高速化に関する考察
3 . 1 緒 言
一 般 的 にNC工 作 機 械 を 導 入 す る 際 に は , 対 象 と す る 加 工 部 品 の 物 理 的 な 大きさを考慮するだけでなく,切削時間がサイクルタイムの
7
,,‑,8
割を占める ような機械仕様を有する機種が選定されることが多い.これは加工対象部品 によって加工工程や加工条件が異なるからである.さらに、生産財であるマ シニングセンタ( M C )
ではコストパフォーマンスも重要な選定基準となる.し たがって,MC
の高速化,高能率化を図る際にも,むやみに高性能化をめざし た過剰な仕様になることなく,加工対象に適した機械仕様の選定が必要であ ると考えられる.そこで本章では加工工程,加工条件が異なる代表例として,航空機部品,自動車部品,そして工作機械部品を取り上げ,それぞれの部品を 加 工 対 象 と し た
MC
にとって望ましい機械仕様とは何かについて生産性の観 点から考察する.具体的には,第2章で開発したシミュレータを用いて,主軸 の最高回転数,起動停止時間,送り駆動系の最大送り速震と加速度などの機 械仕様の変更がそれぞれの部品加工のサイクルタイム短縮に及ぼす効果を解 析する 30)3 . 2 航空機部品の加工に関するサイクルタイム分析
航空機部品はアルミニウム合金ブロックからの自JIり出しによって製作される ので,エンドミルを用いた輪郭制御による切削時間がサイクルタイムに占め る割合が非常に大きい.一方,ドリルやタップによる穴加工などは比較的少 ないために穴から穴への位量決め時間はわずかである.また,使用する工具 の本数が比較的少なく,工具交換はあまり行われない.このことは第2章の図
2 . 6
に示した航空機部品の加工におけるサイクルタイム分析結果である図2 . 7
により確認できる.したがって,上述した航空機部品のような特徴を持つ部品を加工する
M C
に おいては,位置決め速度の向上などによる高速化はあまり効果的でなく,切 削時間の短縮を図る必要があると考えられる.そこで,このことを検証する ために第2
章の図2 . 6
に示した航空機部品の加工を例にとりあげ,M C
の機械 仕様の高速化とサイクルタイムとの関係を解析する.3 . 2 . 1 送り駆動系最大送り速度の向上
これまでの
M C
の高速化においては位震決め時間等の非切削時間の短縮を 期待して,送り駆動系ならびに自動工具交換( A T C )
装置の高速化が歯られて いるが,必ずしもその効果が定量的に予測されているとは言えない.そこで,顕
2 . 6
の 航 空 機 部 品 を 最 大 送 り 速 度 の 異 な るM C
で 加 工 し た と き の サ イ ク ル タイムのシミュレーション結果を図3 . 1
に示す. ここでは比較しやすいように 位 遣 決 め 時 間 の 部 分 を 拡 大 し て 示 し て い る . 醤3 . 1
は第2
章 で 示 し た 従 来 機 (表2 . 6 )
の最大送り速度(Xy
軸3 0 m/min
,Z
軸1 8 m/min)
をXYZ
軸すべてを9 0 m/min
まで高速化した場合である.図3 . 1
より明らかなように高速化によっ ても位置決め時間(左から2
番目のパラメータ)は従来機の4 4 s
から4 1 s
へと3
S,7
%ほどしか短縮されておらず,シミュレータの計算精度を考えるとほと んど効果がないことがわかる(他の動作時間は当然のことながら全く変化し ていない)•圏Cutting~ Positioning圏Spindlecontrol冨Autotool change !!iIill M code Total = 1149 5
Total = 1146 5 Total = 11475
Total出 11465 X, Y出 30.Z詰 18
XYZ需 40
XYZ=60
XYZ=90
C一
E¥ Eg
刀g
mU 2E
コE
一 ×
ω三
1200 1150
1100 1050
1000
Time s
Effect of maximum feedrate on cycle time Figure 3.1
40
30
20
10
ω︺
40 0一 心
OZ
﹄O﹂φDEコZ
600 500
400 200 300
Positioning distance 100
。 。
作1行1
Histogram of positioning distance Figure 3.2
こ の こ と の 理 由 を 探 る た め に 位 置 決 め の 動 作 距 離 と そ の 頻 度 を 調 べ た 結 果 を図
3 . 2
に示す.ここで2
軸以上による位置決め動作の距離は,XYZ
各 軸 の 最 も 長 い も の で 代 表 し た . 送 り 駆 動 系 の 加 速 度 が 従 来 機 の 仕 様 で あ る3.5m/S2
のとき,例えば最大送り速度3 0m/min
に到達するには72mm
以上,最大送り 速 度9 0m/min
に 到 達 す る に は643m m
以 上 も の 動 作 距 離 が 必 要 で あ る . し かしながら,鴎
3 . 2
は全位蜜決め回数1 6 2
回のうち70mm
以 下 の 短 距 離 の 位 置 決 め回数が1 1 6
回,7 2
%であることを示している.したがって,設定された最大 送 り 速 度 に 達 す る 位 置 決 め が 行 わ れ て い る の は ほ ん の わ ず か で あ る こ と が 読 み と れ , 送 り 駆 動 系 の 高 速 化 だ け で は 位 寵 決 め 時 間 は ほ と ん ど 短 縮 さ れ な いことが理解できる.
3 . 2 . 2 送り駆動系加速度の向上
送り駆動系の加速度を大きくする(高加減速化を図る)ことで,比較的短距 離 の 位 置 決 め で も 最 大 送 り 速 度 に 達 す る よ う に な る の で 位 霞 決 め 時 間 の 短 縮 が 期 待 さ れ る . そ こ で 最 大 送 り 速 度 を 従 来 機 と 同 じ に し て , 送 り 駆 動 系 の 加 速 度 を 従 来 の
3 . 5m/s2
から2 5m/s2まで変化させてみた.その結果を国 3 . 3
に示す.加速度を
1 0m/s2
程度に増加させることで,期待どおり位置決め時間 は従来機の44s
から3 4s
へと2 3
%短縮されている.しかしながら図3 . 3
はこれ 以 上 に 加 速 度 を 大 き く し で も あ ま り 位 置 決 め 時 間 は 短 縮 さ れ な い こ と も 示 し ている.そこで最大送り速度を
3 0m/min
から1 2 0m/min
まで,また加速度を3 . 5m/s2
から2 5m/s2
ま で そ れ ぞ れ 変 化 さ せ た と き の 位 置 決 め 時 間 の 変 化 を 国3
.4に示 す.従来機では44s
で、あった位置決め持問は,最大送り速度を6 0m/min
,加速 度を1 0m/s2
とすることで,2 9 s
となり34
%短縮されていることがわかる.最 大 送 り 速 度 と 加 速 度 を よ り 一 層 高 め る こ と で 位 霊 決 め 時 間 は さ ら に 短 縮 さ れ る . し か し な が ら , そ の 効 果 は 次 第 に 小 さ く な る の で 送 り 駆 動 系 の コ ス ト も 考 慮 す る と 上 記 の 速 度 , 加 速 度 が 有 利 な 選 択 と 考 え ら れ る . こ の よ う に 位 置 決 め 時 間 の 効 果 的 な 短 縮 に は , 位 置 決 め 距 離 と そ の 頻 度 を 考 慮 し た 最 大 送 り璽Cutting圏 内si世oning圏Spindleco巾01醤A凶0"1<∞Ichange田Mcode
N 、U、、E3 3.5 Total
=
1149 s(j)
5
Q)
〉 Total = 1143 s
.;;:: てコ
てコQ) 10 Total
=
1135 s、 や
。ー
崎側関O 15 Total = 1133 s
乙 O
(u
L幅 20 Total = 1131 s
Q)
Q) 25
ιJ
〈仁J Total = 1130 s
950 1000 1050 1100 1150 1200 Time s
Figure 3.3 Effect of acceleration on cycle time
50 40
(/) (l)