3. 開発手法の評価方法
3.5. シミュレーション撮像データから得られた再構成画像の評価
再構成画像の解像度を表す空間分解能を評価するために、格子状に配置された点線源
の、GREI-IIによる撮像を想定したモンテカルロシミュレーションを実施した。一般に
ML-EM法等の統計的な逐次近似画像再構成法では、単一の点状の線源に対しては、画像
が良好に収束することが知られており、実効的な空間分解能評価には不適である。そこ で、実施したシミュレーションでは、再構成される各点像が、近傍の点像から影響を受け る、3次元的に配置された複数の点線源の撮像を想定した。
3.5.1.シミュレーションの実施条件
Figure 11に、実施したシミュレーションにおける線源配置を示す。10 mmの間隔でx、
y、z方向それぞれに3×4×2の、同じ放射能の線源を配置した。線源から放出される光 子のエネルギーはそれぞれ511 keVと1116 keVである。後述するように、これらの光子 エネルギーは、担がんマウスの撮像実験で使用された放射性同位体 (64Cuと65Zn) に対応
している (3.7.1項) 。再構成に用いられた有効な測定事象の数は、511 keVの場合
9.2×105であり、1116 keVの場合1.8×105であった。
モンテカルロシミュレーションには、ソフトウェアツールキットGEANT4を用いた。
シミュレーションには、Doppler boradeningの確率的な振る舞いを再現するGEANT4 low energy Compton scattering (G4LECS) package [56]を用いた。G4LECSにおけるDoppler
boradeningによる散乱光子エネルギーの不確実性の計算は、Namitoらによって行われたシ
ミュレーションツールEGS4におけるDoppler broadeningの実装 [47]に則っており、本研 究と同様にBiggsらによる理論計算によって求められたCompton profileが使用されている [55]。
3.5.2.空間分解能の評価
再構成画像の空間分解能の評価は、Table 6に示す (a)-(d) の再構成条件それぞれによっ て得られた、格子状点線源の画像における各点像の、空間的な広がりの評価によって行っ た。各点像の広がりはyおよびz方向のFWHMにより評価した。FWHMの計測は、統計 的変動を抑制するために、計測したいFWHMの方向に対して、垂直に隣接する
7 mm×7 mmの画素を合計した線上で行った。この線上において、合計された画素値に
対するGaussian fittingを行い、その分布プロファイルからFWHMを求めた。垂直な方向
の隣接の距離を7 mmとしたのは、線源が存在する座標を中心に設けるマージンとして、
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検出器の固有位置検出分解能の大きさ (ストリップピッチ) である3 mmを設定したため である。格子状点線源の再構成画像のスライスも、このマージンに対応させ、7 mmとし た。
3.5.3.再構成された点像の位置および画素値復元の位置依存性評価
再構成画像の各点像は、(シミュレーションの設定から) 真の位置が既知である。その ため、各再構成画像において、再構成された点像の位置と真の位置の偏差から、画像の歪 みを評価した。
シミュレーションでは全ての点線源の放射能強度は同一であるため、各点像の画素値か ら、画素値復元の位置依存性を評価した。
Figure 11モンテカルロシミュレーションで想定した検出器と線源の配置
図中の2つの検出器はGREI-IIを構成するゲルマニウム半導体検出器を想定した。線源は3次元の 格子状に配置された点線源である。シミュレーションは線源から放出する光子エネルギーを511 keV、1116 keVと変えて2回実施した。
58 3.5.4.反復計算の停止条件
この格子状線源のシミュレーションデータを用いた画像再構成に限り、反復計算の停止 基準を設定した。すなわち、格子状に配置された点線源の、各再構成画像における点像の 広がりの変化率が、以下に示す式を満たした場合に反復計算を停止した:
𝑅(𝑙−1)
̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅ − 𝑅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅(𝑙) 𝑅(𝑙−1)
̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅ < 0.05%. (119)
∵ 𝑅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅(𝑙) = 1
3𝑁p∑(𝑅𝑥,𝑛(𝑙) +𝑅𝑦,𝑛(𝑙) +𝑅𝑧,𝑛(𝑙))
𝑁𝑝
𝑛
.
ここで、𝑅𝑥,𝑛(𝑙) , 𝑅𝑦,𝑛(𝑙) , および𝑅𝑧,𝑛(𝑙) は、𝑛で示される各点像の𝑙回目の反復計算におけるx-, y-, z-方向それぞれのFWHMを表す。𝑁𝑝は撮像対象の点像の数である。ここで示されている 計算の停止条件は全点像の3方向すべてのFWHM平均値である𝑅̅̅̅̅̅̅̅̅̅̅(𝑙)が、𝑙回目と𝑙 −1回目 の反復計算で0.05%.未満の変化率となった場合である。
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