第 3 章 信号抑制フィードフォワードノイズキャンセル低雑音増幅器の提案
4.3 シミュレーション検討
図 4-3 にシミュレーション回路を示す。シミュレーションにはCadence 社Spectre TSMC 0.90µmCMOSプロセスを用いた。各素子の素子値は以下の通りである。CS = C1
= C2 = 1nF, (W/L)Mia = 30µm/130nm, (W/L)Mib = 51.4µm/130nm, VDD1 = 1.2V, (W/L)M3 = 25µm/130nm, VDD2 = 1.5V, RB1 = RB2 = 50kΩ, VB1 = 536mV, VB2 = 1.2V, Cf1 = 111fF, Cf2 = 1pF, (W/L)M2はノイズキャンセルアンプAv,cの利得を変化させるため適宜調整し た。Cf1およびCf2の値はvx = 9.2va (f = 851MHz時)となるように設定した。式(4-5)よ り導出されるノイズキャンセル条件はω = 0のときAv,c = gm2/gm3 = 8である。
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図4-3 提案回路のシミュレーション回路
図4-4 提案回路の雑音解析用シミュレーション回路
ノイズキャンセルの検証を行った。ノイズキャンセル検証用のシミュレーション回路 を図4-4に示す。図 4-4では入力をMiaのチャネル雑音電流源モデルであるin,Miaとし た。このとき出力電圧が in,Miaによる出力雑音電圧 vn,o,Miaとなる。Av,cを変化させたと きの図4-3におけるNF、図4-4における出力雑音電圧vn,o,Miaをシミュレーションした。
図 4-5 にシミュレーションを示す。NF では明確なキャンセル点が分かりにくいが、
vn,o,MiaではAv,c=7.1程度で最低値となっており、計算値とやや誤差があるがキャンセル
点を確認できた。
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図4-5 提案回路のAv,cに対するNFとvn,o,Mia[dB]のシミュレーション結果
図4-6 提案回路の各Av,cにおけるS11[dB], S21[dB], NFの 周波数特性のシミュレーション結果
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各 Av,cにおける周波数特性を図4-6に示す。S21に注目する。Av,cを大きくしてい くと利得が下がっていくことが分かる。これはgm2を大きくすることにより、gm3と1/gm2
によるソースフォロワー(図2-4参照)の利得が下がることが原因である。
次に従来のフィードフォワードノイズキャンセルLNAとの比較を行った。図4-7に 比較用の従来のフィードフォワード型ノイズキャンセルLNAのシミュレーション回路 を示す。容量帰還型フィードフォワードノイズキャンセルLNAと比較を行うため、メ インアンプ段の帰還部に容量Cf1, Cf2を追加した。パラメータは VB1および(W/L)M3を 除いて前述のシミュレーションと同様のものを使用した。VB1=600mVとした。(W/L)M3
はノイズキャンセルアンプの利得に応じたものに再調整した。式(2-7)より導出される ノイズキャンセル条件はAv,c=8である。シミュレーション結果を図4-8, 4-9に示す。図 4-8によりシミュレーションにおけるノイズキャンセル条件がAv,c=8.4であることが分 かる。
(a)従来回路のシミュレーション回路
(b)従来回路の雑音解析用のシミュレーション回路
図4-7 比較用の従来型フィードフォワード型ノイズキャンセルLNAの回路図
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図4-8 従来回路のAv,cに対するNF[dB]およびvn,o,Mia[dB]のシミュレーション結果
図4-9 Av,cを変化させたときの従来回路における周波数特性の
シミュレーション結果(周波数特性)
以上のシミュレーションを踏まえて、提案回路と従来回路の Av,cに対する消費電力、
NF, S21, S11の比較を図4-10に示す。提案回路のほうがAv,cの変化に対して消費電力
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が抑えられていることがわかる。しかしNFは従来回路のほうがすぐれている。これは S21(利得)で差が付いたためである(一般的にS21が大きいほうがNFが小さくなる)。
図4-10 提案回路と従来回路の比較
(Av,cに対する消費電力[mW], NF[dB], S21[dB], S22[dB].)
図4-11 キャンセル点における提案回路と従来回路とメインアンプ単体の周波数特性
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表4-1 ノイズキャンセル点における提案回路と従来回路の比較
𝑎𝐹𝑂𝑀 = [𝑎𝑏𝑠] ∙ 𝐼𝐼𝑃3[𝑚𝑊] ∙ 𝑊[ 𝐻𝑧]
𝑃𝑜𝑤𝑒𝑟[𝑚𝑊] ∙ ( 𝐹 − 1)[𝑎𝑏𝑠] [1 ]
ノイズキャンセル点(提案回路では Av,c=7.1, 従来回路では Av,c=8.4)での周波数特 性の比較を図4-11に示す。また表4-1にノイズキャンセル点における特性値の比較を 示す。本シミュレーションにおいては提案回路:FOM=9.53, 従来回路:FOM=2.08 とな り、提案回路の有用性を示すことができた。