本研究で用いた評価関数
ZT
DFTは格子熱伝導率を1 WK
-1m
-1・電子の緩和時間5.0×10
-15sec.
で一定とする大胆な近似を用いている.そのため,材料のスクリーニングにおいて実際に高性能 熱電材料を探索するうえで評価関数
ZT
がどこまで材料のスクリーニングが有効であるか検証す る必要がある.本研究では,高性能熱電材料として知られている
Bi
2Te
3[54], PbTe
[55], SnSe
[56], Cu
12Sb
4S
13(テトラ
ヘドライト)[7], Cu
26V
2Ge
6S
32(コルーサイト)
[8]および本研究であまり高いZT
を示さないことが明らかとなった
NiSbS, V
4GeS
8について本研究の評価関数ZT
DFTを用いて電子輸送特性の評価を行った.
-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
10 20 30 40
0
Z
elT
/ eV
Eg = 240 meV (Selfconsistently)
Eg = 480 meV
Mg
2Si T = 300 K
-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40
0
ZT
DFT / eV
Eg = 240 meV (Selfconsistently)
Eg = 480 meV
Mg
2Si
T = 300 K
79
Figure73, 74
にBi
2Te
3(実験値 E
g= 0.15 eV,
計算値E
g= 0.098 eV)
[57]の電子輸送計算の結 果を示す.実験値(~ 0.9 - 1)と比較するとやや過小評価ではあるが,性能の高いa, b
軸方向のZT
DFTは300 K
で0.33
程度とオーダーは一致する.フェルミ分布の分散がバンドギャップと同程度の狭ギャップ半導体の場合,DFTによる
E
gの過小評価がS
の過小評価につながり,実験のE
gを 用いた場合と比べZT
DFTはかなり過小評価すると予想されたが,結果として3%程度過小評価す
る程度であった.よって,Eg~ 100 meV
狭ギャップ半導体であってもZT
DFTはそれほどE
gの影響 を受けないことが分かった.Fig. 73
実験値E
g= 0.15 eV
を用いたBi
2Te
3の
ZT
のµ
依存性Fig. 74 DFT
計算のE
g= 0.098 eV
を用いたBi
2Te
3のZT
のµ
依存性-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
0.1 0.2 0.3 0.4
0 Bi
2Te
3T = 300 K E
g_EXP= 0.15 eV
ZT
DFT / eV
Average a-axis b-axis c-axis
-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
0.1 0.2 0.3 0.4
0 Bi
2Te
3T = 300 K E
g_DFT= 0.098eV
ZT
DFT / eV
Average
a-axis
b-axis
c-axis
80
Figure74
にPbTe
の電子輸送特性を示す.PbTeのZT
はµ
近傍に極大値を持ちT
= 673 Kで
1.6
に達する(p型).これは報告されているPbTe
の実験値[58]と一致する.Fig. 74 PbTe
のZT
のµ
依存性Figure 75, 76
にT = 673 K
におけるSnSe(Pnma)の ZT
DFTのµ
依存性を示す.SnSeは低温相(Pnma, ~ 800 K)ではそれほど ZT
は高くないが,それでもT = 673 K
でおよそZT = 0.5 (p
型, b軸) に達する.評価関数ZT
DFTではp
型で最大1
程度の値でありオーダーは概ね合う.[59]Fig. 75
実 験 値E
g= 0.860 eV
を 用 い たSnSe(Pnma)の ZT
DFTのµ
依存性Fig. 76
計 算 値E
g= 0.627 eV
を 用 い たSnSe(Pnma)の ZT
DFTのµ
依存性-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
0.5 1.0 1.5 2.0
0
ZT DFT
/ eV
PbTe
T = 673 K
-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
0.5 1.0 1.5 2.0
0
SnSe(Pnma) T = 673 K E
g_EXP= 0.860 eV
ZT
DFT / eV
Average a-axis b-axis c-axis
-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
0.5 1.0 1.5 2.0
0
ZT
DFT / eV
Average
a-axis
b-axis
c-axis
SnSe(Pnma)
T = 673 K
E
g_DFT= 0.627 eV
81
Figure 77
にT = 923 K
におけるSnSe(Cmcm)の ZT
DFTのµ
依存性を示す.の最大値は結晶軸によって異なるが,平均値は
p, n
型ともに1.0 - 1.5
のピークを持つ.これは報告されている実験値[59]と概ね一致する.
Fig. 77
計算値E
g= 0.365 eV
を用いたSnSe(Cmcm)の ZT
DFTのµ
依存性Figure 78
にテトラヘドライトCu
12Sb
4S
13のZT
DFTのµ
依存性を示す.T = 673 KにおいてZT
DFTは最大で約
0.7
程度である.これは実験値と一致する.[7]Fig. 78 T = 673K
におけるCu
12Sb
4S
13のZT
DFTのµ
依存性-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
0.5 1.0 1.5 2.0 2.5
0
ZT DFT
/ eV
Average a-axis b-axis c-axis SnSe( Cmcm ) T = 923 K
E g_DFT = 0.365 eV
-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
0
ZT DFT
/ eV Cu 12 Sb 4 S 13
T = 673 K
82
Figure 79
にT = 673 K
におけるコルーサイトCu
26V
2Ge
6S
32のZT
DFTのµ
依存性を示す.ZTDFTは最大で約
0.8
であり,これは実験値とよく一致する.[8]Fig. 79 T = 673 K
におけるコルーサイトCu
26V
2Ge
6S
32のZT
DFTのµ
依存性Figure 80, 81
に本研究にて世界で初めて実験値のZT
を明らかにしたNiSbS, V
4GeS
8のZT
DFTの
µ
依存性を示す.NiSbSはµ
近傍でZT
DFTは0.01
程度であり低いZT
の実験値定性的に再現 する.一方でV
4GeS
8はµ
近傍で0.2-0.25
と比較的高いZT
DFTを示し,実験値と一致しなかった.Fig. 80 NiSbS
のZT
DFTのµ
依存性Fig. 81 V
4GeS
8のZT
DFTのµ
依存性-1.0 -0.5 0 0.5 1.0
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
0
ZT DFT
/ eV
Cu 26 V 2 Ge 6 S 32 T = 673 K
-0.5 0 0.5
0.01 0.02 0.03 0.04 0.05
0
ZT
DFT / eV NiSbS T = 300 K
-0.5 0 0.5
0.1 0.2 0.3
0
ZT
DFT / eV
V
4GeS
8E
g= 165 meV
T = 300 K
83
評価関数
ZT
DFTは高性能熱電材料Bi
2Te
3, PbTe, SnSe, Cu
12Sb
4S
13, Cu
26V
2Ge
6S
32に対し0.3-2
程度の高い値を示し,本研究の実験で良い性能を示さなかったNiSbS
では0.01
以下の低い値を 示し,高性能熱電材料をスクリーニングするうえで有効である.ただし,V4GeS
8,ZnCr
2S
4 のようにZT
DFTではハイスコアであっても,実際にZT
が低いものある.84
ドキュメント内
JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/
(ページ 79-85)