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 「日本オラクルの皆さんも『大丈夫だ』とおっしゃったので、全 面的に信頼しました。それよりも、処理性能を高められることのメ リットのほうが大きいと感じましたね。旧システムでは、月次の夜 間バッチ処理で行っていたSAP BW(DWH)へのデータロードが 予定時間内に終了しないことがあり、業務への支障が出ていま した。この問題の改善が急務だったのです」(吉澤氏)

 ナガセ情報開発は、Oracle Exadata X4へのデータベース移 行を大きく2ステップで行う計画を立てる。まず第1ステップで は既存のOracle Exadata V1で運用していたシステムをOracle Exadata X4に移行し、続く第2ステップでSAPの各アプリケー ションのデータベースをOracle Exadata X4に移行するといった 具合である。

バックアップ用にOracle ZFS Storageを導入し、大量データのバッ クアップ遅延の不安を解消

 これらの作業を間違いなく効率的に進めるために、ナガセ 情報開発は日本オラクルのコンサルティングサービスをはじめ とする各種の支援サービスをフル活用した。「最新のミッション クリティカル技術を凝集したOracle Exadata X4は、Windows Server上のOracle Databaseを扱うような感覚では使いこなせ ない」(吉澤氏)と考えたからだ。具体的には、Oracle Consulting Service(OCS)が提供するOracle Exadata X4の初期構築や SAP on Exadata構築支援、Oracle Advanced Customer Sup-port Serviceが提供するOracle Exadata X4へのデータ移行支 援、パッチ適用サービスなどを活用している。

 新たに導入されたデータベース環境では、本番用のHalf Rack と開発/検証用のEighth Rackの2台のOracle Exadata X4に加 えて、バックアップ環境として「Oracle ZFS Storage」を導入した。

 「当初は10Gbpsのネットワークで既存のストレージサーバー と接続してデータベースのバックアップを取ることを想定してい ました。しかし、SAPの導入によりテラバイト単位にまでデータが 増えることを考えると、それでは耐えられないという結論に至り ました。そこで、Oracle ZFS Storageを導入し、40Gbpsの帯域 幅を持つInfinibandを介してOracle Exadataと接続することで、

バックアップ時間を当初想定の5分の1程度にまで短縮すること ができたのです」(吉澤氏)

 また、これらを統合的に監視するために「OracleEnterprise Manager 12c」を導入したほか、リモートでのパッチ適用や稼 働監視のためにOracle Platinum Service用のゲートウェイサー バーを配備している。

–吉澤建二氏,

ナガセ情報開発 開発本部 システム2部 部統括

Oracle Exadataによるシステムの構成

 長瀬産業は、2014年内に世界15拠点のデータベースのOra-cle Exadata X4への集約を完了したが、それでも性能/キャパ シティにはまだ多くの余裕がある。そこで現在、16拠点目として ドイツ拠点のデータベース移行を進めているほか、国内拠点で 利用するSAPアプリケーションのデータベースもOracle Exadata X4上に移すべく作業を進めている。

BWをはじめSAPアプリケーションのパフォーマンスが大幅改善  こうしてOracle Exadata X4上に移行したことで、SAPの各アプ リケーションのパフォーマンスは大幅に向上した。その効果を、

ナガセ情報開発 運用本部 インフラ管理部の池田紘二氏(イン フラ管理課 主任)は次のように説明する。

 「例えば、これまで5時間38分かかっていたSAP BWのデータ ロードが2時間44分と48%に短縮されたことで、懸案だった夜 間バッチの突き抜け問題が解消されました。DWHのバッチ処理 も70分から50分へと短縮されたほか、実績照会システムや採 算管理システムなどのレスポンスも大きく改善しています。また、

分散していたデータベースをOracle Exadata X4上に集約して Oracle Enterprise Managerで統合管理することで、データベー ス基盤の管理性も大きく向上しました」

–池田紘二氏,

ナガセ情報開発 運用本部 インフラ管理部 インフラ管理課 主任

Comparison of Processing Times Before and After Introduction of Oracle Exadata

Processing Before introduction After introduction Time reduced by Remarks Data load on BW 5 hours and 38

minutes 2 hours and 44

minutes 2 hours and 54

minutes * Processing time on one job network Batch processing on DWH 70 minutes 50 minutes 20 minutes

Performance Query System 6 seconds 3 seconds 3 seconds Cost and Profitability

Management System 7 seconds 3 seconds 4 seconds

Access Journal System 140 seconds 78 seconds 62 seconds Amount per date/store dept./account in 6 years

Client copy 79 hours and 20

minutes 20 hours and 12

minutes 59 hours and 8

minutes Machine for production use - Machine for verification

ZLOG Report 24 seconds 11 seconds 13 seconds Stock Balances

ZLOG Report 50 seconds 21 seconds 29 seconds Transaction History

ZLOG Report 50 seconds 5 seconds 45 seconds Billing for 18 months (per overseas subsidiary)

Oracle Exadata導入前後の処理時間の比較

 「国内拠点も含め、いずれ当社の全拠点のSAPアプリケーショ ンで利用するデータベースがOracle Exadata X4 上に集約さ れることになります。今後は、この統合データベース基盤上でグ ローバルに各種コードの統一を推し進め、さらなる経営効率化 を図りたいと考えています。また、Windows Server 2003のサ ポートが2015年7月で終了するため、その上で動かしている Oracle Databaseも統廃合したうえでOracle Exadata X4上に移 行する予定です」(吉澤氏)

 各国の拠点で1つの基幹アプリケーションを共通に利用するこ とで、組織の俊敏性を高めてグローバル経営を強化する─この グローバルシングルインスタンスの実現で大きな課題となるの は、膨大なデータの高速かつ安定した処理を支える強力なデー タベース基盤の構築だ。Oracle Exadata X4の採用によってこの 課題を解決した長瀬産業は、天保の時代から続く成長の歩を一 段と早めようとしている。

http://www.nagase.co.jp/english/

Oracle顧客:長瀬産業株式会社 業種:総合商社

従業員数:6,267名(連結)、971名(単独)(2016年4月1日現在)

資本金:96億9,900万円(2016年4月1日現在)

売上:7,422億円(連結)(2016年3月期)

主な事業概要:

化学品、合成樹脂、電子材料、化粧品、健康食品などの輸出/輸入および 国内販売。国内に5拠点を構えるほか、世界各国に数十の子会社を擁する

ライオン株式会社は、Oracleによる収益チャンスの最大化と世 界的な成長に対する支援を得ることができました。

ライオン株式会社は、口腔ケア製品、スキンケア製品、歯磨き、

シャンプー、ボディ・ケア製品、洗剤などの家庭用品の日本の大 手メーカーです。また、医薬品メーカーBristol- Myers Squibbと のライセンス契約により、アスピリン、風邪薬などのOTC医薬品 も販売しています。目標は、優れた品質の製品と消費者に顧清 潔、健康、快適な環境を提供することです。

ライオン株式会社は、5年前のTeradataへの置換えから、複数の アプリケーションにOracle Exadata V2を使用しています。Ora-cle Exadataマシンは、SAP、生産管理、およびビジネス・インテリ ジェンス向けの多数のデータベースをホストしています。増え続 けるPOSデータ量の対応とデータ・センターの再配置を発端に、

ライオンはレガシーのOracle Exadataのアップグレードを決定 しました。パフォーマンスの強化とハードウェアの移動による機 能停止を防止することが目的です。

課題

• 歯磨きや衣料用洗剤の販売取引など、数億件を超えるデータ を迅速に処理する能力を取得し、ビジネス成長を支える

• 物理的な機械の移動によるハードウェアの損傷を回避、およ びデータ・セキュリティの保証を目的に、新しいデータセン ターで既存のOracle Exadataをアップグレードする

• 所定の期間および予算内で、データベースのアップグレードと データセンターの再配置を完了する

• SAP ERPシステムなど、ビジネス・クリティカルなアプリケー ションを新しいデータベース・プラットフォームに円滑に移行 し、重要な生産活動の停止を最小限に抑える

結果

• Oracle Exadata X5を使用して、クエリー・パフォーマンスを最 大4倍加速し、データのアップグレードを2倍加速することで、

歯磨きの売上高など、経営判断のための正確なデータを管理 職に提供できるようになりました。

• Oracle Exadataの柔軟なライセンス・モデルを取得し、データ ベース・サーバーやストレージ・サーバーを1/8ラックから1/4 ラックなどに簡単に拡張できるようにし、収益成長を支えるシ ステム・パフォーマンスを改善しました。

• Oracle Exadata X5-2へのアップグレード以来、停止時間ゼロ がゼロになり、エンジニアド・システムの完全な冗長システム による高可用性が保証されました。

• Oracle Database In-Memoryのデュアルフォーマット・アーキ テクチャの使用により、ビッグ・データの分析が可能になり、口 腔ケア製品のPOSデータなど、大量の分析のクエリーが最適 化されました。

• Oracle Database 12cのマルチテナント・オプションにより、個別 環境に置かれていた購買や人事アプリケーションを統合された プラットフォームに集約し、システム管理を簡素化しました。

• 事前に構成されテストされたOracle Exadataの導入は、新し いデータセンターに迅速に配置することができました。これ によりリスクの最小化が実現し、データベースのアップグレー ド、およびデータ・センターの再配置プロジェクトに伴うスケ ジュールや予算を確定させることができました。

• 歯さらに多くのデータベースを統合することで、アップグレード とパッチ適用の管理が簡単になり、ITスタッフのワークロード が軽減されました。

「Oracle Database 12cをOracle Exadata Database Machineで実行することで、当社はクエリーのパフォーマンスを4倍に加速 し、データのアップデートを2倍に加速できる機能を取得しました。また、統合されたデータベース・プラットフォームによるシームレス なデータ移行で、生産活動を中断する犠牲を払うことがありませんでした。」

― 宇 都 宮 真 利 、

ライオン株式会社、統合システム部部長