• 検索結果がありません。

シミュレーションによる検証

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 82-89)

第 5 章 JARoW によるシミュレーションと実機実験

5.2 PID 制御法の検証実験

5.4.1 シミュレーションによる検証

74 5.4 粒子フィルタを用いた PID_VEP 制御法による検証実験

前章4.6節に示した,粒子フィルタによる使用者の歩行速度を推定・予測した,PID_VEP 速度制御法による,シミュレーションと実機実験の結果を示す.

75

図5.19 シミュレーションによる推定結果【縦軸:(1)右足の相対移動量(m),(2)左足の相対

移動量(m),(3)右足の速度(m/sec),(4)左足の速度(m/sec),(5)右足の相対移動量(m),(6)左足 の相対移動量(m),横軸:時間(sec)】

76

図5.20 シミュレーションによる予測結果【縦軸:(1)右足の相対移動量(m),(2)左足の相対

移動量(m),(3)右足の速度(m/sec),(4)左足の速度(m/sec),(5)右足の相対移動量(m),(6)左足 の相対移動量(m),横軸:時間(sec)】

77

5.4.2 実機による検証実験(1)

PID_VEP制御法による効果を確かめるため,PID制御法と比較を行った.図5.21は

PID_VEP制御法による,実際に観測されたセンサデータより推定した体中心位置と,その

予測位置を示している.各図は,JARoWの上面図を示しており,(1)は初期状態を,(2)停止

状態,(3)および(4)前進移動状態における体中心推定位置(緑印),体中心予測位置(青印),両

足測定位置(赤印)をそれぞれ示している.停止状態において,予測位置と推定位置はほぼ一 致している.次に,前進歩行中においては,前進方向の前方に予測位置が出ているのがわ かる.

図5.21 実観測データによる体中心位置の推定と予測結果

(1)初期状態(2)停止状態(3)および(4)前進移動状態

78

5.4.3 実機による検証実験(2)

次に,PID_VEP制御法とPID制御法との比較に関する実験を行う.

・速度比較実験

まず,使用者の歩行に合わせたJARoWの移動を,速度の観点で検証する実験を行った.

使用者,JARoWともに加速度センサを取り付け,その歩行中の速度比較を行った.実験は,

30mの平面で構成された移動区間を設定し,10回以上歩行実験を行いデータ収集した.図

5.22(a)にPID_VEP制御法による歩行実験の結果の一部を,(b)にPID制御法による歩行実験

の結果の一部をそれぞれ示す.図5.23は,これらの統計データをまとめたものである.

PID_VEP制御法は,PID制御法に比べて速度変化が穏やかで,急激な変化はほとんど見受

けられない.PID制御法も追従性は決して悪くないが,速度変化が大きく出ることを観測し

た.図5.22(b)はその一例で,7秒~10秒のあたりで遅れが出ると,その差を埋めるため12

秒~17秒において急激な速度変化を示す結果となった.実際のJARoW動きとしては振動を 伴う唐突な動きとして現れる.

図5.22 使用者の歩行速度とJARoWの移動速度比較(a)使用者の移動速度(黒線)とPID_VEP

制御法を用いたJARoWの移動速度(青線),(b) 使用者の移動速度(黒線)とPID制御法を用い

たJARoWの移動速度(赤線)【縦軸:移動速度(m/sec),横軸:時間(sec)】

79

図5.23 速度比較実験における統計データ:▲最大値,▼最小値,○平均値,エラーバー

5%~95%,ボックス25%~75%【縦軸:移動速度(m/sec),横軸:(青)PID_VEP制御 法を用いたJARoWの移動速度,(赤) PID制御法を用いたJARoWの移動速度,(黒)使用者の

移動速度】

・移動距離比較実験

次に,停止状態から徐々に速度を上げたときのJARoWの移動距離を計測する実験を行っ

た.図5.24(a)PID_VEP制御法,(b)にPID制御法による結果をそれぞれ示す.なお,(b)に示

すデータは,急激な速度変化が起きたときの結果である.このように急激な速度変化が起 こる原因として,様々な要因により起こりうる,足位置の観測エラーの問題が挙げられる.

これらのエラーは約0.1秒ごとに更新されるため,使用者の移動に対してJARoWが追従す ること自体に大きな問題とはならない.しかしながら,このデータからもわかるように,

PID制御法に比べPID_VEP制御法の方が,使用者の歩行に対して滑らかに追従していると 言える.

80

図5.24 使用者の移動距離とJARoWの移動距離比較:(赤線)使用者の移動距離(黒線)

使用者の移動に追従するJARoWの移動距離(a)PID_VEP制御法(b)PID制御法【縦軸:移動 距離(cm),横軸:使用者のステップ数(歩)】

5.4.4 考察

これまでの実験で,PID制御法を用いたJARoWの前進歩行での追従率は約80%であるこ とを示してきた.これは歩行中の8割が使用者の移動距離に対して,誤差20mm以内で追 従していることを示している.しかしながら,歩行中の2割は,追従性に違和感を覚える ということである.この違和感は,使用者の歩行に対しJARoWの追従が20mm以上開いた ときと定義される.これは,前項の図5.24(b)で示した急激な速度変化などにより,データ として示すこともできる.

これに対して,パーティクルフィルタを用い,使用者の歩行を推定・予測したPID_VEP 制御法では,前進移動の追従率は91.3%となった.PID制御法に比べ,使用者への追従性能 が向上したことで,パーティクルフィルタによる使用者の歩行推定・予測の効果があった といえる.これらの実験は,すべて20代の男性被験者による結果である.次節では,高齢 者による歩行実験を行い,若年被験者との比較を含めてJARoWの検証実験を行う.

81

5.5 高齢者による評価歩行実験

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 82-89)