付表2 コンクリートの材料に係わる用語
用 語 説 明
ポルトランドセメン ト
portland cement JIS R 5210
水硬性のカルシウムシリケートを主成分とするクリンカに適量のせっこ うを加え、微粉砕して製造されるセメント。なお、全アルカリ量を0.6% 以下に抑えた低アルカリ形もある。1)
最も一般に使用されているセメントであり、普通、早強、超早強、中庸熱 等がある。2)
注)中庸熱ポルトランドセメント(moderate heat portland cement):水 和熱が、普通ポルトランドセメントより小さくなるように調整された ポルトランドセメント。1)
フライアッシュセメ ント
fly-ash cement JIS R 5213
混合材としてフライアッシュを用いたセメント。1)
フライアッシュをポルトランドセメント、クリンカ及び少量のせっこうと 混合粉砕又はセメントと均一に混合して作った混合セメントの一つ。
水和熱が少なく、初期強度は比較的小さいが長期にわたって強度の増進が 続く等の特徴がある。2)
注)クリンカ(clinker):セメント製造工程において、キルン(窯:kiln)
内で主要成分である珪酸三石灰を得るため、二酸化珪素のほかアルミ ナ、酸化鉄とこれらに相当する多量の酸化カルシウムを有する混合物 をシンター(混合物の一部が溶解すること)するまで焼成して得られ た暗緑色の硬い緻密な焼塊。2)
高炉セメント portland
blast-furnace slag cement
JIS R 5211
混合材として、急冷砕した高炉スラグを用いた混合セメント。1)
高炉スラブの混合量によって、少ない順にA種、B種、C種の3種に分 けられる。2)
注)高炉スラグ(blast-furnace slag):高炉で銑鉄を生産する際、同時に 生成するもので、CaO,SiO2,Al2O3,MgO が主成分で、銑鉄 1t当り約
300kg 生成する。除冷して砕石にしたり、水で急冷(水砕)してセメ
ント原料やコンクリート用混和材などに利用する。「高炉鉱滓」ともい う。2)
混合セメント blended cement
ポルトランドセメントに、急冷砕した高炉スラグ、シリカ質混合材、フラ イアッシュなどの混合材をあらかじめ混合したセメント。1)
骨材 aggregate
モルタル又はコンクリートをつくるために、セメント及び水と練り混ぜる 砂、砂利、砕砂、砕石、その他これらに類似の材料。1)
粒の大きさによって細骨材、粗骨材に分けられる。
細骨材
fine aggregate
10mm網ふるいを全部通り、5mm網ふるいを質量で85%以上通る骨材1)
粗骨材
coarse aggregate
5mm網ふるいに質量で85%以上とどまる骨材1)
添付資料−4−7
付表2 コンクリートの材料に係わる用語
用 語 説 明
アルカリシリカ反応
(性)
alkali-silica reaction (reactivity) (ASR)
骨材中の反応性をもつシリカ(二酸化珪素 SiO2)と、コンクリートに含 まれるアルカリ(Na+,K+ 等)が反応することによって生じた生成物((ア ルカリシリケートゲル(珪酸アルカリゲル))が吸水して膨張し、コンク リートにひび割れなどを生じさせる現象。2)
化学法
chemical method JIS A 1145
骨材の潜在的なアルカリシリカ反応性を調べる化学的試験方法。所定の粒 度に粉砕した骨材試料を1規定苛性ソーダ溶液中で、80℃で反応させ、
その反応量を溶解シリカ量とアルカリ濃度減少量で表し判定する。2)
[反応性の判定](JIS A 1145)
24時間反応させた後
・溶解シリカ量Sc≧10 mmol/l、かつ アルカリ濃度減少量Rc<700 mmol/l、かつ Sc≧Rcの場合を“無害でない”と判定
・その他の場合を“無害“と判定
化学法で“無害でない”と判定された場合でも、モルタルバー法で“無害”と 判定された場合にはモルタルバー法の判定を優先してよい。
モルタルバー法 mortar bar method JIS A 1146
骨材の潜在的なアルカリシリカ反応性を調べる物理的試験方法。所定の粒 度に粉砕した骨材とセメントを一定の比率に配合してモルタル供試体を 作り、その膨張率を測定し判定する。2)
[反応性の判定](JIS A 1146)
6ヶ月後の膨張率が0.1%未満の場合を無害
コンクリートバー法 concrete bar method
コンクリートのアルカリシリカ反応性を調べる物理的試験方法。実際のコ ンクリートに使用される材料・調合を用いたコンクリート供試体を作り、
その膨張率を測定し判定する。3)
[反応性の判定](JASS5N T−603)3)
以下の2つの条件を同時に満足する場合を反応性なしと判定
・材齢6ヶ月おける膨張率が、いずれのアルカリ添加量においても0.1%
未満であること。
・材齢6ヶ月において、膨張率0.1%になるときのアルカリ添加量を推定 する。この推定値が“マイナス 1.2 kg/m3以下”、または“プラス3.0 kg/
m3以上”であること。
添付資料−4−8
付表2 コンクリートの材料に係わる用語
用 語 説 明
混和材料 admixture
セメント、水、骨材以外の材料で、コンクリートなどに特別の性質を与え るために、打込みを行う前までに必要に応じ加える材料。このうち、使用 量が比較的多く、それ自体の容積がコンクリートなどの練り上がり容積に 参入されるものは「混和材」、使用量が少なく、それ自体がコンクリート などの練り上がり容積に参入されないものは「混和剤」という。1) 混和材:フライアッシュ 等
混和剤:AE剤、減水剤 等
フライアッシュ fly ash
JIS A 6201
ポゾランの1種類で、微粉炭燃焼ボイラーの燃焼ガスから集じん器で採取 されるアッシュ。1)
主として火力発電所から大量に得られ、珪酸質の混和材としてモルタルや コンクリートに用いられる。粒子が球状をしており、モルタルやコンク リートの流動性を良くし、遊離石灰と反応して不溶解性の物質を形成し、
密実性を高める効果をもっている。2)
注)ポゾラン:それ自体は水硬性をほとんどもたないが、水の存在のもと で水酸化カルシウムと常温で反応して不溶性の化合物を作って硬化 する鉱物質の微粉末の材料。2)
膨張材
expansive additive JIS A 6202
セメント及び水とともに練り混ぜた後、水和反応によってエトリンガイ ト、水酸化カルシウムなどを生成し、コンクリート又はモルタルを膨張さ せる混和材。1)
コンクリートの乾燥収縮低減、無収縮の充填モルタル又はコンクリートの 製造などを目的として用いられる。2)
注)エトリンガイト:ばん土酸石灰塩と硫化物が反応して生ずる結晶で、
セメントバチルスともいう。2) 化学混和剤
chemical
admixture(agent) JIS A 6204
主として、その界面活性作用によって、コンクリートの諸性質を改善する ために用いる混和剤。1)
AE剤
air-entraining admixture (agent) JIS A 6204
コンクリートなどの中に、多数の微細な独立した空気泡を一様に分布させ
(空気連行性能)、ワーカビリティー及び耐凍害性を向上させるために用 いる混和剤。1)
注)ワーカビリティー(workability):材料分離を生ずることなく、運搬、
打込み、締固め、仕上げなどの作業が容易にできる程度を表すフレッ シュコンクリートの性質。1)
フレッシュコンクリート:まだ固まらない状態にあるコンクリート1)
添付資料−4−9