第4章では、現況シミュレーションを再現し考察した。その結果、県道54号の渋滞要因に 高田橋際交差点における信号サイクルが現状の交通流に適合していないことが考えられた。
そこで本章では、交通改善代替案として高田橋際交差点の信号サイクルの変更を考える。
具体的には、信号制御様式を3ケース設定し、各ケースで高田橋周辺地区に着目した交通流 の再現を試みる。交通に及ぽす影響を比較評価することで最適なケースを選定する。続いて、
選定した信号様式が現在の県道54号、および将来の県道54号に適用した場合の影響を明ら かにするため、4っのシナリオを設定する。
5−1 改善代替案の設定
高田橋周辺地区と上田名地区における交通渋滞の要因として、高田橋際交差点の信号サイ クルに着眼した(図5−1−1)。現況の信号現示はサイクル長が101秒、スプリットは青時間55 秒、赤時間43秒の固定式である。橋梁脇に位置する交差点で交通需要が特に逼迫すること、
また他交差点との相対的比較からも現況のスプリットの値が適しているとは考え難い。
そこで改善代替案として、交通需要の逼迫している県道54号を基本的に青時間に設定し、
相模川沿道を基本的に赤時間と設定することを提案する。詳細を以下①〜⑤に示す。
鰐、◎\㌧\、、.r
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A @
,\ ・ 、@
図5−1−1高田橋際交差点の位置
①県道54号は常に青時間、相模川沿道は常に赤時間を持続する。
②相模川沿道に自動車が滞留したときにのみ、青時問を設けることとする。
③その際の相模川沿道の青時間長は15秒とし、滞留車の有無に関わらず15秒経過後は赤 時問に切り替えることとする。
④相模川沿道の滞留車が15秒で捌ききれていない場合、県道54号の青時間を維持する最 小時間(MinimumGreenTime以下、M、GTとする)を15秒、30秒、45秒と設定する。
⑤上記④で示したM.GTをCase I〜3、現況の制御方法をCase Oと設定し、現況との変化 を比較評価する。比較した結果、最も効果的なCaseを改善代替案として採用し施策とし て導入する(表54−1)。
表5一レ1信号制御様式の設定 Case no. 青時間 評価指標
Case O 現況再現 交通量
均遅れ時間 大遅れ時間 平均速度
Case1
15秒Case2
30秒Case3
45秒評価指標として、通過台数(NumberofVehicles)、平均総遅れ時問(AverageTotalDelayT呈me)、
最大遅れ時間(Maximum Delay Time)、平均速度(Average Speed)の4指標を用いた。
表5−1−2に使用した指標とその概要を示す。
表5−1−2 指標のまとめ
指標 交通量 平均遅れ時間 最大遅れ時間 平均速度 滞留長 旅行時間
指標の内容 トリップ数 渋滞遅れ時間 渋滞遅れ時間 一定区間の平 均時速
自動車の行列 の長さ
移動に要する 時間
指標の適用目的 捌いた交通量 の把握
渋滞に巻き込まれ遅 た平均時間の把握
最も被害を被った の遅れ時間の把 握
指定リンクを通 する際の速 度の把握
青時間でも進 ず渋滞して る距離の把 握
指定リンクを通 するのに必 とする時間
の把握 指標の値が高い場
合 ○ × ×
O
× X指標の値が低い場
合 X ○ ○ X ○
O
5−2 シミュレーション分析の方法 シミュレーション分析の方法を示す。
高田橋際交差点、相模川沿道に車輌探知機を設置し、車輌存在の有無を確認する(図5−24)。
車輌の存在を確認した場合にのみ、赤時間から青時問に切り替える信号制御プログラムを組 み込む。つまり、探知機の上に車輌が載っていなければ、県道54号は常に青時間を表示し続
ける。
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図5−2−1 高田橋際交差点
高田橋際交差点を構成する各リンクにデータコレクションポイントを設け、通過台数、渋滞 による平均総遅れ時間、最大遅れ時間、平均速度を測定する(Approximation l、Approximation 2、Approximation3、 Approximation4)。
シミュレーション分析の結果を次に示す。
5−3 シミュレーション分析の結果
シミュレーション分析の結果を示す(表5−3−1)。信号制御様式の変更が、県道54号と交錯 する相模川沿道にも影響を及ぽすことは明らかであるが、相模川沿道における分析は改善代 替案施行後に示すこととし、ここでは県道54号に着眼し整理した結果を示す。
表5−3−1改善代替案の検討一各Caseの比較一
Measur. from to NumberVeh Dlstance QueueDeIayTime Speed Mean Mean Minimum Maximum Mean
Case O l Present aIlveh.象ypes a旺veh.typesIIveh.type llveh.type aIIveh.typesa瞳veh,types
1 0 4800 338 2804.4 70.2 o 306 24.4
1 1800 3600 394 2785.8 78.2 o 256.6 23.9
1 3600 5400 402 2568.6 肇36.8 ◎ 330.2 24.5
1 5400 7200 324 2318.8 295.2 71.4 ε9菰2 23
1 7200 9000 444 2379.1 336.5 28 726 23.6
1 9000 {0800 404 2548.4 298.5 55.6 554.4 23.6
Case1 15sec
1 0 歪800 287 2794.4 喋20.2 1 342』4 22.8
1 1800 3600 351 2803.4 264.5 64 482お 22.9
1 3600 5400 342 2550.6 384.7 68.6 9講4.8 23.1
1 5400 7200 318 2560.7 6{5 63 2297.2 22.7
1 7200 9000 162 2356.5 783.4 78 司965 23.1
1 9000 {0800 28 2012.6 蓬65潮 葉01ア.2 2{ 38 22.8
Case2=30sec
1 0 {800 338 2792.2 63.3 o 323.6 23.9
1 1800 3600 390 2795.2 65.4 o 258.4 23.7
1 3600 5400 432 2557.5 9湖.4 o 247 24
1 5400 7200 414 2352.7 go G 33週.6 22.6
1 7200 9000 423 2405.4 57.7 登 窪98.8 24
1 9000 歪0800 405 2554.6 71.4 o 262.4 23
Case3=45sec
1 0 1800 344 280て.5 61.2 o 302.6 24.1 1 墨800 3600 382 2795.7 62.5 o 240.4 24.4
1 3600 5400 441 2555.3 65.2 o 219.8 24.2
1 5400 7200 406 2334.3 64.2 o 481.8 23.7
1 7200 9000 435 2417.9 57.6 o 943 24.4
1 9000 て0800 390 25ア1.4 61.9 o 256.2 23.8
交通量調査より朝のピーク時間帯である6時から9時の3時問を対象30分間隔で時間を区 切り算出をした。NumberVeh.と記載されているのは、図5−2−1高田橋際交差点の
Approximation lを通過した交通量であり、乗用車、トラック、オートバイを含んだものであ
る。
5−4シミュレーション分析の考察
シミュレーション分析の結果をうけて考察を示す。
図5−4−1より、Case1の場合はCase Oと比較して通過した台数が大きく減少していることが わかる。交通量需要に変化はないことを踏まえると、充分な供給がなされていない、っまり 需要を捌ききれていないことが判断できる。