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シミュレーション

ドキュメント内 Closed-Loop Input/Output Data (ページ 53-57)

第 5 章 Closed-Loop Multivariable Output-Error State Space (CL-MOESP)

5.3 シミュレーション

本節では,CL-MOESP法に基づくデータ駆動型制御器設計法の有効性を確認する ため,シミュレーションを行った。シミュレーションでは,Case i)状態空間ベースの 二段階制御器設計法,Case ii) TS4SID法に基づくデータ駆動型制御器設計法,Case iii)開ループデータを用いて,PI-MOESP法で制御器設計を行った場合について,

CL-MOESP法に基づくデータ駆動型制御器設計法と比較を行うことで,CL-MOESP法に

基づくデータ駆動型制御器設計法の有効性を検証することが目的である。

5.3.1 シミュレーション条件

制御対象P は(5.38)式とし,安定化制御器C0は(5.39)式とした。

P= z2

z21.69z+0.89 (5.38)

50

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表 5.1: 評価値 JOE

手法 Case i) Case ii) Case iii) 提案手法 評価値 4.154 11.58 8.779×103 0.4953

C0 = 0.051z0.05

z−1 (5.39)

参照モデルM は(5.40)式とし,サンプリングタイムはT s= 10msとした。

M = 0.0952

z−0.9048. (5.40)

ブロックハンケル行列を構成する際のrの値はr = 50とする。参照入力r(k)に12段 のM系列信号を2周期印加し,制御対象P の出力にSN比16.48の白色雑音を重畳し た。また,理想制御器Cの次数は3次であり,(5.41)式に示す。

C = 0.0952(z21.69z+ 0.89

z2(z1) (5.41)

5.3.2 シミュレーション結果

図5.1,5.2,5.3,5.4,5.5にそれぞれCase i)の1段階目の相補感度関数を同定する際 の特異値プロット,Case i) の2段階目の制御器を同定する際の特異値プロット,Case ii)の特異値プロット,Case iii)で制御器を設計する際の特異値プロット,CL-MOESP 法に基づくデータ駆動型制御器設計法の特異値プロットを示す。図5.1より,相補感度 関数の次数を3次,図5.2より,制御器の次数を3次,図5.3より,制御器の次数を4 次,図5.4より,制御器の次数を3次,図5.5より,制御器の次数を3次と判断した。理 想制御器の次数が3次に対して,Case ii) は4次と判断することになっているのに対し

て,CL-MOESP法に基づくデータ駆動型制御器設計法は3次と判断できている。これ

は,Case ii)は近似式を用いているので,雑音の特異値が大きくなってしまったと考え

られる。Case i)の相補感度関数の同定結果を図5.6に示す。 また,設計した制御器の

ゲイン線図を図5.7,設計後の閉ループシステムのステップ応答を図5.8に示し,(5.42) 式に示すような,望みの応答yd(k)と設計後の閉ループシステムの出力y(k)との平均 二乗誤差を評価値として,表5.1に示す。

JOE =∥yd(k)−y(k)∥22 (5.42)

Case i)とCL-MOESP法に基づくデータ駆動型制御器設計法を比較すると,図5.8,表

5.1からわかるように,Case i) の方が性能が劣化していることがわかる。これは,Case 51

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図 5.1:Case i) 1段階目の特異値プロット 図 5.2:Case i) 2段階目の特異値プロット

図 5.3:Case ii)の特異値プロット 図 5.4:Case iii)の特異値プロット

図 5.5:提案手法の特異値プロット 図 5.6:推定した相補感度関数

i)では相補感度関数を同定しており,図5.6からわかるように,101rad/s以下の周波 数領域で同定結果に少し誤差が生じていることがわかる。よって,観測雑音の影響を除 去した仮想誤差信号e(k)˜ を生成した際,同定結果の誤差分が雑音として残るので,性

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図 5.7: 制御器のゲイン線図

図 5.8: 設計後の閉ループシステムのステップ応答

能が劣化したと考えられる。

Case ii) とCL-MOESP法に基づくデータ駆動型制御器設計法を比較すると,図5.7

からはCase ii)の方は,同定精度が劣化していることがわかる。また,図5.8,表5.1か らわかるように,Case ii) は近似式を用いて,観測雑音の影響を除去した行列Zr+1,N

を生成しているので,性能が大きく劣化していることがわかる。

CL-MOESP法に基づくデータ駆動型制御器設計法は,図5.8,表5.1からわかるよ

うに,Case iii) に最も近い性能を得れていることがわかる。以上より,CL-MOESP法

に基づくデータ駆動型制御器設計法の有効性が確認できた。

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表 5.2: 評価値 JOE

手法 Case i) Case ii) Case iii) 提案手法

評価値 82.36 88.98 64.82 74.53

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