第4章 電子レンジキャビティ内の電界強度分布
4.2 光センサを用いた電界強度分布の測定
4.2.2 測定方法
電子レンジキャビティに内に輻射するマイクロ波発振器の構成を図 4.7に示す.マイク ロ波発振器は一つの基準信号発生器と,移相器,アッテネータ,電力増幅器で構成される 2 つの電力増幅部で構成される.電力増幅部は入力された基準信号の位相と振幅レベルを 所望の値に設定した後,電力増幅器で増幅する.電子レンジキャビティのアンテナ1, 2へ 供給するマイクロ波1, 2の出力電力は同じとし,位相はマイクロ波1側の移相器を固定し,
マイクロ波2側の移相器を所望の値に設定する.基準信号発生器の信号を分配して利用す る理由は,アンテナ1とアンテナ2から輻射された信号がキャビティ内で反射を繰り返し て,電界の強い場所と弱い場所ができる定在波を発生させるためである.アンテナ1とア ンテナ2から輻射される周波数が異なると,各々の周波数の反射による定在波は立つが,
2つの周波数が独立するため,一方の位相を可変しても電界分布は変化しないためである.
図4.7のアンテナ 1側とアンテナ2側の出力の相対位相を 5W出力で測定するのは困難 であるため,3.3.5項で報告したウイルキンソン合成器[4.8]を利用してアンテナ1側とアン テナ2側の位相関係をあらかじめ調整する.ウイルキンソン合成器の入力にアンテナ1側 とアンテナ 2 側の出力を接続し,基準信号発生器の周波数を 2,430MHz に,各出力電力を 5Wに,アンテナ 1側の移相器を0°に設定して,アンテナ2側の移相器の設定値を可変し て,ウイルキンソン合成器の出力が最大となる移相器の設定値をアンテナ2側の位相が0°
と定義して実験を行った.
図 4.7 マイクロ波発振器の構成
4.2.3 測定結果
電子レンジキャビティ内の電界分布を光センサで測定する.光センサは光ファイバーで 電子レンジキャビティの外にある測定機に接続して電界強度を測定する.アンテナ1の移
相器を 0°,アンテナ 2の移相器を 270°に設定した場合の[A]面の電界強度の測定結果を
図4.8に示す.図4.8(b)はX 軸方向の電界強度,(c)はY 軸方向の電界強度,(d)はZ軸方向 の電界強度を示し,図4.8(a)は(b)~(d)の3軸の電界強度をベクトル合成した電界強度を示
す.図4.8(a)の電界強度は1,000V/m以上を得ている.図 4.8(b)のX軸方向の電界強度が強
く,図4.8(c)のY軸方向の電界強度は解析結果と同じで弱いことがわかる.
次に,アンテナ 1 の移相器を 0°,アンテナ 2 の移相器を 0°,90°,180°,270°に 設定した場合の3軸の電界強度を合成した電界強度を図4.9に示す.図 4.9より,図 4.5の 解析結果と同様に図 4.9(a)と(c)または(b)と(d)は電界の強い位置と弱い位置が逆転してい ることがわかる.
図4.8 アンテナ1を0°,アンテナ2を270°に設定した場合の電界強度分布の測定結果
図4.9 アンテナ1を 0°,アンテナ 2を 0°,90°,180°,270°に設定した場合の電
界強度分布の測定結果