5.2 実証実験
5.2.1 クラスタリング実験
この実験の目的は,提案手法によってシーダが保証されているかを確認することである.ク ラスタリングを行う際に参加ノード数に応じて適切なクラスタ数を設定する必要があるが,今 回は,4.1.2章で説明した先行研究 [4]で示された線形関数を利用する.また,適切なシーダの 数は,実環境では状況によって異なるため今回の実験では評価のために全ノード数の20%に設 定して行う.表5.1に実験を行ったノード数,クラスタ数,シーダ数を示す.比較対象として 用いる既存手法にはハードクラスタリングを用いる.本実験で利用するハードクラスタリング
とはFuzzy c-means法によって算出された各ノードの各クラスタへの帰属度が最も高いクラス
タへ割り当てたものを利用する.Fuzzy c-means法はソフトクラスタリングであるが,最も帰 属度が高いクラスタに割り当てることでハードクラスタリングと同様となる [17].
表 5.1: 参加ノード数に対するクラスタ数・シーダ数.
ノード数 シーダ数 クラスタ数
Case 1 30 6 4
Case 2 200 40 7
Case 3 400 80 10
Case 4 600 120 14
以下にCase 1–Case 4の実験結果を図に示す.
Case 1
図 5.1: クラスタリング結果 ノード数30
シーダに着目すると,オセアニアにシーダが存在しない.しかし,ハードクラスタリングで はオセアニアのノードのみでクラスタを形成している.一方,提案手法では,オセアニアの ノードはクラスタ内にシーダが存在しないため次に帰属度の高いクラスタに割り当てられるこ とになる.その結果,シーダの存在するアジアのクラスタと同一クラスタを形成する.提案手 法における全クラスタ数は既存手法の4に対し3になる.すべてのクラスタ内にシーダが存在 するため,各ノードは完全なデータをダウンロードすることが可能となる.
Case 2
図 5.2: クラスタリング結果 ノード数200
シーダに着目すると,南米にシーダが存在しない.しかし,ハードクラスタリングでは南米 のノードのみで構成されるクラスタが2つある.一方,提案手法では,南米のノードはクラス タ内にシーダが存在しないため次に帰属度の高いクラスタに割り当てられることになる.その 結果,シーダの存在する北米東海岸のクラスタと同一クラスタを形成する.提案手法における 全クラスタ数は既存手法の7に対し5になる.すべてのクラスタ内にシーダが存在するため,
各ノードは完全なデータをダウンロードすることが可能となる.
Case 3
図 5.3: クラスタリング結果 ノード数400
シーダに着目すると,Case 1と同様にオセアニアにシーダが存在しない.しかし,ハードク ラスタリングではオセアニアのノードのみでクラスタを形成している.一方,提案手法では,
オセアニアのノードはクラスタ内にシーダが存在しないため次に帰属度の高いクラスタに割り 当てられる.その結果,Case 3はCase 1よりも多くのノード数で多くのクラスタ数になってい るため,オセアニアクラスタに属していたノードは経度の違いから別々のクラスタへ割り当て られる.オーストラリアのノードは東南アジアのノードを中心とするクラスタに属し,ニュー ジーランドのノードは東アジアのノードを中心とするクラスタに属する.提案手法における全 クラスタ数は既存手法の10に対し9になる.すべてのクラスタ内にシーダが存在するため,各 ノードは完全なデータをダウンロードすることが可能となる.
Case 4
図 5.4: クラスタリング結果 ノード数600
シーダに着目すると,イタリア,ギリシャの付近にはシーダが存在しない.既存手法ではそ の付近のノードで構成されるDのマーカーで記されたクラスタ(クラスタD)が独立してい る.一方,提案手法では,クラスタDのノードはクラスタ内にシーダが存在しないため次に帰 属度の高いクラスタに割り当てられる.その結果,シーダの存在するクラスタC,ポーランド 周辺のクラスタ,ギリシャ・トルコ・エジプト周辺のクラスタへそれぞれ割り当てられる.提 案手法では全クラスタ数は既存手法の14に対し13になる.すべてのクラスタ内にシーダが存 在するため,各ノードは完全なデータをダウンロードすることが可能となる.
実験を行った結果Case1-Case4すべての状況において提案手法を用いることでシーダが保証 できていることを確認した.