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カザフスタン経済特区制度における問題点

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カザフスタンの経済特区に関する資料および各経済特区の訪問で得た情報を分析し、現 状を概観した結果として、カザフスタンの経済特区制度における問題点をまとめると以下 の通りである。

◆分野の限定:

経済特区というのは、そもそも特定された区域に限定して優遇措置が適用されるという 点で最初から地域が限定されているのは一般的な共通理解である。しかし、カザフスタン ではこうした地域的限定に加えて、優遇措置が適用される分野も限られる。したがって、

何らかの投資プロジェクトや投資提案を持つ投資家が自由に投資先を選ぶことができず、

むしろ、経済特区側が投資家を選ぶような形式になっており、投資家の意向が尊重されな い。これでは投資家のインセンティヴ減退させることにつながっており、投資促進に結び つかない。

◆優遇措置の適用の限定:

カザフスタンの現在の経済特区制度のもとでは、経済特区に入居登録しただけでは免税 などの優遇措置を受けることができず、プロジェクトが優先分野に関わるかどうかという 点や、生産した製品の現地調達率の割合や企業の総収入に占めるプロジェクトに関係する 製品からの収入の割合が決められた基準を超えていなければならない。こうした条件をク リアしなければならないということは投資家にとって大きなハードルとなるが、加えて、

これらの条件をはかる基準について、わかりやすく説明している資料がなく、実際に説明 を聞いても明確ではない。こうした優遇制度を投資家が法律の原文を読んで自力で理解し なければならないという状況は非常に手間のかかる作業であり、言語の障壁も生じるため、

投資インセンティヴの阻害要因になりやすいと考えられる。

◆管理会社の機能と役割:

カザフスタンの地方には管理会社と類似する投資誘致機関や企業支援機関(

SPKや

Damu、州の投資誘致機関や行政府)を持つところがある。こうした地域では管理会社と

類似機関の関係があいまいで、どのような場面でどのような機関とコンタクトをとればよ

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いかということがわかりづらい。投資家にとって支援機関(=窓口)がたくさんあること は必ずしもマイナスにはならないが、そうした機関同士の連携がとれていない場合、投資 家が個別にコンタクトをとらなければならない、場合によっては、作業が重複したり、二 度手間になったりすることもあるのでいい傾向ではない

また、他国の例を見ても一般的に、経済特区の最大の魅力の一つは、管理会社が多岐に わたる手続き業務を一括して引き受けることができる、プロジェクト開始後に起きた諸問 題をすべて解決することができるといった機能にあるといっても過言ではない。管理会社 の機能や能力で投資家の経済特区への関心、投資インセンティヴは変わってくる。

◆一貫性・整合性のある情報入手の制限:

今なお開発が続く経済特区の状況というのは刻一刻と変化しており、最新かつ正確な情 報を必要なときに入手することができることが重要である。こうした情報を持つ各経済特 区の管理会社を定期的に訪問することが難しい投資家にとって、現地に行かずとも重要な 情報を入手することは重要であり、その情報源となりうるのはホームページである。しか し、すべての経済特区のホームページがあるわけではなく、更新作業なども不十分で充実 してはいない。また、経済特区を比較・検討する場合、一貫性のある情報を入手する必要 があるが、まとまった情報の管理が可能なのは、すべての経済特区を管轄する輸出・投資 国家庁「KAZNEX INVEST」である。しかし、「KAZNEX INVEST」のホームページか ら入手できる情報も限定的であり、投資家が検討するための材料が揃わないという状況を 改善する必要がある。

Ⅲ.世界の経済特区制度との比較

1.東南アジア等の経済特区制度

(1)東南アジア等における特区のインセンティヴ

東南アジア、東アジア地域においては、先進国からの資本導入、技術移転、自国産業の 育成等を目的として経済特区等を設置し、外国資本に対する各種インセンティヴを設定し ている。東南アジアを中心とした経済特区等の概要を下記に示す。

法人税、輸入税、付加価値税、消費税等の免税、減税を行う国が多いが、ベトナムのよ うに個人所得税の減税を行う等各国、対象地域により、その内容は様々である。

また、タイでは産業の地方分散、地方産業の振興、所得格差の解消等を目的として、全 国を3ゾーンに分けてインセンティヴに変化を持たせる等、政策の意図を反映させたイン センティヴを設定していることが特徴である。

第1-1表 東南アジア等における特区のインセンティヴ

特区名称 要件 インセンティヴ

ベ ト ナ

奨励投資地域 域内における新規

投資事業など。

・法人税は優遇税率 20%を 10 年間適用。

・新規進出企業は免税2年間、減税(50%)4 年間適用。

特 別 奨 励 投 資 地域

・法人税は優遇税率 10%を 15 年間適用。

・新規進出企業は免税4年間、減税(50%)9 年間適用。

・固定資産とするための輸入商品等の輸入税は免除。

・一部の経済特区では、自由貿易区での商品に係る付加 価値税及び特別消費税を免除。

・一部の経済特区では、個人所得税を 50%減税。

経済特区 ハイテクパーク タイ IEAT Free Zone

( タ イ 工 業 団 地 公社によるフリー ゾーン)

工 業 事 業 、 サ ー ビ ス 事 業 、 そ の 他 事 業、およびこれら三 つの事業に寄与す る事業。

・IEAT Free Zone から持ち出し国内で使用または消費さ れる場合は免税。

・生産機械、設備、機材、原料等にかかる輸出税、輸入関 税、付加価値税(VAT)、物品税については免税。

BOI ゾ ーン

第1 バンコク首都圏6県 内立地企業

・一部の機械輸入税は 50%減税。

・輸出のための原材料・資材輸入税は1年間免税。

・工業団地および奨励を受けた工業地域に立地するプロ ジェクトに限り、条件付きで法人所得税を3年間免除。

第2 首都圏周辺 12 県お よびプーケット内立 地企業

・一部の機械輸入税は 50%減税。

・輸出のための原材料・資材輸入税は1年間免税。

・工業団地および奨励を受けた工業地域に立地するプロ ジェクトに限り、条件付きで法人所得税を5年間免除。そ れ以外の立地については3年間の法人所得税の免除。

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第 3 低所得とインフラの

開発度が低い 58 県 内立地企業

・一部の機械輸入税は免税。

・8年間の法人所得税免除。

・輸出のための原材料・資材輸入税は5年間免税。

・36 県の工業団地および奨励を受けた工業地域に立地 するプロジェクトに限り、法人所得税の免税期間終了後、

さらに5年間 50%の減税、など。

マ レ ー シア

マルチメディア・

スーパー・コリド ー(MSC)

マ レ ー シ ア 政 府 に よ り 認 定 さ れ た 企

・法定所得 100%に対して免税。

・マルチメディア関連機器の輸入関税免除。

・研究開発助成金 等 大 型 開 発 計 画

(5地域)

各地域で設定され た ス テ ー タ ス 取 得 企業

・100%所得税の免除(10 年間)。

・非居住者へのロイヤルティや技術フィーの支払いに対 する源泉税を免除(10 年間)。 等

フィリピ

PEZA 輸出加工 区(エコゾーン)

フィリピン経済区庁

(PEZA)が設けた輸 出加工区登録企業

・法人所得税の免除(3-6年)。

・特別税の適用。

・関税、内国歳入税および地方税の免除。

・埠頭税、輸出税、賦課金または料金の免除、等。

ス ー ビ ッ ク 湾 自 由港

ス ー ビ ッ ク 湾 自 由 港登録企業

・関税、付加価値税(VAT)などの免除

・国税および地方税の免除

・VAT の免除 クラーク特別経

済区

ク ラ ー ク 特 別 経 済 区登録企業

・関税、付加価値税(VAT)などの免除

・国税および地方税の免除

・VAT の免除 オーロラ特別経

済区

オーロラ特別 経済 区登録企業

・国税および地方税(法人税、物品税、フランチャイズ税)

の免除。ただし、総所得(GIE)の5%課税。

・販売等を目的として域内に搬入された原材料、部品、設 備は関税法、内国歳入法および規制、地方税条例の適 用免除、等。

イ ン ド ネシア

自 由 貿 易 地 域 および自由貿易

経済統合開発地域

(KAPET)に所在す る企業

・輸入関税、付加価値税、その他輸入にかかる諸税が免 除。

経 済 統 合 開 発 地域(KAPET)

経済統合開発地域 入居企業

・製造活動に直結する資本財、原材料、その他機器の輸 入に対し、所得税(前払い法人所得税、PPh22)を免税

・所得税における減価償却および割賦弁済期間の短縮

・欠損金の繰越期間の延長(最長 10 年間)

・配当金に対する所得税の 50%免税 など。

経済特区 経済特区入居企業 ・所得税便宜、輸入関税の留保、輸入にかかる諸税の不

徴収、地方税・課徴金の減免、土地や各種許認可などに おける便宜供与。

インド 特 別 経 済 区 域

(SEZ)

SEZ 入居企業 ・100%法人税控除(10 年間)。

・配当分配税(DDT)免除。

・関税、物品税、サービス税等免除。

(出所)各種資料より作成。

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