85
することができる。擬似酵素システムによる自動酸化反応を使った、PS などのプラスチッ クの分解と同じ機構で切断が起こっていることが確認できた。上の結果より、塗布型擬似酵 素システムを使えば、プラスチックおよび木粉の同時分解が可能であることが確認できた。
3.9 塗布型擬似酵素システムを用いて PP のオリゴマー化アップグレードリサイクルの検
86 リゴマーは Mw=3.8×103、分子量分布が 2.3 であり、比較的分布の狭いものであった。
しかしながら、曲線は 1 万以上の高分子量 域にも広がっており、高分子量成分も持っ ていた。Fig. 93にPPオリゴマー添加有り無 しのIRスペクトルを示す。PPオリゴマーを 添加すると1745 cm-1にエステル基帰属され る新しいピークが出現した。これはセルロ ース表面のOH基がPPオリゴマー鎖の親水 性基と反応して生成したものである 25)。 これは、PPオリゴマーが反応性の相容化剤 としてMFC表面と反応・界面特性の改善を 行えることを示した。PP(70%)/MFC(30%)お
よ
び PP(69%)/MFC(30%)/PP オ リ ゴ マ ー(0.75%)の 断 面 の SEM 写 真 を Fig. 94 に 示 す 。
PP(70%)/MFC(30%)ではMFC同士の多数の絡み合い(凝集)が観測された。またMFCの繊
維が明確に確認できた。これらの傾向は典型的な界面接着性に乏しい複合材料に見られる挙 動であった。一方、PP オリゴマーをわずか 0.75%添加しただけでこれらの挙動は観測され なくなった。MFC の繊維表面がPP オリゴマーとの反応により疎水化され、PP マトリック スが付着しているように見えた。そのため、はっきりとした繊維は観察し難くなり、絡み合
102 103 104 105
Mw
回収10%
Mw=3.8×103 Mw/Mn=2.3
Fig. 92 塗布型擬似酵素システム(TiO2/PEO/ML)を 用いて作製したPPオリゴマーの微分分子量曲線
0.3
0.2
0.1
2000 1800 1600
Wavenumber (cm-1)
Abs.
1745cm-1
C O
PPオリゴマー
O
セルロース
Fig. 93 各PP/MFCフィルムのIRスペクトル 0.35
0.25
0.15
2000 1800 1600
Wavenumber(cm-1)
Abs.
1745cm-1
PP(70%)/MFC(30%)
PP(68%)/MFC(30%) /PPオリゴマー(2.5%)
87
いは見えなかった。PP オリゴマーは優れた相容化剤として働いていることが確認できた。
Fig. 95に示すように、PPオリゴマーを少量(0.75%)添加するとヤング率は約3倍上昇し、
界面の強度が改善された。以上の結果から、PP オリゴマーは、PP/MWNT 複合材用の相溶 化剤として有効であることが分かった。擬似酵素システムを使うことで、廃PP材を高価値 な相容化剤に転換するアップグレードリサイクルが可能であることを確認した。
Fig. 95 PP(70%)/MFC(70%)フィルムのヤング率対するPPオリゴマー の添加効果
0 100 200 300 400 500 600 700
0 0.75 2.5
Y oung’ s m odul us (M Pa )
Loading amount of PP oligomer (%)
PP(70%)/MFC(30%)
50 μm
PP(69 %)/MFC(30%)/PPオリゴマー(0.75%)
50 μm
Fig. 94 各PP/MFC表面のSEM
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