企業は単に利益を上げるだけではなく、社会のルール に則り、自らを律して社業の発展を図るとともに、社会に 貢献することが強く求められており、当社グループでは、
これに応えるためにコンプライアンスを徹底することが 不可欠と考えています。社員にコンプライアンスマイン ドを浸透・定着させることを重視し、日ごろより社員同士 が双方向のコミュニケーションを通してチームワークよく 協働できるよう、全社をあげて取り組んでいますが、コン プライアンスの定着に近道はありません。地道にかつ着 実に施 策を繰り返していくことで、さらなるコンプライ アンスの徹底に注力しています。
なお、当社グループは、「双日グループコンプライアン ス・プログラム」でコンプライアンス徹底のための手順を 定めるとともに、「双日グループ・コンプライアンス行動 基準」によりグループ共通のコンプライアンスに関する 行動指針を社員に示しています。
コンプライアンス体制の構築
当社グループは、チーフ・コンプライアンス・オフィサー
（
CCO
）を委員長とするコンプライアンス委員会が中心と なり、本社・グループ連結会社・海外拠点などと連携して、法令・企業倫理などの遵守に向けた活動を行っています。
国内外の拠点およびグループ連結会社にそれぞれコン プライアンス責任者およびその補佐役を置き、各拠点・各 社の体制整備および現地雇用社員までを含めた啓発・研 修活動を行うとともに、海外
5
極では、コンプライアンス委 員会を設置し、委員会の運営や海外各地域でのコンプラ イアンス活動を推進しています。そのほか、CCO
と本社部 門長やグループ連結会社社長との面談や国内グループ連 結会社のコンプライアンス担当者間での連絡会などを通 じてコンプライアンス意識の共有を図るとともに、定期的 に今後の方針についての意見交換を行っています。また、コンプライアンス違反の防止や早期発見に向け ては、
CCO
および社外弁護士へのホットライン（通報制 度）、コンプライアンス委員会事務局につながる相談窓口 および24
時間365
日活用できる多言語対応の「双日エ シックスホットライン」がグループ役職員に周知されてい ます。コンプライアンス徹底に向けた取り組み
コンプライアンスマインドの周知・定着当 社グループでは、グループ 役 職 員を対 象として、
「双日グループコンプライアンス・プログラム」および
「双日グループ・コンプライアンス行動基準」の理解を深 めるための
e-
ラーニング研修、ケーススタディを中心としコンプライアンス
指導 報告
海外地域
グループ連結会社
各極コンプライアンス委員会
各社コンプライアンス委員会
本社
取締役会 経営会議
総支配人・総代表 責任者補佐 総支配人・総代表付管理職 各社責任者 海外現地法人社長
社長
責任者
責任者
責任者補佐 管理部門の管理職など 営業部門 職能部門
責任者 部門長 担当役員 責任者補佐 企画業務室長
職能各部長 各部責任者 営業各部長
委員
・ 専務執行役員 （財経・リスクマネジメント 管掌）
・内部統制統括担当役員
・経営企画担当役員
・人事総務担当役員 事務局
・法務部（コンプライアンス統括課）
社長
分科会
・ 安全保障貿易 委員長：専務執行役員 管理分科会 （財経・リスクマネジメント管掌）
・ 情報セキュリティ 委員長：情報企画担当役員 分科会
コンプライアンス委員会 委員長
・ 法務担当役員（CCO）
■コンプライアンス体制図
する目的で定期的に総点検を実施しています（
2012
年3
月期は本社57
部、海外現地法人などの海外49
拠点お よび国内外のグループ112
社が対象）。過去の点検結 果を踏まえつつ、激しい環境変化に柔軟に対応するべく、毎年、点検項目の見直し、改訂を行い、また、点検結果に ついては、項目ごとに分析を行い、全社的に共有し、類似 の違反を予防することに役立てています。
これまでの総点検の結果では深刻な違反は報告されて いませんが、より効果的な総点検の方法を関連部署と見直 すなど改善に努めるほか、前述の「事例集」を踏まえコンプ ライアンス違反の予防策を整備していく予定です。
腐敗行為防止のための取り組み強化
近年、米国では、公務員への不正な贈答・接待などのい わゆる腐敗行為に対する取り締まりが厳格化しています が、腐敗行為防止への要求水準はグローバルレベルで高 まってきています。そのため、当社グループでは、これま で以上に腐敗行為防止に対して世界統一の高水準な対 応を加速させる必要があると認識しています。
こうした考えの下、当社グループでは、
2011
年12
月よ り法務部内に専任チームを立ち上げ、腐敗防止に向けた取り組みを強化しています。
た集合研修などの各種コンプライアンス研修を実施して いるほか、
2012
年3
月期には「事例集」を改訂し、より個 別の具体的事案を追加するなど解説集としての機能を 充実させ、グループ役職員へ配布しました。また、当社グループは海外においても数多くの拠点を 有しているため、国内だけでなくグローバルレベルでの 周知・徹底も常に意識して対応しています。日本語や英 語を含む
23
言語に行動基準を翻訳し、国内外のグループ 社員がコンプライアンスマインドを共有できるようにする とともに、海外連結グループ会社でIT
環境が整備されて いない会社については集合研修を実施するなど、周知レ ベルの統一を図っています。コンプライアンス総点検の実施
本社、海外拠点および国内外の主要グループ連結会 社を対象に、身の周りのコンプライアンス違反を再確認
■ コンプライアンスホットライン
双日
CCOホットライン
弁護士ホットライン 弁護士
コンプライアンス相談窓口
通報・フィードバック 連絡・調査依頼 報告
調査・連携
コンプライアンス 委員会 委員長（CCO）
社内関係部署 通報者
グループ 役職員
派遣社員 パート アルバイト
を含む 事務局
双日グループ・コンプライアンス行動基準
双日グループの 社会的責任 経営体制
双日の営業戦略
「中期経営計画2014」
で目指すもの パフォーマンス
データ 組織情報 財務セクション
コンプライアンスの徹底へ、
愚直に、そして真正面から取り
“
当社では、コンプライアンスの制度や仕組みが概 ね整備され、施策の取り組みも、他社と比較して遜 色ない水準で実施できつつあると認識しています。
グローバル・コンプライアンスへの取り組みの一環 として、すでに
23
ヵ国語に翻訳した「（改訂版）双日 グループ・コンプライアンス行動基準」をグループ 全社員で共有するなど進化を遂げていますし、世界 共通のホットラインの導入やe-
ラーニング研修の展 開についてもしかりです。コンプライアンスの徹底には、制度・体制の整備 に加えて、コンプラインスマインドの浸透・定着も非 常に重要です。現場から報告されるコンプライアン ス事案の傾向や毎年実施しているコンプライアンス
総点検の結果を見ると、改善を要する報告件数は確 実に減少し、これまでの取り組みが結実しつつあるこ とを実 感して います 。一 方 で 、今 後 は 、サプライ チェーン
CSR
、AEO
（特例輸出入者）認定といった、当社だけでなく関係お取引先と歩調を合わせた取り 組みが要請されることが多くなり、さらに客観的なレ ベル向上を図ることが必要になると理解していま す。つまり、社員一人ひとりが、地道な取り組みを通 して自らのマインドを高めるとともに、関係お取引先 ともそれを共有することで、持続的な発展を目指す ということです。また、これまでグループ企業や営業 部門の各責任者と行ってきた問題意識の共有や意 見交換を
2013
年3
月期も継続し、グループ全体で08 CCO チーフ・コンプライアンス・オフィサー谷口 真一からの宣言
Ten Declarations
組み続ける。
よりそのマインドを高めていく考えです。
「中期経営計画
2014
」では、自らを改革していく ことが最大の挑戦となりますが、こうした改革を行う 上でも一歩進んだコンプライアンスの徹底がその前 提となります。「誠実」な会社を標榜する当社におい て、課題を直視して真正面から取り組むこと、そして コンプライアンスマインドを持って業務を進めること は、大きな武器になるはずです。持続的な発展は、単に当社グループだけがコンプ ライアンス違反を撲滅すれば実現できるわけではあ りません。関係お取引先まで含めた、より高い視点か らコンプライアンスを捉え、その徹底に向けた取り組
みを続けていきます。
”
専務執行役員
CCO 兼リスク管理企画、
リスク管理第一、
リスク管理第二、法務担当