3.1 ケーブル敷設時のトラブル
3.1.1 側 圧
<側圧によるトラブルで最も代表的な原因>
① ワイヤプロテクタ等のケーブル保護材にケーブルを詰め込み過ぎる。
シースに裂け目 形状変形 写 3‑1 ケーブル側圧例
② 結束バンド等による過剰な締め付け
写 3‑2 結束バンドによるケーブル側圧
このような事例による影響は、ケーブルの正常な構造(適切な導体径・絶縁外径,4 ペアの 位置関係等)が、側圧により、部分的に「絶縁心線の潰れ」や 4 ペアの位置関係が「正常な正 方形から菱形やその他の異常な状態」になることで、「反射減衰量」及び「漏話」特性が劣化 します。
・ 反射減衰量 : 側圧部分における、特性インピーダンス不整合
・ 漏 話 : 側圧部分のペア間における誘起電圧が上昇
正常状態 側圧状態
3.1.2 曲げ
情報コンセントの立ち上がり部分やケーブル引き出し時の極端なねじれ(一般的にキンクと 言う)における極端な曲げでトラブルが発生する可能性があります。(写 3‑3, 3‑4)
写 3‑4 極端なねじれ
写 3‑3 極端な曲げ
規格では、ケーブル外径の 4 倍以上の曲げ半径が要求されています。(例えば、ケーブル外径 φ5mm とするとφ5mm×4 倍=20mm 以上の曲げ半径が要求される)
写 3‑5 は、ケーブル外径の 2 倍と 4 倍の曲げ半径を比較したものです。シ−スを剥いでいる のは、曲げ半径が小さいことによる現象が見やすいようにしています。見てのとおり、曲げ半 径の小さい方は、対が伸びたり、浮いたりしています。このような現象により反射減衰量が劣 化します。
写 3‑5 ケーブル曲げ半径
規定の曲げ半径
(ケーブル外径の4倍以上)
規定以下の曲げ半径
厳しい曲げにより対が伸びている 曲げにより対が伸びていない。
ケーブル外径の2倍 ケーブル外径の4倍
規定の曲げ半径
(ケーブル外径の4倍以上)
規定以下の曲げ半径
厳しい曲げにより対が伸びている 曲げにより対が伸びていない。
ケーブル外径の2倍 ケーブル外径の4倍
3.1.3 引張り
ケーブルに過度な張力をかけ、引っ張ると当然ケーブル全体が伸びます。写 3‑6 の写真は、外観上分 かりにくいが、ケーブルが伸び、特性が劣化した見本です。
写 3‑6 引張り
TIA/EIA/568B では、110N(約 11.22kgf)以下での張力が要求されており、規定以上の張力を かけることにより「反射減衰量」及び「挿入損失」が劣化します。
図 3‑3 ケーブル引張り概念図
引張張力 規定通り
110N以下
引張張力 規定以上
110N を超える
3.1.4 余長処理
余長処理は一般的にケーブル端末の多少の延長・移動を想定し施されます。写真の不適切な 例では、機器・パッチパネルが高密度で収納されるラック内又は、情報コンセントの部分で余 長処理が施されています。(写 3‑7. 3‑8. 3‑9)
余長処理において、小さな径のループ及び過剰なループ回数を施すと、ケーブル間の同色対 同士において、過剰な漏話現象が発生し、トラブルになる可能性があります。(図 3‑4)
写 3‑8 情報コンセント部の余長処理
写 3‑7 ラック内の余長処理
写 3‑9 床下の余長処理
図 3‑4 エイリアンクロストーク概念図 ループ中のケーブル間にて同色対間の漏話特性が劣化