ)といった穀物を栽培して います。しかし、栽培地の地力の低下 や降雨不足・不順により収穫量は低迷 しており、収穫量が4
分の1
にまで落ち 込んでいる地域もあります。このような 地域では1
日2
食が普通であり、収穫 前のもっとも食料事情の厳しい時期に は1
日1
食になります。ブルキナファソ飢餓対策連盟には、
各地で食料安全保障に向けた取り組み を行なう
24
団体が参加しています。参 加団体は情報共有や技術的なアドバイ スを交換し合うなど、つながりを持って います。ZHNJ
もまた、複数のセクタープロジェクトで購入した資機材。©AGS マリ
ジボワールコート
ブルキナファソ ワガドゥグ(首都)
ニジェール
ベナン トーゴ ガーナ
★プロジェクト実施県
30SPRING 2012
からの参加を得て、食料問題への取り 組みを行なう連合体です。
2011
年、ZHNJ
は、ブルキナファソ 飢餓対策連盟に参加する3
つの団体(右中コラム参照)によって行われている、
食料増産・食料不足の軽減のための プロジェクトを支援しました。このプロジ ェクトの特徴は、日本とブルキナファソ それぞれのネットワークがつながり、両 者を介して現地の団体が行なう取り組 みを支援することにあります。プロジェク トは、基本的に現地主導で進められ、
現地の団体自らが設定した課題の解決 を支援の対象とし、彼らによって計画さ れた活動の後押しと活性化を図りまし た。
これらの実施団体は、現金収入を目 的とした野菜栽培に取り組むため、資 材や設備の増強が必要と考え、これを 資金的な側面から
ZHNJ
が支援しました。経験が限られていることから、どの団体 も順調に栽培できたわけではありません が、いずれも収穫物の販売で目的を達 成しました。団体メンバーの家庭では、
不足する食材や調理に欠かせない食用 油、調味料などの購入に充てることが でき、食卓が充実したとの報告を受け ています。
■
現地では、食料をはじめとしてさまざま
な課題があります。私たちから見れば、
山積する課題のどこから手をつければ いいのか見当がつかないかもしれません。
しかし、これらの課題に直面している現 地の方々は、途方にくれているわけでは ありません。どうすればいいのか、何を したらいいのかについてアイディアや意 見を持っています。現地の方々の声に 耳を傾け、彼らの考えを丁寧に理解す ることが大切です。
■
2011
年の雨季、サヘル地域の国々は 雨不足に見舞われました。降雨に頼っ た穀物栽培を行なうこれらの国では、降雨不足は収穫量の減少に直結します。
比較的安定していると見られていたブル キナファソも例外ではなく、
2011
年の 穀物生産量は例年よりも14%
減少し ました。この事実は、国際機関やドナ ー諸国などの関係者を驚かせ、改めて 食料安全保障の難しさを認識させるこ ととなりました。ブルキナファソ政府は、食料購入を含めた対策を講じていると ころで、海外からの支援を呼びかけて います。
このような状況の中、
ZHNJ
が支援し た野菜栽培プロジェクトはささやかなも のだったのかもしれません。しかし、現 地の方々の立場に立った、必要とされ る部分への支援になったと考えています。ゼロ・ハンガー・ネットワーク・ジャパンとは 世界の飢餓と栄養不良をなくすための日本国内のアラ イアンス。2003年に設立された国際的なアライアン スと、これに続く各国でのナショナルアライアンスの設 立が背景にある。
ご意見・お問い合わせ先:ゼロ・ハンガー・ネットワ ーク・ジャパン事務局(FAO日本事務所内)
E-mail:info@zerohunger-jp.org ウェブサイト:http://zerohunger-jp.org
緑のサヘル
土地の劣化と乾燥化(砂漠化)が進んでいるアフリカ・
サヘル地域に住む人々を支援するため、1991年、東京 において有志によって設立されたNGO(民間国際協力団 体)。ブルキナファソを始めとするサヘル地域で、生活 の基礎から脅かされている現地の人々と共に、現在の 生活を守る活動(生活保障)に取り組むと同時に、これ から先の生活のための活動(環境保全)を行なっている。
ウェブサイト:http://sahelgreen.org/aboutus/
野菜栽培プロジェクトを実施した
3
団体 テールターバ(Teeltaaba)は、ブルキナファソの首都 ワガドゥグから北へ210kmほど離れたところにあるペ ンサ村で、「食材の多様化」と「現金収入の向上」を 目指した活動に取り組んでいます。ZHNJの支援によ り動力ポンプを設置したほか、塩ビ管による送水路を 敷設し、貯水池から汲み上げた水を栽培地まで引くこ とにより、効率的な水やりを実現しました。ブアヤバ(Buayaba)は、首都ワガドゥグのバシンコ地 区で、「食料事情の改善」と「女性の収入向上」を目 指した活動を行なっており、今回のプロジェクトでは 野菜栽培と乾燥食品の製造に取り組みました。野菜 栽培は初の試みですが、講習会によって技術を学び、
キャベツやオクラ、キュウリ等たくさんの種類が栽培さ れました。
ペングゥェンデ(Pengdwende)は、首都ワガドゥグか ら西へ150kmほどのところにあるスルグゥ村で、「タ マネギの品質向上」と「時期をずらした販売による収 入向上」を目指した活動を行なっています。タマネギ のほかに、インゲン、オクラ、ナス、ズッキーニなどさ まざまな野菜を栽培し、現金収入の獲得につなげまし た。乾季の水需要に対応するため、井戸を掘削した ことも成果のひとつです。
栽培の様子。©AGS
31SPRING 2012
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2050年に向けた食料・農業 に関する予測をまとめたFAO 経済社会開発局による報告書。
FAOのほか、国際食糧政策研 究所(IFPRI)や世界銀行などの 関係機関から執筆陣を迎え、
FAOの過去の予測を検証する とともに、気候変動やバイオエ ネルギーの影響、貧困削減、
土地・水資源をめぐる見通し を論じます。
FAO 2011年発行
539ページ 23.4×15.5cm 英語 ISBN:978-92-5-106903-5
Looking ahead in world food and agriculture
:Perspectives to 2050
世界の食料・農業を見通す:
2050年に向けた予測
World Livestock 2011
世界の畜産 2011年
世界的な人口増加と所得向上 により急激な成長を遂げる畜 産セクターの現状と課題を論じ た報告書。畜産は今後、開発 途上国の食料安全保障に重要 な役割を果たす一方で、これま で需要増加に対応してきた集 約的な生産方法は疾病の増加 や環境破壊につながるとして、
今後の提言をまとめています。
FAO 2011年発行
115ページ 25.0 17.6cm 英語 ISBN:978-92-5-107013-0 N E W
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