• 検索結果がありません。

3.4 サービス視点からの社会インフラサービスの

図 3-6 サービス・エンカウンターをベースにした鉄道事業サービスモデル

図 3-6のモデルにおいて、コアプロダクトである輸送サービスのインタラクション は下部に、補完的サービスのインタラクションは上部に示している。補完的サービス は、駅スタッフや店舗スタッフ等とCustomerの間のインタラクションによってサー ビスが実行されるが、ここではCustomerの満足度をスタッフが直接測ることができ、

その結果を再びサービスに活かすことができる。そして、そのポジティブなループに より価値の共創が起こりCustomerの満足度が増大していく。まさに、サービス・プ ロフィット・チェーンのモデルに合致する。

図 3-7 鉄道事業サービスモデルの説明不能要素

コアプロダクト部分について評価する。前節までで述べたように、鉄道輸送サービ スはコアプロダクトである。そして、このコアプロダクトがCustomerと接している のは車両や駅といった設備である。Customer は、社会インフラである鉄道輸送サー ビスに対して、日々ダイヤ通り変わることなく運行されている限り、それを身近で当 たり前のものとして利用しているため、利用するその都度満足感を表明することは希 である。仮に表明してもそのCustomer とFront Stageで接している(「真実の瞬間」

を共有している)のは人間ではなく設備なのである。従って、コアプロダクトのサー ビスによって、Customer の価値を Provider が把握することは困難であることが分 かる。その価値を知るべきメンテナンススタッフは、3.2節で述べたようにCustomer とのインタラクションの機会に乏しく、「真実の瞬間」を得ることは難しい。更に、

そのバックヤードにいる研究開発部門においてはもはやインタラクションすらほと んど存在しない。これは、鉄道サービスのコアプロダクトサービスにおいて、既存の サービス・プロフィット・チェーンモデル、サービス・エンカウンターモデルが適用 できないことを意味する(図 3-7)。

日本の鉄道事業者においては、同一企業グループがコアプロダクトと補完的サービ スを担っていることが多い。相互に関連し合いながら同じCustomerに価値を提供し ている。よって、全体的には「Customerの満足度を向上させるサービスを提供する」

という目標に対し従業員が一丸となって取り組んでいることに間違いはないが、コア プロダクトを担うメンテナンススタッフが顧客価値(Customer’s Value)を直接感じる ことが困難であるという歯がゆさがこのモデルに現れている。

一方、実際の鉄道事業者内の関係者の意識・行動を鑑みると、鉄道の安全・安定輸 送のために日夜業務に励み、そのおかげで世界にも類を見ない正確さで安全な列車運 行が毎日変わることなく実現している。2.2 節で述べたように、日本の鉄道は、痛ま しい事故も度々発生したがその都度技術の進展により、安全・安定・高速・高頻度・

大量という風に鉄道輸送サービスの質を確実に上げてきた。単なる義務や命令だけで 実現しているのではなく、ここには何らかの価値共創の仕組みが存在しているものと 考える。

第 4 章

SISLA モデルの提案