第 5 章
5.3 実験結果
5.3.1 グループ 1 とグループ 2 の比較
全ての機能を持たない切り絵練習帳を利用するグループ 1 と,「なぞる順番に枠を 表示する機能」の機能を持った切り絵練習帳を利用するグループ2を比較する.これ により,切り絵練習帳の機能の一つである「なぞる順番に枠を表示する機能」の効果 の評価を行った.
(1) 切る順番の違い
グループ 1の1 回目と2回目の切る順番に変化はなかった(表 5,6),そのため,ハ ミング距離や変曲点の数も変化なく,ハミング距離の1回目,2回目の平均はともに 5.6,分散は 0.64,同様に変曲点の数の1回目,2回目の平均は2.2,分散は1.36 で あった.
グループ 2は1 回目と2回目の切る順番には大きな変化があった(表 7,8).ハミン グ距離の1回目の平均は4.2,分散は2.56であったが,2回目の平均は2.0,分散は 4.80であった.また,変曲点の数の1回目の平均は2.4,分散は1.44,2回目の平均 は1.0,分散は0.80であった.
以上の結果より,グループ1の切る順番に変化はなかったが,グループ2の切る順 番は大きく変化したことから,グループ2はハミング距離と変曲点の数の数値からも 熟練者らしい切る順番になったことが言える.
(2) デザインナイフの筆圧の違い
グループ1の結果より検定を行った.1回目と2回目の入刀回数の検定の結果,検
定統計量(U)=6.0,棄却限界値(α=0.01)=0.0 であるため,有意水準 1%の時,統計量
(U)が棄却限界値より大きいため,帰無仮説を採択する.また,この時の両側の有意
確率は0.174である.同様に1回目と2回目の切り直し回数の検定の結果,検定統計
量(U)=5.5,棄却限界値(α=0.01)=0.0であるため,有意水準1%の時,統計量(U)が棄
却限界値より大きいため,帰無仮説を採択する.また,この時の両側の有意確率は
0.140である.
グループ2の結果より検定を行った.1回目と2回目の入刀回数の検定の結果,検
(U)が棄却限界値より大きいため,帰無仮説を採択する.また,この時の両側の有意
確率は0.209である.同様に1回目と2回目の切り直し回数の検定の結果,検定統計
量(U)=9.0,棄却限界値(α=0.01)=0.0であるため,有意水準1%の時,統計量(U)が棄 却限界値より大きいため,帰無仮説を採択する.また,この時の両側の有意確率は
0.464である.
以上の結果より,グループ1とグループ2の入刀回数と切り直し回数は検定の結果,
共に採択されたため,グループ1とグループ2に大きな変化がないことから「なぞる 順番に枠を表示する機能」に「デザインナイフの筆圧の違い」の効果はないと言える.
(3) 切り抜く動作の違い
グループ1の結果より検定を行った.1回目と2回目の入刀回数の検定の結果,検
定統計量(U)=8,棄却限界値(α=0.01)=0.0であるため,有意水準1%の時,統計量(U)
が棄却限界値より大きいため,帰無仮説を採択する.また,この時の両側の有意確率 は0.331である.
グループ2の結果より検定を行った.1回目と2回目の入刀回数の検定の結果,検 定統計量(U)=7.5,棄却限界値(α=0.01)=0.0 であるため,有意水準 1%の時,統計量 (U)が棄却限界値より大きいため,帰無仮説を採択する.また,この時の両側の有意
確率は0.292である.
以上の結果より,グループ1とグループ2の入刀回数と切り直し回数は検定の結果,
共に採択されたため,グループ1とグループ2に大きな変化がないことから「なぞる 順番に枠を表示する機能」に「切り抜く動作の違い」の効果はないと言える.
グループ1とグループ2の切り絵の動作を比較した.(1),(2),(3)の結果より,「なぞ る順番に枠を表示する機能」には,被験者の切る順番を熟練者らしくする効果がある ことを明らかにした.
表 3 : グループ1 切る順番1回目
表 4 : グループ1 切る順番2回目
表 5 : グループ2切る順番1回目
表 6 : グループ2 切る順番2回目