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シンポジウム第 3 回「自分で決めた生き方を実践するために」からみえてきたもの

国際駅伝 シンポジウム

IV.  シンポジウム第 3 回「自分で決めた生き方を実践するために」からみえてきたもの

の間でまず話し合える時間と状況を創ることは 不可欠です。選択はプロセスなので、情報が不 十分であった時に、どのような情報を求めてい て、それをどのような方法で得るのかを整理す ることも必要です。同時に、医療者は患者の選 択は、どのような価値感に影響されているのか を理解することが大事だと考えます。

オコーナー博士は、「多くの人は、医療に関する 難しい決断を迫られたとき、わからないという。

ほとんどの人は自分たちのケアに関する難しい 決断に自分も参加したいと思っている。準備の 方法としては、ステップバイステップ方式をとる ということ、自分自身の意思決定のニーズを明 らかにすること、そのための一手段として意思 決定補助ツール * が有効である」と講演の最後 にまとめられました。

2)  意思決定と People-centered-care に   関わる要素

自分の健康に関わる取り組みの主役は自分自身 です。自分の身に降りかかる出来事に対し、自 分自身で何らかの意思決定をしながら解決して いかざるをえません。実際にその過程を主体的 にたどるには、さまざまな葛藤や困難があるこ とが明らかにされました。人々が医療に関して難 しい決断を迫られるとき、自分にとって大切な 決断を納得のいくよう行っていけることは、まさ しく People-centered-care の真髄ともいえます。

 

オコーナー博士が示した、意思決定のステップ をみても、人は自分に関するできごとを、自分 の生きてきた経験や価値に基づき吟味し、葛藤 や苦悩も包摂しながら自分なりの意味や取り組 むべき価値や見通しを持とうとすることがわかり ます。残念ながら、シンポジストの方々のお話 では、意思決定の過程は多くの場合、自分の中 でも明確には認識されない状況のなかで、孤軍 奮闘しつつ何らかの結論にたどり着いているこ とがわかりました。その背景には、患者の意思 決定の重要性を医療者と患者の共通認識となる ように話し合ったり、意図的に関わったりしてい ないことが見えてきます。互いの信頼関係のも とで、人生の重大な意思決定を行えるよう、医 療者と市民がその重要性を認識できるメッセー ジを広く社会に浸透させていくことが求められ ています。

4.  People-centered Care を   具現化する「自分で決めた生き方を   実践するために」今後の課題

(1) 自分自身で考えていくための考え方を示す

「意思決定ガイド」は、患者自身への質問形式 になっており、患者自身が気づき考え、自分自 身で意思決定していく過程を支援するものでし た。講演された方々の経験が、この意思決定 ガイドの 5 つのステップを辿っていることがわか り、1 つ 1 つを確認していくことが、自分自身で

市民および専門職者とのコラボレーションの推進 2

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納得して決断することに繋がっていくとわかりま した。そのための一手段として、シンポジウムで も示された意思決定のための補足ツールを提供 していきます。

(2) 患者自身が意思決定をしていることを   自覚する 

今回のシンポジウムを企画していく過程では、

最初「意思決定を自分がしているという認識は あまりなく、いくつかの選択肢があったとははっ きりと思っていなかった」と話す患者代表の方 もいました。ですが、シンポジウムの準備にお ける数回に渡る話し合いの中で、選択肢がない 中でも、なんらかの意思決定をしていることに 気づいていかれました。患者自身が意思決定を しているということを自覚するためには、1 具体 的な選択肢を充分に提供する、2 患者が意思 決定していくプロセスを医療者が共に歩む、3 患者自身で決断しても良いことを伝えることが 大切なようです。

* 意思決定補助ツールは、患者教育の教材ではなく、かなり詳し く選択肢、長所・短所などによる事実について書かれており、意 思決定のステップが示されている。カウンセリングを補完するもの と考えられており、オタワ大学では世界各国から集めており、英語 ではあるがインターネットで公開している。現在日本語の補助ツー ルを本学講師有森直子が作成中である。

 V. おわりに

駅伝シンポジウムの活動を通してみえてきた People-centered Care を生成する上での重要な 要素について、シンポジウムのテーマに則しな がらまとめました。3 つの異なるテーマに通じる、

People-centered-care の共通要素として、〔おも いやり〕〔生きてきた経験からの学び〕〔わかり あう言葉〕〔役立つ健康情報の生成〕〔異なる目 線でのつながり〕〔意思決定〕などがあげられ ます。今後、こうした People-centered-care の 要素を、研究成果や実践開発の成果として、わ かりやすい考え方、活用しやすいシステム、看 護サービスとして目に見える形で具現化していき たいと考えています。多くの皆様のご協力を心 より願っています。

‐文献‐

1)  AHRQ 患者教育ホームページ

  (http://www.ahrq.gov/consumer/20tips.htm)

2)  Lichtig.L.K,Knauf,R.A,&Milholland,D,K:

  Some impacts of nursing staffing on acute care Hospital  outcomes, 

  Journal of Nursing Administration,29(2),P25-33,1999

21 世紀 COE 国際駅伝シンポジウムを市民レベ ルで知っていただくために、「シンボルキルト」

を作成しました。日本では馴染みの薄い「シン ボルキルト」ですが、海外ではシンポジウムに 参加者した方たちの名前をキルトに記載してい ただき、タペストリーとして残すことが行われて きています。キルト作りは、さまざまな生地を 切って独立したパーツを制作し、それをつなぎ 合わせ、キルト綿をはさんで裏地をつけて、ス テッチをかけるという非常に手間のかかる作業 です。「シンボルキルト」は、このように「多くの 人の手がかかわって、ひとつのものを作り上げ る」工程を通して、多くの市民の方に、このシ ンポジウムの意味を理解し、興味を持っていた だけることを目的としています。また、このキル トプロジェクトは、「市民主導の健康生成」のあ り方を、アートの領域で行ってみるひとつの試 みとして位置づけられています。

制 作した「 シンボル キルト」 は、

2005 年聖路加看護大学 2 号館の 入り口に飾る予定です。

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