第2章 診断事例
5. セミナー事例
歯科業界はサービス産業であるということを認識してもらうために実施した歯科医師向けセミ ナー及び歯科医院スタッフ向けセミナーの事例を紹介する。
(1)歯科医師向けセミナー
このセミナーは歯科医師を対象として行なったセミナーであり、医師が「サービス業とは何か」
を自覚することに主眼を置いたものである。サービス業として収益をあげるための枠組みや顧客 満足の向上についてのレクチャーと個別相談を行なった。具体的内容は次のとおりである。
① 歯科医院経営成功のポイントに関するレクチャー
歯科医院のあるべき姿をビジネスモデルとして図示し、投資から収益につながるまでの全体 像を理解してもらうためのレクチャーを行った。単に講義だけではなく、実際に各自が図を書 くことで理解度を高めることが可能となった。
② リピート率向上のための顧客満足・従業員満足の実践
顧客満足とは何か、また、歯科医院ではそれをどう実践していくべきかを説明するとともに、
課題を解きながら、顧客満足や従業員満足の重要性についての理解を与えた。
③ 経営改善事例
歯科医院経営改善の取組についての事例とそのポイントについての説明を行い、その有効性 を認識できるようにした。
④ 個別相談
事前アンケートを元に受講される歯科医院の個別問題点抽出および改善の方向性について、
我々中小企業診断士と相談しながらワークシートを作成し、具体的なアクションプランの方策 を探った。
図表2-19 歯科医師向けセミナーの実施風景
(2)歯科医院スタッフ向けセミナー
歯科医師が経営面で一番関心があるのはスタッフ教育である。歯科医院にとって、患者に対す る接遇が重要である事は認識しているものの、実際にどう取り組んでよいか分からず大半の医師 が苦労している。そこでスタッフ教育は多岐にわたるが、今回は接客マナーの基礎を中心とした 内容で実施した。また、スタッフだけではなく、率先垂範という観点から医師の参加も推奨した。
具体的な内容は次のとおりである。
① ホスピタリティマインドの重要性について
ホスピタリティとは「患者の視点に立った対応(接客サービス)」であることを実例とともに ロールプレイングを通して体得してもらった。そしてホスピタリティマインドでの接客サービ スが顧客満足(患者様満足)の向上を可能にしていくことを理解してもらった。
② 第一印象の重要性
「第一印象が決定する時間は?」、「身だしなみのポイントは?」、「挨拶の重要性」について の説明をするとともに、ロールプレイングを通して理解してもらった。
③ 患者様とのことば遣い、医院内でのコミュニケーションについて
「敬語の使い方」から、「感じの良い話し方のポイント」、「クッション言葉+依頼形」を説明 した後、実際にロールプレイングで確かめ、より深い理解を与えるよう実践した。
④ ホスピタリティマインドでの電話対応
電話対応は相手が見えない分、話し方(スピード、トーン)や内容でコミュニケーションを とる必要があることを説明し、歯科医院における電話対応の場面を想定したシナリオを使用し、
相手に好印象を与える電話対応とは何かを理解してもらった。
⑤ お客様と「こころ」と「こころ」の会話をするためには
傾聴・質問のスキル・心構えで、患者(顧客)との信頼関係を早期に構築し、第一印象を高め るとともに、自費診療等顧客の潜在ニーズを引出し、顧客満足につなげることを目的とした。
具体的には「聞き方の 15 原則」、「オープンクエスチョン」、「クローズドクエスチョン」、「相 槌」を駆使して、患者とのコミュニケーションを行なうことを理解してもらった。
図表2-20 歯科医院スタッフ向けセミナーの実施風景