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ストアドメインと企業・店舗分析

 それは、そこいらのラーメン屋さんとか、あるいはギョーザ屋さんあるい はスパゲティー屋さんという食べ物屋さんを分析する時、あるいはセブンー イレブンのような小売店を分析する時にもそれは有効な分析道具になるとい う話を最後にして今日のお話を終わりにしたいと思います。で、それは、プ

柳川高行

ロダクトドメイン、製品ドメインという概念を、小売店や外食店を分析でき るストアドメイン(store domain〉という概念に転化して、拡張して使いた いということです。お店のドメインをどうデザインするかという話です。お 店のドメインというのは当然のことですけれども、どういうお客のどういう 二一ズに的を絞るのか。それはどういう料理を出すかということですけれど、

金持ちの客を相手にして、普通一杯600円のラーメンをうちは1,000円で売る という店があってもよろしいわけです。リッチな人、グルメの人で、高い料 金でもうまいラーメンを食べたいという人を相手にしたラーメン屋さんと非 常に安くて多くの人に食べてもらいたいというラーメンを作る会社とが当然 あるわけです。当然ラーメン屋さんにもcoretarget、顧客層と、顧客軸と二 一ズ軸とがあるわけです。大学の食堂は、さっき言ったかもしれませんけれ ども、これは大学生を中心顧客層として成り立っているわけです。大学の中 にありますから自鴎大学の学生を対象にしてそこで料理を作っているのが白 鴎の食堂です。二一ズ軸は安くて手軽に食べたいという学生を対象にしてい るわけです。私は学生といっしょに飯を食べる以外にあの食堂を使ったこと はありませんけれど、できれば僕は残された人生は少ないですからもうちょ っとおいしいのを食べたいなというのが率直な所です。もうちょっとお金を 出してもいいですからね。それに対して当然お店の独自能力があるわけです。

で、この独自能力のことを私はお店の知識と呼んで、store knowledgeとい う英語を使っています。ストアの知識なわけですね。このstore㎞owledge、

ストアの知識の独自性が高ければ高いほど、そのお店はよそに真似されない 非常に人気のあるお店になりうるわけです。store㎞owledgeというのは何 によって形成されるかと言うと、当然のことですけれども、料理の独自性と

サービスの独自性、この2つのミックスした形でstore㎞owlegeと言うの

が形成されている。あるいはstoreのstrengthお店の強みと言ってもいいで すけれどもお店の強みが形成されていくわけです。それで1つお話しをして おきたいと思います。それは名古屋にあります「十勝」と言う、トンカツの 専門屋さんの話です。トンカツに掛けたネーミングなんですけれど、十勝と

いうのが名古屋市にありまして、そこでおいしいトンカツを出すんです。ト ンカツ屋さんの中で最高の繁盛店はいくつかあるんですけれども「やわらト ンカツ綾」さんが別にあるんですけれどもこの2つは大変よく似ているんで す。十勝の社長さんは最初からトンカツ屋だったわけで1苓参くて、トンカツ 屋を新しく開こうと思ったわけです。外食にはど素人だったんですがこの十 勝というトンカツ屋の社長さんは、食べ物に関するいろんな雑誌が出ており ますが、私も『日経レストラン』と言うのを10年以上購読していますけれど も、日経レストランとかそういう雑誌の中でおいしいお店と、その他のグル メの雑誌でおいしいお店として紹介されている中で、トンカツのおいしい店 というのを半年くらい全国を歩き回って食べ歩いたんです。いろんな店のい ろんなトンカツを食べて彼は次のような結論に達っしたのです。徹底した専 門化をしなければトンカツ店としては生き残れない。この徹底した専門化と いうのは、何かといいますと、料理の独自性を出す。それからサービスの独 自性を出す。どこのお店でも出さないようなトンカツを、日本一のサービス で提供することが専門化という意味です。これができれば負けることは決し てありえない。お客さんは磁石に引きつけられるようにこのお店に集まって くる。料理はどのように工夫したかといいますと、トンカツは箸でちぎれる ほどやわらかいトンカツの方が食べやすいと、これが1つめの結論です。ト

ンカツを4時間ぐらいトントントントンと肉を叩きまして繊維を全部取り除 きましてたいへん柔らかいトンカツを作って「手のベヒレカツ」という名前 をつけているんですが、手でのべた、手で伸ばしたヒレカツがこのお店のト ンカツの代表作になるわけです。それは箸で切れるくらいやわらかいという トンカツなんです。トンカツは衣が大事だというのが2つ目のポイントです。

衣は食べた時に非常に歯ごたえがよくて食べやすい食感のあるサクサクした 衣が望ましい。皆さんも天ぷら屋さんにいった時に天ぷらが非常にカリッと 揚がってすばらしい揚がり方の天ぷら屋さんとベタベタとしたひどい天ぷら 屋さんとあるのをご存じだと思います。えびフライを頼むとだいたいわかり ますね。その店のてんぷらの程度が。その時の天ぷらの揚げ方にもこつがあ

榔川 高行

ってそれはやっぱり1つのノウハウになっているわけです。ノウパウという のはその会社の営業あるいは生産のための秘密の知識のことをノウハウとい

うのですけれどそのノウハウを持っているわけです。で、そこでこの会社が やったのは、あるパンメーカーにパンを焼いてもらったことです。こちら側 でお願いをしてパンを焼いてもらって、そのパンを粉にして、パン粉を作る わけです。その時にどういう大きさにパン粉をちぎって、どのくらいの温度 でどのくらいの時間をかけて乾燥するのかということをこのお店ではず一っ と経験的にいろいろとやってみたんです。それで最もおいしいパン粉の大き さ、温度の上げ方、乾燥のさせ方をチェックして、おいしいパン粉の作り方 をノウハウとして蓄積したわけです。そしてそのパン粉で揚げればある温度 で、ある一定時間揚げると最高においしく揚がるというノウハウを蓄積した わけです。このことでパン粉と衣についてのノウハウをこの会社は持ってい ると言えるわけです。3つ目のポイントは、特製のソースです。ソースもそ の作り方は秘中の秘でありまして、非常に苦労をして、このお店にしかない トンカツソースを開発したわけです。そうすると、このお店は料理の独自性 として非常に高い独自能力を持っているわけです。これがストアドメインの 構成要素の中の独自能力になるわけです。日本一気持ちのよいお店というサ ービスをするために、このお店は繁盛店ですからようするにウエイティング、

行列ができて、待つ人々が沢山でるわけです。そうすると、何分待てばよい のかと大変日本人はせっかちですからいらいらするわけです。昨年、東京デ ィズニーランドに行った時に、その電車を乗り換えるために東京駅に動く歩 道があるんですが、なんと日本人は動く歩道を走るんです。ちゃんと右側は 空いていまして、そこを走るんです。東京では駅のエスカレーターを登る時 には左側に寄らなくてはならない。右側は急ぐ人が走るからなんです。だか らエスカレーターで右側に止まっていってはいけない。急がない人は左に寄 って、急ぐ人はエスカレーターの右側を走る。それくらい日本人はせっかち なんです。それはどういう所に表れてくるかというと人の歩くスピードを計 る研究があります。最も日本で速足で歩くのは大阪の人です。2番目は東京

の人です。おそらく世界中で最もせかせかと歩くのは日本人なわけです。そ れを社会的速度と言うんです。それは日本人のせっかちさのものさしになる んですけれど、そういうせっかちな人が多いわけですからポケベルを持たせ るんです。ポケベルで呼び出しますからその間、自由にして下さい。どっか で何かやっていてもよいし、車の中で待っていてもよいしとこれが1つ目の サービスです。2つ目はお客さんがお店に入りますと、温かいお茶と、冷た い水と両方が同時に出て参ります。3つ目のサービスは私が1人の客で、話 し相手がいない時には、座ると当時に、私に雑誌と新聞が届けられます。そ れはお客さんを見て、さっと店員が持ってきてくれるんです。4つ目は私が 家族連れで行ったとします。そうすると料理は子供、奥さん、私の順に出て 参ります。子供は、食べるスピードが一番遅いから、一番最初に料理が出て くるのです。そして5つ目に奥さんと子供のカツは、私が食べるカツよりも 小さめに切ってあります。それは食べるスピードも子供と女性の方が遅いか

ら、食べやすいように小さくしてあるんです。そして6つ目にキャベツのお かわりのサービスもするんですが真ん中に置いといて勝手に取りなさいとや

りますと、みんな恥ずかしがって取りませんから、店員がぐるぐると回って あいている器に補充して回るわけです。それから7つ目のサービスですが当 然お年寄りや子供は残す場合があるわけです。残す場合、普通はお店に残し ていきますけれどもこのお店はちゃんと入物をくれるんです。持ってお帰り になりますかと聞いて持ち帰りになる人には、そのパックをくれて持ち帰る ことを自由に認めています。以上がこのお店のストアドメインの特色になっ ているわけです。そういう風にお店を見ていきますと、みなさんの身の回り のラーメン屋さんでもなんでもいいんですけれど、それらはストアドメイン という分析道具を使えばすべてがきちんと分析的に評価することが可能にな るわけです。そのための道具がドメインとストアドメインという概念なので す。製品ドメインとストアドメインという道具を使いながら来週からは、少 年ジャンプとかセブンーイレブンとかのお話をしていきたいと思います。

 これで第2回目のお話を終わりにしたいと思います。

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